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[ 警察小説 ]
ギデオンと放火魔
ギデオン警視シリーズ
J・J・マリック 出版月: 1963年01月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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早川書房
1963年01月

早川書房
1978年03月

No.1 7点 クリスティ再読 2017/10/09 21:57
モジュラー型警察小説のハシリで有名なシリーズのMWA受賞作。モジュラー型っていつ頃から言い出したのか知らないが、評者とか「ギデオン方式」って昔呼んでたよ。で、このパターンの弱点は登場人物が増える割に事件がありふれたものなので地味になりがち、という点だが、本作は火事で家族を亡くした男が復讐のためにロンドン中に放火して回るのがクライマックスになって、とっても派手。そこらへん話題性もあっての受賞だろう。
他にも少女強姦殺人1件、連続女性失踪事件(青髭系)1件、銀行強盗1件+共犯者の妻殺し、株式詐欺1件に加え、ギデオンの未成年の息子が隣人の娘を妊娠させた?という家庭内事件まであって、これらが同時並行で進行する。だから読み応え十分。
このシリーズの一番の特徴は、主人公が警視長(通称は警視だが、いわゆる警視より2階級上)でかなり偉いこと。実際、ギデオンは、スコットランド・ヤード(首都警察)の犯罪捜査部(CID)部長なので、上司はすべて政治家で警官ではない。ギデオンは警官としては頂点を極めた地位にあることになるわけだ。だから仕事は本当に管理職で、現場指揮はすることもあるが、身を張るのは部下、ということになる(まあそれでも小説なので、本作も1回だけギデオン本人が突入して犯人を取り押さえるシーンがある)。管理職としてのリアリティをちゃんと描けるか、というあたりだが、そこらへんは有名シリーズのわけで、ソツがない。基本的に中間管理職だったりもする警視級の部下たちの報告を読んで指示を出すのが仕事であり、それがきっちり描けているので、シラけるようなことはない。

わたしがいってなかったとしても、カースンか、ほかのだれかがやったろう。あんな仕事に、わたしがどうしても必要だなんて、そんな考えをするほどばかじゃないよ。あそこへいったのは、何かやるためじゃなくて、いわば、その、立場上の責任といったものだろうな。

....マトモな職業人、だね。堅実というものだ。このセリフで本シリーズの美点はほぼ尽きている。


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J・J・マリック
1963年01月
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平均:7.00 / 書評数:1
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