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[ 本格/新本格 ]
マレー鉄道の謎
作家アリス&火村シリーズ
有栖川有栖 出版月: 2002年05月 平均: 6.43点 書評数: 37件

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講談社
2002年05月

講談社
2005年05月

No.37 7点 虫暮部 2021/01/08 14:26
 もう少し短くても良い気がするものの、何処に鋏を入れるかは悩ましい。さほど意味の無いくだりの方が面白かったりするし。
 火村の台詞“(Jに)冠詞がついていたはずだ”は間違い。無しで言ったものを犯人は冠詞つきの内容と誤認した、だよね。

No.36 7点 zuso 2020/07/20 18:11
立場の逆転により咄嗟に密室を構成した仕掛け、コップや手袋など小道具を巧みに配して、芸の細かいところを見せてくれる。

No.35 4点 mediocrity 2019/10/16 05:49
日本推理作家協会賞受賞作とのことだが、氏の長編の中では『海のある奈良に死す』と並んで退屈だった。
マレーシア旅行の雰囲気を楽しめるほど周遊しているわけではない。蛍を見るあたりは良かったけど、そのくらいしか覚えていない。かといって、ミステリ部分、例えば密室トリックなども、この方の実力からすると平凡な気がした。

No.34 7点 まさむね 2018/10/14 18:21
 作者の本格愛と確たる技量を感じる作品ですね。密室の真相自体はアレだけれども、謎は決してそれだけではなく重層的だし、最後まで捻られています。伏線の配置もお見事。序盤は冗長に感じた面も正直あったのですが、事件発生後はあっさりと引き込まれましたねぇ。登場人物一人ひとりに役割を与え、決して「無駄にしない」姿勢も素晴らしいです。

No.33 6点 nukkam 2018/08/13 23:05
(ネタバレなしです) 2002年発表の火村英生シリーズ第6作で国名シリーズ第2長編でもある本格派推理小説です。国名シリーズのパイオニアであるエラリー・クイーンにしろ有栖川有栖にしろ作品にその国が実際に登場することはなかったと思います。クイーンの「アメリカ銃の謎」(1933年)はアメリカが舞台ですけど、これはアメリカ人の作家が普通に自国を舞台にしているだけであって例外的だとか特別だとかは感じません。しかし本書は舞台がマレーシアで、特に第1章と第2章で結構異国描写に力を入れているのが新鮮でした。なかなか意見を述べない火村の描写が少しくどく感じますが本格派としての謎解きもしっかりしています。密室トリックは某国内作家Aの某作品や某米国作家Pの某作品(こちらは没トリックですが)を連想させますがなかなか印象的、そして伏線の巧妙な張り方も印象的です。某国内作家Tの某作品や某国内作家Kの某作品を連想させる、苦味を残す(火村は込み上げてくる感情を抑えます)締めくくりもまた印象的です。

No.32 6点 HORNET 2018/03/11 12:02
 異国での旅情が漂う作品で、読んでいるとこちらも南国にいるような気持になる心地よい作品だった。旅行に行きたくなるね。

<ネタバレ>
 密室トリックについては正直予想の範疇で、それほど優れている印象はなかった。そもそもコンテナという「箱」である時点で、そのことを生かした工作は予想できるし、既に先行作品の中にもいくつかある。正確にトリックが分かったわけではなかったが、然り気なく何度か描かれているコップのことも気付いていたので「ああやっぱり」という感じだった。
 3番目の殺人の動機となった「ジャック」の捉え違いは秀逸な仕掛けだと思った。犯人は、全くの的外れな推理をしていたアランの何を恐れたのか?…そういうことだったのか、と頷けた。勘違いで殺された彼はなんとも可哀想だが。

 最後に明かされる犯人の人間像が衝撃。後になって、伏線の張り方も絶妙だったな、と感じる作品だった。

No.31 7点 パメル 2016/12/20 13:23
作者自身がクリスティーとカーとクイーンを意識して書いたと言っていることから本格ミステリとしての自信作とうかがえる
目張りされた密室にアリバイ崩しそしてダイイングメッセージも盛り込まれている
旅情感もたっぷりで南国リゾート地に訪れた気分になれて寒い時期に読むにはピッタリ
複雑な人間関係の連続殺人事件で細かく張られた伏線がはまっていく様は心地良い
メイントリックの謎が解ると自動的に犯人に結び付くという構図も中々面白い
不満な点は二人で状況を確認しながらの推理が同じ話の繰り返しで堂々巡りしている点
もう少しコンパクトにまとめられたでしょう

No.30 7点 ボンボン 2016/05/29 16:00
マレーシアを旅行中の火村とアリス。二人の掛け合いはいつにも増して軽妙だし、アリスの頭の中(地の文)も相当愉快なので、笑って読める。
しかし、全編通して薄暗い心を持った人たちがぞろぞろ出てくるので爽快感はない。
悪とは何か。それが生き残るための手段であっても、例え法に触れないとしても、人としてやってはいけないこと、赦されないことというのは厳然としてある。ということかな。
密室、連続殺人、ダイイングメッセージ等々、豪華に各種取り揃えながら、火村の「蓋然性の検討」をもって謎を突破する。時間軸も人間関係も人々の心情も、すべてが見事に連鎖していて、最後には、あんな冗談みたいな「目張り」まで含め、細部に亘って「初めから当然これしかなかった」と納得させるのだから、実に有栖川有栖らしい技だ。(ただし、「目張り」の種明かしは、珍しく文章で分かりにくかった。)
そのほか、旅の高揚感や自然描写の美しさ、さらには、普段見えにくい火村の人間味が漏れ出たり、アリスのアクションシーンもあったりで、お楽しみ満載。

