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[ SF/ファンタジー ] 宇宙探偵マグナス・リドルフ |
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ジャック・ヴァンス | 出版月: 2016年06月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
国書刊行会 2016年06月 |
No.1 | 7点 | kanamori | 2016/08/06 14:31 |
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白髪白髭の老紳士にして、宇宙空間を駆け巡るトラブルシューター、マグナス・リドルフの冒険&探偵譚、全10編を収録した連作短編集。
環境や文化・価値観が異なる様々な惑星を舞台に、ユニークな習性をもつ異星生物、種属が登場するSF作品集で、精緻で色彩豊かな異郷描写と併せて、悪人に対するリドルフ爺の意地悪で容赦ない”お仕置き”で終わるスタイルが特徴的です。また、エラリー・クイーン名義の代作(=昨年「チェスプレイヤーの密室」が訳出されました)を手がけたジャック・ヴァンスだけあって、フーダニットもの、密室殺人、アリバイ崩しと、謎解きミステリの要素を備えた作品も多い。 個人的ベストは「ココドの戦士」か、SF的発想が光る「ユダのサーディン」。最初に置かれた中編の「ココドの戦士」は、シリーズの魅力を過不足なく備えた完成度の高い作品だと思います。 あと、「禁断のマッキンチ」と「とどめの一撃」は、ともに限られた集団の中から犯人を絞り込むフーダニット・ミステリで構成が似ている。容疑者集団が様々な特性を持つ異星人であることで、消去法推理がより効果的に使われているとともに、異形の生物を前にしての”名探偵、皆を集めてさてと言い”という構図がシュールですw 「とどめの一撃」はホワイダニットとしての意外性もあります。 密室殺人と意外な犯人ものの「呪われた鉱脈」や、数百万光年を隔てた壮大なアリバイ崩しの「数学を少々」、これも壮大な集団人間消失トリックもの「暗黒神降臨」は、SF的発想をトリックに活かした試みがミステリ読みにどのように受け入れられるか、読む人によっては微妙なところがあるかも。 |