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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] 黒魔団 ド・リシュロー公爵 |
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デニス・ホイートリー | 出版月: 1959年01月 | 平均: 8.00点 | 書評数: 1件 |
東京創元社 1959年01月 |
国書刊行会 1976年07月 |
国書刊行会 1983年09月 |
国書刊行会 1983年09月 |
No.1 | 8点 | クリスティ再読 | 2016/02/11 20:48 |
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クリスティのスリラーってどうもスケール感に欠ける...とは感じないわけにはいかないのだが、どっちか言えば本作あたりが「イギリス冒険スリラーの保守本流」というべきものなんだよね。本作は今どきフォロワーが掃いて捨るほどいる、いわゆる「黒魔術小説」の元祖であり、しいて言えば怪奇小説?ってことにもなるんだけども、読んだ印象は血沸き肉踊る系冒険小説(残念ながら推理小説色は薄いが陰惨な箇所は少ない)である。日本での知名度は低いのが残念だが、本作を含むド・リシュロー公爵グループが登場するシリーズってのが10作くらいあって、デュマの「三銃士」の現代版を狙った国際大冒険サーガになってる。英語版ウィキペディアなんかには「Duke de Richleau」で長々とした伝記付きの個人項目があるくらいの人気者のようだ。
推理小説じゃないけど「名探偵」がいるジャンル、ってのがもう一つ別にあって、それがいわゆる「ゴーストハンター」物のわけだ。これだとヴァン・ヘルシング教授という大先達もいるわけだが、本作のヒーロー、ド・リシュロー公爵もキャラ立ち抜群の「名探偵」である。本作昔ハマープロで映画化されたことがあって、ホンモノの英国紳士たるクリストファー・リーが演じている(激シブの正義の味方だよ)。まあそんなわけで本作を「怪奇小説」と敬遠するのは惜しい以上に、ミステリ周辺の大衆文学を全体的に眺める視点を持つために、評者は強く推薦したい。作者のデニス・ホイートリーはイギリスだと国民的作家に近いようだが、日本での紹介が非常に中途半端でもったいない。まあ、作風がミステリも冒険小説もスパイもオカルトも...の良い意味で節操のないクロスオーバーのせいか、どうもマニア主体の日本の業界では取り上げられにくい作家だったのもあるんだろうけどね。 日本での現役の翻訳本はない人だけど、図書館とか古本ではそう珍しい本ではないからぜひぜひオススメ。 |