No.29 7点 青い車 2016/02/19 22:47
異国情緒漂うストーリーがいいですね。そこを舞台に火村とアリスが活躍するだけでファンとしては嬉しくなります。内容は密室トリック一本勝負なのにそれなりのヴォリュームを面白く読ませてくれるのは、やはりプロットの完成度の高さが故でしょう。ダイナミックな目張り密室の種明かしも面白く、間違いなく作者の代表作に数えていいと思います。

No.28 7点 風桜青紫 2016/01/14 04:21
短編でいいという意見もあるようだけども、いやいやこれは長編でこそ光る話ではないか。トリックだけ抜き出してみれば、有栖川有栖らしいワンアイデアの短編にありそうなネタだが、その場面を再現するまでの話運びがうまいミスディレクションになっている。どうして遺体を閉じ込める必要性があったのか、というアイデアの反転に初期の作家アリス(っていうか『46番目の密室』)に似たカタルシスを感じた。ここからの火村と犯人の対決シーンの妙な盛り上がりにはなんだか燃えてしまった。アリスと火村のホモ臭いやりとりにも磨きがかかってるし、作家アリスの長編ではこれが一番充実した作品ではないだろうか。

No.27 7点 505 2015/10/26 13:49
国名シリーズかつ作家アリスシリーズでは、かつての過去最長編であった本書であるが、事件そのものは堅固なフーダニットが主題にあり、その付属品として『密室』がある。
密室状況に至っては、現場のケースを考慮すればするほどに〝死体は他殺体なのか否か〟に揺れに揺れることで、巧妙にミスリードを誘っていると言える。そして、物語途中で遺書までが見付かる始末ときて、連続殺人が起きるわけであるが、ホワイダニットとハウダニットのバランスが良い。突き詰めれば〝なぜ遺書を書いたのか〟と〝どうやって密室状況を作ったのか〟という一見矛盾する仮説が生まれるわけで、自殺説自体を有力視することは難しくなるのだが、そこに作家アリスの珍推理が炸裂したり状況を一転させたり、と様々な要素が蓋然的に絡み合う複雑な構図を有栖川有栖の見事な筆でスムーズに運ぶことによってミスディレクションを効かせている。

密室に対するアンサーも、バカミスと言う程突き抜けてはいないと感じたが、〝それすらも利用し、あれすらも伏線に使う〟技巧的な筆致に目を奪われた方が衝撃的であった。
探偵役の火村の犯人当ての際では、逆説的かつ蓋然性の高い推理が披露されるが、これがまた隙が小さく、解明していく様は非常に作者らしい力がある。
遺書や死体の死亡推定時刻から導かれる推論から、着実に進んでいく思考過程が楽しい。
そこで終わりかと思いきや、物語終盤に更なるサプライズを用意してある構成も大長編に相応しい質と量を兼ね備えており、ただのロマンチストで終わらない後味を残してくれるので、単なるトラベルミステリと侮るなかれといったところか。

改めて、長編シリーズにおける作家アリスの頓珍漢な推理と手堅い火村の言動のバランスが良く、このコンビならではの掛け合いもあるため、キャラクター小説としても本格ミステリとしても佳作の出来だと言って差し支えないだろう。

No.26 6点 いいちこ 2014/08/29 16:43
核となる謎の不可解さは相応のものだが、フィージビリティには疑問も残り、目を見張るほどの解決ではない。
犯行はかなり場当たり的で、しかも相当な強行軍。
犯人は意外性に乏しいうえ、致命的なミステイクを犯し、必要のない殺人に及ぶなど軽率な行動が散見。
ある登場人物の愛称を使った伏線は上手さを感じたが、未回収の伏線や挿話も多くアラが目立つ印象。
作品全体の骨格はまぎれもなく本格なのだが、短編向きのコアを長編に仕上げたのが敗因だと思う

No.25 7点 ボナンザ 2014/04/07 15:50
シリーズ最高傑作。全編に作者のやる気が満ちている。

No.24 5点 スパイラルライフ 2012/02/06 12:30
これも地味。
あれも伏線だったのか!という驚きが
そのあとの論理的な収束、解決の美しさを際立たせると思うのだが、それが本作品では感じられなかった。
他の方が仰るように、短編で良かった気がします。

No.23 7点 smile66 2011/02/27 23:42
ちょっと火村先生が手惑いすぎのような気がする。
最初の事件はやく片付ければよかったのに。
ただマレーシアが舞台でトラベルミステリ的な要素いい感じでよく読ませてくれる。

No.22 5点 星屑の仔 2010/08/25 01:01
うん。
面白かったけど・・・
でも良くわかんなかった。
何か読む前に期待度が上がってしまった分もあるのか・・・

No.21 6点 seiryuu 2010/08/07 14:41
中盤まではだらだら感じたけど後半の展開が面白かった。

No.20 6点 E 2009/09/23 15:28
国名長編シリーズ。
いつも通りの楽しみ方でしたが・・・あまり印象に残らなかったですな;

No.19 5点 E-BANKER 2009/09/09 22:15
一連の火村助教授シリーズでは上位、作者全体としては中くらいの出来の作品。
目張りを施した部屋の密室についてはまあまあの出来ですが、真犯人の意外性のなさをはじめ、なにか全体的に物足りない印象が残る。まぁ、シリーズ全体でも言えることですが・・・
ちなみに、マレー鉄道に関する謎は特に出てきません。

No.18 7点 測量ボ-イ 2009/05/23 09:35
有栖川氏の作品としてはまあ水準レベル。密室トリックにも
挑んでいて、悪くないですけどね。でも解決偏では文章だけ
の説明なので、少し判りにくい部分もあります。
作中、聞き取れない英語「×××××」に事件の謎を解く鍵
があるのかなと思ったのですが、考えすぎだったようですね。


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