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ギザじゅうさん
平均点: 6.99点 書評数: 238件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.18 6点 モロッコ水晶の謎- 有栖川有栖 2005/04/20 17:27
マレー、スイスと正統派傑作が続いたのに、モロッコがこれですか…?ペルシャほどひどくはないけど、変化球気味の作品はいまいち好きにはなれない。さらにこの程度の中途半端な歪んだ作品もだめだ。
「助教授の身代金」はまぁ満足作品。丁寧に伏線が張ってあるのはいいが、誘拐ものとしてはどうなの?そもそもあの会話から○○を見破れるものか?
「ABCキラー」は一番つまらなかった。『ABC殺人事件』まだ捻れるやないか、とはいえ捻りすぎやろ。さらに犯人の行動が決められたように何かをなぞっているようで、説得力に欠けている。
「モロッコ水晶の謎」のこの捩れたロジックも…。あれに納得性を持たせるには、中篇サイズが必要なのもわかるが、それだけってのは…。

No.17 7点 スイス時計の謎- 有栖川有栖 2005/02/01 19:55
女彫刻家とシャイロックの二作は物足りない。
が、他中編二作は必見。「あるYの悲劇」はダイイングメッセージに対するアプローチの仕方が面白く、ミスリードも適度に効いていて、まあまあ満足。月光ゲームでのダイイングメッセージYより、格段の進歩が感じられる。作中での悪意に対する考察は、マレー鉄道の影響か?
そして、白眉の表題作。論理の筋立て自体は地味で、一見その推理自体にも説得力が感じられないのだが、逆説的なくらいにロジカルである(でもよく考えたらわかったなぁ、という口惜しさは残る)。本作での時間に対する考えから言っても、有栖川有栖を語る上での重要なポイントになるのは間違いない。
さて、連載されていたモロッコ水晶(だったか?)は如何に?

No.16 7点 マレー鉄道の謎- 有栖川有栖 2004/10/31 14:28
いままで火村モノには代表作といえるものが無かったのだが(あえて挙げるなら『朱色の研究』)、これはよく出来ている。愛すべき本格である。
作例の少ない「目張り密室」に挑んだのも評価できるし、伏線の張り方も上手い。密室以外にも動機不明の殺人を置きながら、それら全てが密室に収束されるラストも圧巻。
前半で「悪」について議論をしたのも、単なる人物を掘り下げるだけかと思いきや、ラストのマニピュレーションと対応させてあったのには、さらなる驚きである。
まさしくアリス流本格の成功作にして、代表作であろう。

No.15 6点 朱色の研究- 有栖川有栖 2004/08/20 21:52
有栖川有栖中期(思索期)の作風、心理的な面の重視が一番良く出た作品ではないか?
犯人を導きだすロジックはいまいち納得しづらい物もあったし、二回殺された被害者の謎の解決もいまいちに感じた。(笠井氏の『サマーアポカリプス』を期待していたのだが・・・)
しかし、動機やそれの描き方など、パズラー重視の初期の氏では書けないような上手さがあるのも事実。特に『朱色』のイメージなど非常に印象に残った。

No.14 6点 絶叫城殺人事件- 有栖川有栖 2004/06/27 16:37
今までの火村・アリス物の短編集では最もおもしろい。
しかし、今までのように本格としての濃度は薄い。それが難点なのだが、本作では本格パズラーを前面に押し出さずに、小説としての味を重視しているため、好感の持てる出来ではある。一つのトリックから小説を紡ぎだす氏の手腕を評価したい。
でも、個人的な嗜好とはかけ離れる作品である。表題作の消失トリック、紅雨荘のアリバイ、雪華楼の足跡密室など、容易にわかってしまうものばかり。表題作の異様な動機にしても、以前に学校の小論で書いたものと全く同じというのも、複雑な気分である。

No.13 4点 ペルシャ猫の謎- 有栖川有栖 2004/05/16 18:21
今までの作品に比べるとかなり毛色の違った短編集。
この作品において共通していえるのは、心情的なところに力を入れていることと、本格度の薄さ。
表題作では、かなりの禁じ手を使っているが、それをトリックでもなく怪奇的な落ちにするのでもなく、起こりえる現象として処理しているのは前例にないかもしれない。
が、この短編には全く(と、あえて言おう)本格要素がない。中井英夫の『虚無への供物』竹本健治『匣の中の失楽』、最近では乾くるみの『匣の中』などアンチミステリでありながらも、過程においてはひたすら本格的でさえある。そういった物が、これには無いため、とても成功しているとはいえない。

