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[ 本格/新本格 ]
ブラジル蝶の謎
作家アリス&火村シリーズ
有栖川有栖 出版月: 1996年05月 平均: 5.70点 書評数: 37件

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講談社
1996年05月

講談社
1999年05月

No.37 6点 mediocrity 2021/01/10 23:36
本格的なものからネタに近いものまでバラエティー豊かで楽しめました。
『人喰いの滝』がベストでしょうか。

No.36 5点 ボナンザ 2019/07/26 21:24
これまでのシリーズに比べると手掛かりの示し方など見事と感じられる箇所も多い。

No.35 7点 虫暮部 2019/04/01 11:07
 「妄想日記」。アレが結局ダミーだなんてがっかり。期待してたのにぃ。
 「人喰いの滝」。随分と手間暇のかかりそうなトリック。何故死体を滝に喰わせなかったのか。行方不明扱いで済みそうな気がするけど。
 国の名を冠した短編がひとつしか収められていないのに本そのものを〈国名シリーズ〉と銘打つのは誇大広告では? そもそも、どんなモノであれどこかの国で生まれてはいるわけで、タイトルの共通性だけでそう呼ぶのは恣意的というか、かなり実体の無いシリーズだと思う。特別に描写が克明だと言うことでもないし。

No.34 6点 邪魅 2017/02/28 01:42
表題作で思いましたが、この筆者はさりげない事実から犯人を特定させるのが本当に上手い
特異とも云える朋芳の性質、これを最大限生かしてくれました
幕切れも実に興味深く、国名シリーズの名に相応しい、と

蝶々がはばたくも凄く印象的でした
作者の思いが垣間見えたような気がします

No.33 5点 ボンボン 2016/07/20 18:25
「人喰いの滝」は、真相の情景もなかなかのものだが、犯人との対決場面の絵面のシュールさが衝撃的だった。淡々と振る舞うアリスの様子もホラーというか哀しげというか。
「蝶々がはばたく」は、素直に傑作と言ってしまってもいいのではないかと思う。もう二度とない奇跡の一作だろう。
他の4篇もそれぞれピカッと光る部分を持っていて、良く出来ているのだが、個人的には何となく気分が落ちるような要素がチラホラ気になって、浸りきれなかった。

No.32 4点 斎藤警部 2016/06/05 14:10
表題作は事件現場の色彩鮮やかなヴィジュアル・イメージに魅了されるが、解決はなんだかなあ、尻すぼみ。。
蝶つながりで“バタフライ・エフェクト”にモチーフを得た「蝶々がはばたく」は明瞭な企画がはまってそれなりに印象残したかな。。 他は。。まぁいいです。 (←良い、の意味ではない)
でも4点キープ。

No.31 6点 青い車 2016/02/12 11:20
以下、各話の感想です。

①『ブラジル蝶の謎』 天井に飾られた蝶の標本という鮮烈な謎に対し、その理由にあまり面白みがなく、尻すぼみ気味なのが惜しいです。その不満を除けば、被害者の特性に目を付けた火村の推理は論理的であり、悪くありません。
②『妄想日記』 こちらも奇妙な謎に期待値が上がりすぎてしまった感が。しかし、容疑者がほとんど絞り込まれているがために犯人当ての楽しみはないですが、真相にはそれなりに驚くと同時に納得もできたのでまずまずの出来と思います。
③『彼女か彼か』 トリックはありがちで意外性に乏しいものの、冒頭と末尾の蘭ちゃんの語りはユーモラスでなかなか楽しめました。有栖川さんってたまにこういうギャグを放り込んでいる気がします。関西人の血でしょうか?
④『鍵』 これは他の人の感想はわかりませんが、僕はかなり好きです。本来軸となるはずの殺人事件が完全に二の次になり、「何の鍵か」が中心となる異色作。スパッとオチが決まっています。ただ、こんなにたくさん登場人物を出す必要はなかったのでは?
⑤『人喰いの滝』 トリックの実行性にはちょっと疑問が残りますね。奇想であることは確かですが。アリスの思いつきの説を火村がツッコむという掛け合いは面白く、ふたりの共同作業で犯人を落とすのも見られる貴重な作品でもあります。
⑥『蝶々がはばたく』 人工的な密室かと思いきや思いもよらない現象によって密室状況が成立してしまった、という真相が不思議な味を醸し出しています。締めくくり方も作者らしくて好感が持てます。

