| nukkamさんの登録情報 | |
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| 平均点:5.44点 | 書評数:2930件 |
| No.10 | 6点 | 誕生パーティの17人 ヤーン・エクストレム |
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(2009/01/19 18:01登録) (ネタバレなしです) 1975年発表のドゥレル警部シリーズ第8作の本格派推理小説で、息子を殺した父親が密室状態の部屋で自殺したかのような事件が起きますが自殺と判断するには疑問点が出て密室殺人事件の謎解きになります。そこは「スウェーデンのカー」と評価される作者らしいところではありますが家族間の複雑な人間関係を描くことに重点を置いているところはむしろクリスティーの作品の方に近いように思います。さすがに登場人物が多すぎて整理しきれていない感もありますが、手堅いプロットの本格派推理小説です。ちょっと変わった密室トリックが印象に残りました。犯人当てとしてはもう少し丁寧に謎解き説明してほしい気もありますが。 |
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| No.9 | 10点 | グリーン家殺人事件 S・S・ヴァン・ダイン |
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(2009/01/19 14:31登録) (ネタバレなしです) 1928年発表のファイロ・ヴァンスシリーズ第3作で(子供用のリライト版は別ですが)私が初めて読んだ推理小説なので、10点評価には思い入れの分も織り込まれています。現代の本格派推理小説には本書よりも優れた内容の作品はいくらでもあるでしょう。とはいえサスペンス濃厚な雰囲気は今なお十分に魅力的だし、100近い項目に分類しての手掛かり分析はまさしく謎解きの王道路線を貫いています。 |
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| No.8 | 8点 | 燃えた花嫁 山村美紗 |
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(2009/01/19 13:38登録) (ネタバレなしです) 私は山村美紗作品をそれほど多くは読んでいないのですが、今後どれだけの作品を読んだとしても1982年発表のキャサリンシリーズ第3作の本格派推理小説である本書が最高傑作というMY評価は変わらないと思います。何といっても連続焼死の謎の魅力が素晴らしいです。被害者が火の気に細心の注意を払い、更に厳重な警備体制を敷いているにもかかわらず事件発生が止められないという、絶対的に思える不可能犯罪を実に合理的に解明しています。トリックの鮮やかな謎解きに比べて犯人当ての方が印象に残らないのがやや弱いですが、それでもこの作者の本をまず1冊というなら私は本書を推薦します。 |
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| No.7 | 8点 | 11枚のとらんぷ 泡坂妻夫 |
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(2009/01/16 15:14登録) (ネタバレなしです) 泡坂妻夫(1933-2009)の1976年発表のデビュー作で実に読み応えのある本格派推理小説でした。(多分発表当時では珍しいであろう)作中作を挿入する構成をとっていますが、それがちゃんと謎解きにも貢献しているのが巧妙です。奇術の世界の雰囲気が濃厚なのも謎解き好き読者にはアピールするでしょう。 |
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| No.6 | 7点 | 悪魔の報酬 エラリイ・クイーン |
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(2009/01/16 14:59登録) (ネタバレなしです) 1938年発表のエラリー・クイーンシリーズ第12作はハリウッドを舞台にした作品で、国名シリーズやドルリー・レーン4部作とは全く雰囲気が違い、どたばたとお笑いに徹しているのが特徴です。おふざけが目立ち過ぎてクイーン作品の中では一般的評価は低い方ですが本格派推理小説としての手抜きはなく、クイーンならではの論理的な謎解きがちゃんと楽しめます。 |
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| No.5 | 8点 | 高貴なる殺人 ジョン・ル・カレ |
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(2009/01/14 15:05登録) (ネタバレなしです) 英国のスパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレ(1931-2020)による1962年発表のジョージ・スマイリーシリーズ第2作ですが、例外的に本格派推理小説の作品でスパイ小説ではありません。犯人の正体だけでなく、ある容疑者が犯人でない理由までも丁寧に推理説明しています。寒さと暗さの雰囲気や心理描写に秀でており、全体的には地味ながら全く退屈しませんでした。ル・カレと言えばスパイ小説のイメージが強いので異色作である本書は多分最も知られざる作品でしょうけど、本格派推理小説としては読んで損のない作品です。 |
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| No.4 | 3点 | ドグラ・マグラ 夢野久作 |
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(2009/01/14 14:19登録) (ネタバレなしです) 1935年発表の本書は日本ミステリー3大奇書の1つと評価されているだけあって尋常の作品ではありません。犯罪は既に行われて(いたらしく)、犯人(らしき者)も既に判明し、果たして何が起こったのかを調べていく謎解きプロットは法廷ミステリーに通じるところがあります。しかし精神異常者が精神異常者の精神鑑定を行っているような展開が延々と続き、何が客観的事実なのか見定めようがなく、あまりの難解さに途中で放り出したくなります。構想10年以上、夢野久作(1889-1936)が作家人生のほとんどをかけただけあって壮大かつ緻密な妄想の世界が広がります。角川文庫版の巻末解説にある通り、わかったような気になるのがせいぜいではないでしょうか(私は理解しきれませんでした)。凄い作品なのは確かですが、凄すぎて一般の読者には薦められません。 |
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| No.3 | 8点 | 貴婦人として死す カーター・ディクスン |
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(2009/01/14 11:07登録) (ネタバレなしです) 1943年発表のヘンリー・メリヴェール卿シリーズ第14作で、なるほど中期の傑作と評価されるにふさわしい本格派推理小説でした。崖に向かって続く男女2組の足跡。だが戻ってくる足跡はなく、2人が心中と思われる死体となって発見されるがやがて殺人の証拠が出てくる。しかし殺人となると今度は犯人の足跡がない謎が生じてしまうという厄介な事件です。しかし足跡トリックだけの作品ではありません。事件関係者を語り手にした1人称形式が効果的で、アマチュア探偵の役割も与えて謎解きの面白さを増幅しています。破綻したと思われる推理が決め手への一歩になったりとなかなか技巧的です。どたばたシーンもあってお笑いを演出していますが、一方で人情談としてもよくできています。 |
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| No.2 | 10点 | 八つ墓村 横溝正史 |
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(2009/01/14 09:29登録) (ネタバレなしです) 1949年から雑誌連載が開始され、途中で中断を挟みながらも1951年に完結となった金田一耕助シリーズ第5作ですが今回はあまり名探偵らしさを発揮していませんし(登場シーンも少なく、ほとんど脇役です)、本格派推理小説としては問題点も多いです。しかし巻き込まれ型サスペンスと冒険スリラーのミックスタイプとしては最高の出来栄えで、壮大なスケールとはらはらする展開にページをめくる手が止まりません。 |
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| No.1 | 10点 | アクロイド殺し アガサ・クリスティー |
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(2009/01/09 14:36登録) (ネテバレなしです) 1926年発表のポアロシリーズ第3作の本格派推理小説で、もはや伝説的な作品ですね。トリックの是非を巡って散々議論されています(そして結論は永久に出ないでしょう)。トリック以外はつまらないという意見もありますが、ポアロが登場人物全員が嘘をついていると宣言して1人ずつその嘘を暴いていく謎解きプロットも十分面白いと思います。麻雀(英国で人気ゲームだったのでしょうか?)しながらの謎解きディシュカッションも私のお気に入り場面です。幸いにして私はトリックを前もって知ることなく新鮮な状態で本書を読めました。クリスティー自身はこのトリックを考案したことをちょっと自慢しているようですが、実は他作家による前例があります。もしそれを先に知っていたら評価も変わったかもしれませんが、私は本書が初体験ですのでその時の感動で10点満点を与えます。 |
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