No.12 4点 英国庭園の謎- 有栖川有栖 2004/04/01 12:33
まず「雨天決行」はアイデア不足
「竜胆紅一の疑惑」はホワイダニットではあるが、いささか説得力に欠ける。書き方次第ではもっと作品が引き締まったはずだ。
「三つの日付」はアリバイもの・・・だが真相には拍子抜け。この程度のアイデアなら五つの日付くらい欲しい。
「完璧な遺書」は倒叙。しかし、真相がまったく面白くない。
「ジャバウォッキー」は一風変わった暗号。だが、単なる言葉遊び。
「英国庭園の謎」は暗号。暗号自体は悪くないが、犯人を絞り込むロジックに欠け、結局暗号のアイデア一本だけ。
全体的にアイデアの出し惜しみをしているのか物足りない作品ばかり。
さらに事件ー推理ー解決という当たり前の話ばかり(例外はジャバウォッキー)、ワクワクするような変わったのもない。火村英生という名探偵の呪縛にとらわれている。本格としての幅もなく、ロジックトリックの本格としての深さもない。いまいちの一言に尽きる。

No.11 5点 山伏地蔵坊の放浪- 有栖川有栖 2004/02/07 12:29
山伏を探偵にというのは面白いが必然性とはいわないまでももう少し何かが欲しい気もする。
どの短編も一つのアイデアから組み立てただけといった感じが強く、どれも物足りない。安易な暗号やダイイングメッセージがないのは良かったものの、ロシアやブラジルと同じく短編としての悪い面(下手とも言える)が大いに出ている。さくっと読むぶんにはいいかも・・・。

No.10 5点 ダリの繭- 有栖川有栖 2003/10/30 02:05
扱っているテーマやモチーフは好きなのだが、ダリの髭などの論理展開はすぐにわかってしまう。
容疑者を転々とさせる手腕は見事だが、これだけの内容でこの長さだとだれてしまうのでは。

No.9 5点 ジュリエットの悲鳴- 有栖川有栖 2003/04/29 01:09
どれも粒ぞろい…なんだけど粒すぎる。
印象に残るのはほとんど無かったが、一番良かったのは『夜汽車は走る』かな。

No.8 6点 スウェーデン館の謎- 有栖川有栖 2003/04/25 00:13
トリックが『あの古典的名作』とあまり変わらないのが残念。印象に残ってるのはヴェロニカさんくらいか?

No.7 6点 ブラジル蝶の謎- 有栖川有栖 2003/03/11 23:50
表題作の『ブラジル蝶の謎』はだいたい予想できてしまったのが残念。『人喰いの滝』の足跡トリックも、いまいち
キレがよくない。
「くだらねぇ。」と苦笑したくなる『鍵』が一番楽しめた。

No.6 7点 マジックミラー- 有栖川有栖 2003/01/30 22:53
双子という設定が二つの事件の両方にかんけいしているのが面白い。
なかなかの佳作。

No.5 7点 ロシア紅茶の謎- 有栖川有栖 2002/11/18 02:59
『ロシア紅茶の謎』は派手さはないが、よく出来たトリックだと思う。
『動物園の暗号』や『屋根裏の散歩者』もお気に入。
全体的によくまとまっている。

No.4 6点 46番目の密室- 有栖川有栖 2002/10/16 23:52
密室トリックもロジックもちょっと物足りないかな。
『天上の推理小説』や『地上の推理小説』などの話はなかなかおもしろい。

No.3 8点 双頭の悪魔- 有栖川有栖 2002/08/25 00:39
『月光ゲーム』『孤島パズル』と同様にホワイダニットは弱い気もするが、それはさほど重要でもない。
別々の場所で起こる二つの殺人事件。どちらも最後には論理的に納得いくようになっている。
夏森村のアリス達とと木更村の江神さんで推理の方法が違うのもおもしろい。
個人的には『孤島パズル』の方が、論理的で楽しかったかなぁと・・・。

No.2 9点 孤島パズル- 有栖川有栖 2002/08/11 17:13
論理のみで犯人を突き止めていくのがおもしろい。
『月光ゲーム』よりも全体的に出来がよかった。
宝捜しのパズルもおもしろい。読んでてあきないね。

No.1 6点 月光ゲーム- 有栖川有栖 2002/08/10 12:36
登場キャラクタ−がちょっと多いね。読み終わった今でも覚えきれてない。
トリックとかのインパクトは無いけれど、ちょっとしたところから犯人を導きだす論理はとてもおもしろい。
しかし、ちょっと物足りなかったかもな・・・。

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