『ロシア紅茶』よりアヴェレージは高いですが、突出した傑作がないのも確か。点数はちょっと厳しく6点とします。

No.30 6点 風桜青紫 2016/01/14 03:56
『ロシア紅茶の謎』に比べて、全体的に作品の質は上昇している。一発ネタという意見もあるようだけど、本格ミステリ短編なんぞ一発ネタじゃなきゃ量産できんではないか。表題作は犯人当てとしてまあまあの出来映えだけども、無駄なブラジル蝶の装飾の釈然としなさがおかしな後味を残すはめに。一発ネタの切れ味をもとめるとすれば、やはり目はブラジル蝶の回収に向かってしまう。一方、『鍵』や『人喰いの滝』のような「なんじゃこりゃあ!」な作品は一発ネタであるがゆえにカタルシスを得られる。バカミスだけど。その点では『蝶々がはばたく』がこの短編集では出色。ひとつの偶然が予期せぬトリックを引き起こす。ラストシーンと合わせて見事な出来映え。『蝶々がはばたく』は7点。全体で6点といったところか。

No.29 6点 505 2015/10/05 19:31
短編としてのクオリティを示した本作という印象。パズラーに相応しい。全体的に読者への挑戦状がなくとも、火村先生よりも先に真相に辿り着きたいと意気込ませる魅力がある。

表題作の蝶の謎と浦島太郎状態の被害者の絡ませ方は、実に心地よい着地点を示す。更に、蝶を使った誘導も巧みであり、実にパズルとして機能している。無理矢理に国名シリーズの名を付けた訳ではないことを自ら主張するような佳作。
『妄想日記』は暗号モノとして称していいと思うが、ミッシングリンクの意味合いが強い。明かされる謎も興味深く、死体の状況と上手く嵌る。
『彼女か彼か』は題名通りの展開が待っており、倒錯感が堪能できるオーソドックスなミステリ。ただ、教科書通りで終わらせないのが有栖川有栖である。冒頭の蘭ちゃんの語りからの視点で、上手く被害者像を描き、最後の美味しい所を持っていかせる。探偵役はなにも火村だけではないというユニークな趣向が光る。
『鍵』では、誰が殺したのかは明白だが、現場に落ちていた鍵は何の鍵だったのか?というのが最大の謎というもので、その真相は驚愕そのもの。被害者の行動を考えれば、ピタリと符合する。作品の冒頭と終幕で鍵の存在感が変貌する怪作。
『人喰い滝』は、不可能状況に奇想なアイデアで勝負した作品。雪に埋まっていたマッチから導かれる意味をストレートに活かしたという意味ではトリックは他愛もないものだが、シンプルでありながらも変化球的な発想と言えるだろう。
『蝶々がはばたく』はメッセージ性が強く、寂寥感に駆られる密室モノ。35年前に起きたというのがポイントになるのだが、収録作の中で異彩を放つ同作は形容し難い読後感を与えてくれる。作家としての覚悟がここにある。

No.28 4点 nukkam 2015/07/26 21:32
(ネタバレなしです) 1996年発表の火村英生シリーズ第2短編集です。 講談社文庫版で「国名シリーズ第3弾」と宣伝されていますが表題作以外の5作はタイトルに国名を使っておらず、国名シリーズを名乗るなら全作品を国名を使ったタイトルにするぐらいでないと駄目ではないかと「ロシア紅茶の謎」(1994年)と同じ不満を抱きました。収容された作品は1995年から1996年の発表ですが唯一例外が「人喰いの滝」で、これは第一長編「46番目の密室」(1992年)に次いで書かれたシリーズ最初の短編だそうです。ページが1番多く現場見取り図が2枚も用意された力作です。ワトソン役の有栖が意外と活躍しているのが異色です。とはいえ他の作品はやや軽量級の謎解きで、まあ短編だからそれもありではありますがmakomakoさんがご指摘の通り一発ネタに頼っているのでそれが説得力に欠けたりすると後には何も残らない結果となります。「鍵」などは悪しき典型となってしまいました。

No.27 5点 バード 2013/09/02 10:28
つまらなくはなかった、ただ有栖川さんの国名シリーズでは一作目の「ロシア紅茶の謎」が一つの基準となりそれに比べると印象的な話が少なかった気がする。

No.26 4点 TON2 2012/12/17 16:00
講談社NOVELS
 ミステリーの短編はアイデア勝負で、目新しいトリックが浮かんだら、それにふさわしいストーリーを考えて肉付けするのでしょうが、あまりに話がこじつけのような作品はどうかと思います。
 読んでいて、確かにこういう行動はありだよなと感じさせてくれなければ、物語に没入できません。
 「鍵」は、なんか汚らしい感じがして好きではありません。

