皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ SF/ファンタジー ] 輪廻の蛇 ハインライン傑作集 2 |
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ロバート・A・ハインライン | 出版月: 1982年09月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
![]() 早川書房 1982年09月 |
![]() 早川書房 1982年09月 |
![]() 早川書房 2015年01月 |
No.2 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2025/01/16 17:10 |
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①ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業 6点 昼間、自分が何をしているのか分からないという男から調査を依頼された探偵。その男の正体は…存在しないビルの13階(そういう職業だったんだ)
②象を売る男 6点 愛妻と愛犬と死別した男。今まで通りに旅を続けていると、愛犬に似た犬を見つける…象の行列と女王(ファンタジーでほのぼの) ③輪廻の蛇 7点 バーテンダーは客の青年の話を聞く。青年は元女性で子供を産んだ。相手の男は逃げ、更に赤子は誘拐されたと言う。バーテンダーは相手の男に会わせてやるという…パラドックス(このオチは初物かも) ④かれら 5点 病室の男は自分は陰謀の犠牲になっており、また妻も主治医も偽者だと決めつけている。男は脱出を試みるが…陰謀の発見(まあ、ありがちな) ⑤わが美しき町 4点 市政を糾弾する新聞記者の前につむじ風が出現…人間の言葉を理解するつむじ風(よくわからん) ⑥歪んだ家 6点 建築家は四次元的超立方体の住宅を建てたが、外に出られなくなる…外の様子(もう一工夫欲しい) |
No.1 | 7点 | 斎藤警部 | 2015/12/18 01:23 |
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左脳が混乱する割に右脳で理解しやすい素敵な物語6篇。内1つは中篇。
ミステリファンに受けのいいSF本。 ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業 象を売る男 輪廻の蛇 かれら わが美しき街 歪んだ家 (ハヤカワ文庫) ミステリと呼びたいのは「ジョナサン」「輪廻の蛇」「かれら」の3つ。 SFと呼びたいのは「ジョナサン」「輪廻の蛇」「わが美しき街」「歪んだ家」の4つ。 ファンタジィと呼びたいのは「ジョナサン」「象を売る男」「わが美しき街」の3つ。 泣けるのは「象を売る男」。笑えるのは「歪んだ家」。 通底するムードは’少し乾いたファンタジー’とでも言ったあたり。気の効いたユーモアはいつも準備万端、必要な場所に適量ごとドロップされます。 映画のイメージを引き摺ってさぞかしおぞましさ炸裂のダークファンタジーかと思われた『輪廻の蛇』が思いのほかちょっとしたタイムパラドックス小噺風だったのは快い肩透かし。原題が日本語題とずいぶんイメージの違う”All You Zombies”(フーターズ!)ってのも頷けました。とは言うもの、印象的な最後の台詞”無性にあなたが恋しいわ(I miss you dreadfully)!”に込められた孤独の遠大さに想いを馳せれば、この物語が放射し続ける存在の力にとことん圧倒されてしまうこと請け合い! そうそう、この物語は連城三紀彦の「喜劇女優」と通じるような通じないような、0と1の関係だからやっぱり違うような、でもちょっと思い出すような。 数学的SFとすっとぼけドタバタのおかしな融合『歪んだ家』は、本短篇集の中ではセンチメンタルな感動要素が際立って薄いのだが、印象深い。冒頭部に語られる四次元立体(過剰空間)のレクチャーが分かりやすくてグッドジョブ。 最後に、排卵日にハインラインを読んでも頭に入らないんですって!? (←セクハラの疑い有り) |