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ミステリの祭典

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写楽百面相

作家 泡坂妻夫
出版日1993年07月
平均点4.40点
書評数5人

No.5 6点 虫暮部
(2018/03/22 14:12登録)
 必ずしも写楽がストーリーの主軸と言うわけではないので、このタイトルは如何なものか。正体の謎に対してもっとがっぷり四つに取り組んだものを期待してしまったので若干の肩透かし感あり。
 そのせいもあってか、物語の本流よりも、細々としたディテールのほうが楽しかった。時代風俗に関する注釈をあまりせずにすいすい進む筆致は心地良い(が、それを全てストレートに理解するにはいかんせん私の知識が足りない)。

No.4 5点 E-BANKER
(2016/11/13 21:16登録)
1993年発表。
私個人が読んだ「写楽」に関するミステリーとしては、高橋克彦の「写楽殺人事件」・島田荘司「写楽~閉じた国の幻」に続いて三作目となったのだが・・・

~時は寛政の改革の世の中、版元の若旦那二三(にさ)は、芸者卯兵衛の部屋で見た役者絵に魅入られる。斬新な構図、デフォルメの奇抜さ。絵師の正体を探るうちに、幕府と禁裏を揺るがす大事件が浮かび上がり・・・。芝居、黄表紙、川柳、相撲、手妻にからくりなど、江戸の文化と粋を描き、著者のすべてを注いだ傑作~

「写楽」の正体だけにフォーカスした作品ではなく、寛政~文化・文政ころの江戸文化に焦点を当てたエンターテイメント小説、という感覚だった。
登場人物も主役として登場する二三のほか、葛飾北斎(作中いろいろな名で登場する)や蔦屋重三郎、十返舎一九、そして多くの歌舞伎役者や相撲取り、松平定信をはじめとする武士たち・・・
正直なところ頭の中が混乱すること請け合い。

「写楽」の正体については、本作は突飛な説を唱えているわけではなく、阿波藩お抱えの絵師という現状の説で最も有力な人物だとしている。
写楽の「絵」に関してもそれほど触れているわけでなく、写楽の正体に興味・関心のある読者にとって本作はお勧めできない。
(そういう意味ではこのタイトルはあまり相応しくない気がする)

でもこの頃の江戸の街って面白そうだね・・・
島田荘司が昔の作品のなかで、よく「江戸」を理想郷とするようなことを書いていたけど、人間が実に人間臭く、生き生きしているように思える。
それを思えば、現代はもちろん技術的には飛躍的に進歩してるんだろうけど、人間そのものとしては退化しているのかもしれない。
そんなことを感じた。
「浮世絵」なんて見てると、時代を超えたパワーというか、魅力を感じるもんね。

って全然作品の書評になってないような・・・
ラストはさすがに作者らしくうまい具合にまとめてます。(一応フォローしておく)

No.3 4点 TON2
(2012/11/04 20:23登録)
(ネタバレ)
写楽=阿波藩お抱え能役者斉藤十郎兵衛、富本の名は細島右衛門、俳名捨来紅西説。
江戸時代の本屋や芝居の状況が鮮やかです。それにしても、当時の通人はへんてこな名前を持っていたものです。

No.2 4点 kanamori
(2010/08/18 17:48登録)
写楽の謎に寛政年間の謀略が絡む時代ミステリ。
歴史ミステリとして期待して読みましたが、正直リーダビリティに欠ける内容でした。
一番不満なところは、次々と実在の人物が登場するが、読者に対する説明が不親切な点で、ある程度この時代の知識がないと人物整理だけで精一杯だと思います。

No.1 3点 Tetchy
(2007/11/06 19:33登録)
単純に好みに合わなかっただけかもしれません。
江戸当時の言葉遣いとか古い言葉が出てきて、十分に理解できなかったのも一因です。
でも最後の纏め方は好きですね。

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