No.25 6点 E-BANKER 2012/06/19 21:58
国名シリーズの作品集では第2作目に当たる作品。
火村&アリスの名(?)コンビが今回も活躍。

①「ブラジル蝶の謎」=殺人現場に残されたアマゾン河流域に住むという美しい蝶、蝶、蝶・・・。携帯電話を使ったアリバイトリックは、推理クイズレベルの小品だが、アイデアは光る作品。
②「妄想日記」=大豪邸の庭で炎に包まれた死体が発見される。そして、被害者が軟禁されていた部屋に残された「謎の文字で綴られた日記」。死体を燃やした理由が印象的。
③「彼女か彼か」=殺害された被害者は美しいニューハーフ。これはどこかで「人物誤認」を仕掛けてるなというのは、最初から察してしまうが、余りにも予想通りのトリックかな。
④「鍵」=殺人現場に残された1本の謎の「鍵」。家や部屋の鍵でもなく、宝石箱や時計の鍵などでもない、では? いやぁー、こんな鍵って本当にあるんだろうか?
⑤「人喰いの滝」=「足跡」に関するトリックは数多いが、これは相当シュールなトリック。フーダニットの方に工夫がないのが惜しいが、これも見せ方の問題かな。
⑥「蝶々がはばたく」=これも「足跡」に関するトリックなのだが、これは生涯一度しか使えないトリックだろうなぁー。作者あとがきを読んで納得したが、そういう時期だったんだんだねぇー。

以上6編。
全体的には、短編らしいワンアイデアの光る作品が並んだなぁーという感想。
アリバイやら密室といった「肝」になる部分は正直たいしたことはないのだが、予想よりは面白く拝読させていただいた。
(個人的に本シリーズはそんなに評価してないので・・・)

氏の短編を読んでると、「短編作品とはこう書くんだ」というのが何か分かるような感じがする・・・
(ベストは①かな。あとは⑤)

No.24 6点 makomako 2011/09/11 08:09
有栖川氏の短編物は一発芸のようなところがあり、当たれば爽快だが外れるとなあんだということとなりがち。この作品集はあたりではなかったが、大はずれでもない。旅行中のつれづれに読んだので退屈しのぎにはなったが、心に残るようなものでもなかった。氏のファンであるので多少甘めの評価かもしれない。

No.23 5点 まさむね 2011/08/16 22:19
 何とも芸のない書評で恐縮ですが,「可もなく不可もなく」というのが率直な印象。後々まで記憶に残りそうな話は無かったですね。
 その中でも,時期的には,どうしても最終話の「蝶々がはばたく」のトリックに目が行きます。確かに成り立つし,ほどよい余韻も具備している,ますまずの作品ですが,今年の3月11日以降に読むと,複雑な気持ちになりますね。

No.22 5点 りゅう 2011/08/09 20:08
 傑出した出来栄えの作品がなく、作品集としては平凡な印象を受けました。
「ブラジル蝶の謎」
 火室の真相説明は、犯人がブラジル蝶を天井にディスプレイした理由などがうまく説明されており、トリックとしても面白いのですが、もう一人、犯行が可能な人物が残されているので、考えられる解の一つに過ぎないと思いました(ただし、もう一人が犯人の場合はブラジル蝶をディスプレイした理由が説明できませんが)。
「妄想日記」
 遺体を燃やした理由は意外ですが......。暗号の真相は肩透かし気味です。
「彼女か彼か」
 この真相の一部は、伏線があからさまなので予測することができました。
「鍵」
 ちょっと時代錯誤的な真相です。肝心の鍵を当人以外が持っていたのでは役に立たないと思いますが。
「人食いの滝」
 バカミスっぽいトリックですが、面白いアイデアです。ただし、後日証拠が発見される可能性が高そうですし、気象条件が変わると全く逆効果になってしまいます。また、片瀬が新しい長靴を履いていた理由が説明されていないように思うのですが。
「蝶々がはばたく」
 人間消失に関する謎で、本来は謎として成立しないのですが、問題提示の仕方が工夫されているため、成立しています。真相も逆転の発想で面白いのですが、持ち上げるほどの作品でもありません。

No.21 6点 HORNET 2011/01/10 12:18
 表題作もまずますでしたが,それ以外の作品もきちんとトリックが考えられていて面白いと思いました。「妄想日記」「人喰いの滝」などが私としてはよかったです。

No.20 6点 星屑の仔 2010/08/25 01:03
短編小説集。
まぁただ、後日どんな話があったかと言うと、あまり思い出せない。
アッサリテイスト。

No.19 5点 seiryuu 2010/07/30 15:33
今回はすごいと思えるものはなかったです。
読みやすいので読み物にちょうどいい。
前半はイマイチ。
「人喰いの滝」と「蝶々がはばたく」が好みでした。

No.18 7点 2009/10/17 09:08
初めて読む作家で、それほど期待せずに読み始めました。2,3編読み進んだところでは、みな探偵があっけなく解決してしまうのでイマイチだなとの印象でしたが、尻上がりに良くなってきました。トリックが良いとか、謎解きが論理的だとかいうのではなく、感性にマッチしているといった感じです。読みやすさや、関西のなじみの地名がよく出てくることも良く感じたことの一因なのですが、それだけではないようです。
作品としては、『人喰いの滝』の馬鹿げたトリックが気に入っています。『鍵』のオチも良かったですね。それから、『蝶々がはばたく』はなんだかジーンときました。この『蝶々』は短編のラストを飾るにふさわしい作品だと思います。


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