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[ サスペンス ]
その子を殺すな
ノエル・カレフ 出版月: 1958年01月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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東京創元社
1958年01月

東京創元社
1961年01月

東京創元社
1961年01月

No.1 6点 斎藤警部 2016/03/28 11:25
マドンナ・ウナボンバ(いけねえ、爆弾だ)!
ちょいとドタバタなタイムリミット・サスペンス。敵方ギャングを抹殺する為の爆弾を仕掛けたサッカーボールが『運び屋の失態(Échec au porteur ←仏語原題)』により、或る少年が別れた父親(少年は離婚と知らない)からプレゼントされたばかりの大切なボールと入れ替わった!!厄介な事に二つとも同型の新品だ!行く手にはもどかしいすれ違いがいっぱいだ!!四つ昔前のコード型スリラーなのかこれは!?!? 半ばより警察小説の色合いがせっかちながらも濃厚に参戦! 親子の愛情や男の友情物語が無骨ながらも細やかに。造形豊かなちょい役共もよく動き喋り、考えを巡らし勘違いをし、魅力たっぷりだ。。主人公は入れ替わる。だから誰なんだそのスタンって黒幕(?)はよ!?

「自動車競走選手」「片輪者」「キャマンベール(チーズの名)」「ちんばを引く」等々、古きを懐かしむには良い翻訳語もちらほら(新訳は出てるんでしたっけ?)。サッカー攻撃陣のインナーってのはトップ下の事か? 或るおかみさん曰く「(亭主は)あれでもアナーキストだったんですよ」って。。ジョークなのか違うのか気になる台詞。 警官が、恋人の安否を憂うジャクリーヌの耳にいきなり受話器を当てがうシーンも印象深い。 悪ガキがパトカーに乗って夜間のパリ市内を突っ切って行くシーンは本当に楽しそうだ!それも車中じゃ電話による父親の証人訊問が進行中! イチロー主演の古畑任三郎ワンシーンを思わせる病院の場面もあった。 誰やねんジュリアンて。レノンの息子か?

最初からネタバレされてる爆弾ドカンの条件は。。時間でも無けりゃ、高度ならぬ、温度か!そこだけ取りゃ大味な推理クイズのネタにもならあな。しかし結末は。。ブラウン神父の逆説力はスリラー乃至サスペンス方面にも多大なる影響の手を。。ってか? この結末も充分推理クイズっぽいんだけどさ。 物語は本田翼のショートヘアの様にバッサリ終わった。 予想外に不幸な死人も何人が出た。 さようなら、楽しかったよ。

ところで古い創元推理文庫のカバー(白帯+パラフィンの上に紙カバーという過渡期の二重装丁は初見)、日下弘さんのイラスト、仏語/英語で言うfootball(サッカー)じゃなくて米語のfootball(アメフト)の楕円ボールになってますよ!!


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ノエル・カレフ
1963年01月
名も知れぬ牛の血
平均:6.00 / 書評数:1
1958年09月
死刑台のエレベーター
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1958年01月
その子を殺すな
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