皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格 ] 誰がロバート・プレンティスを殺したか 捜査ファイル・ミステリー/シュワッブ警部補 |
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デニス・ホイートリー | 出版月: 1983年01月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
中央公論社 1983年01月 |
No.1 | 5点 | nukkam | 2016/07/29 09:19 |
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(ネタバレなしです) ジョー・リンクス原案、デニス・ホイートリー著という共作形式による捜査ファイル・ミステリーシリーズの1937年発表の第2作です。本書では登場人物に手記を書かせることによって「人格描写」にも力を入れているのがクリスティーの「五匹の子豚」(1942年)やマイケル・イネスの「ある詩人への挽歌」(1938年)に先駆けた新工夫です(表情や仕草を直接描写する場面がないので限界がありますが)。謎解きとしても袋とじの解決編に前作にはなかった趣向が用意されています。分量的には袋とじまでのページがわずか78ページ(中央公論社版)ですが、証拠品として挿入されている新聞記事が結構な情報量があるのであまり読み急がない方がいいと思います。この記事の中にはリンクスとホイートリー、そしてホイートリー夫人の3人がインタビューに応えて誰が犯人かについて推理を披露するというお遊びまであって、作者にも余裕が出てきたことをうかがえます。ということで前作に比べて進歩も見られる反面、解決編でシュワッブ警部補がとりあげた最初の証拠が時間が経過すると消滅してしまう種類のものであることや最後に残された謎については特に手掛かりらしい手掛かりが用意されていないなど謎解きとしての不満もいくつか散見されます。 |