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ミステリの祭典

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ミンコット荘に死す
キャロラス・ディーン

作家 レオ・ブルース
出版日2014年09月
平均点5.80点
書評数5人

No.5 6点 ボナンザ
(2020/03/07 14:23登録)
死の扉同様、捜査過程に力点を置いた佳作。
真相も一ひねりだけしてあって、ちょうどいい塩梅。

No.4 7点 E-BANKER
(2016/10/08 22:01登録)
1956年発表。
キャロラス・ディーンを探偵役とするシリーズ三作目。
原題は“Dead for a Ducat”(これは『ハムレット』の逸話から取られているとのこと)

~十一月の深夜。歴史教師のキャロラスは、ミンコット荘の主人レディー・マーガレット・ピップフォードから電話を受ける。娘婿のダリルが銃で自殺したらしい。至急来てくれないかというのだ。早速駆けつけたキャロラスは、ベッドの上に血まみれで横たわるダリルの遺体と対面する。警察は自殺と判断するが、そう考えるにはいくつか不可解な点があることにキャロラスは気付いていた・・・。名探偵キャロラス・ディーン再び登場。緻密な細部と大胆なトリック。これぞ英国本格の真骨頂!~

この頃の作品らしい、非常に端正な本格ミステリー、という感じがした。
良くも悪くもオーソドックスな英国本格と言えそう。
事件関係者(らしい)人物が多めで、何となくてごちゃごちゃしている印象を与えているが、謎解きのプロットそのものはシンプルというか、実に納得性のあるものだと思う。

巻末解説者が本作について、「レトリックに頼ったもので、論理的完璧性はない」と辛口評価をしているけど、伏線はふんだんに張られているし、途中でピンとくる読者も多いのではないか?
こういう大掛かりなプロットで攻めるなら、殺人事件や背景に神秘性やら不可能趣味やら、その他派手な装飾を施す作家もいるだろうけど、サラっとまとめているのもそれはそれで良いと感じた。
「犯人足り得る七つの資格」という条件を持ち出し、キャロラスが真犯人を炙り出す終章の緊張感もなかなか。
(ただまぁ、ミスリード足り得る人物がいなさすぎという欠点はあるが・・・)

他の方も指摘されいるとおり、本作の仕掛けは前例があり、個人的にもどこかでお目にかかったような気はする。
でも、まずまず高評価したい作品。
“スゲエ変化球や高めの釣り球ばかり見てきたら、たまには130キロ台でもいいから、ストライクゾーンにコントロールされたストレートを見たい”・・・という感じか?
(分かりにくい表現で申し訳ない)
ビーフ巡査部長シリーズは未読なので、機会があれば手に取ってもいいかな。

No.3 4点 makomako
(2014/12/06 17:41登録)
 2013年度本格ミステリ外部門で2位ということで読んでみたのですが、これは私には合いませんでした。残酷な描写やエログロではないのですが、とにかく登場人物がみんな感じが悪い。探偵もおせっかいはやかないなどといいながら、自分の興味だけで大いに他人のことに口を挟みうっとうしいやつでした。
 ミステリーとしては伏線も張ってあり意外な犯人(ミステリーを読みなれた方ならあまり以外ではないかも)もありで、まずまずなのですが、生意気な生徒、頭が悪いのにうるさい女、支離滅裂なことをやたらしゃべるのに肝心なことは語れない男などなど。
 とにかくイギリス人はこんなに自分のことしか考えない利己主義者ばかりなんだろうかと疑いたくなるような人物ばかりで不快でした。

No.2 6点 kanamori
(2014/10/20 20:25登録)
キャロラス・ディーンは深夜に、女傑で知られる旧知のレディ・マーガレットから、娘婿のダリルが銃で自殺したという電話を受ける。早速ミンコット荘に駆けつけたキャロラスだったが、いくつかの不可解な点に疑問を抱く。そして二人目の死体が--------。

パブリック・スクールの歴史教師で素人探偵のキャロラス・ディーンが登場するシリーズ3作目。
事件当時のミンコット荘には、女主人マーガレットとダリルの2人住いだが、別に暮らす息子と娘、使用人たち、村の近隣住民など、かなり多くの関係者が登場する。でも、女中のホッピーをはじめ端役の一人ひとりが個性豊かで、本来間延びしそうな聴き取り調査のパートも退屈はしません。悪ガキのルーパートらレギュラー陣との絡みもシリーズを読み進めるにつれ楽しくなってきます。とはいっても、さすがにレッドヘリングのための人物が多すぎる気がしますが。
先例がある大胆な仕掛けに関しては、(キャロラス同様に直感で)わりと早い段階で真相に気付いてしまった。そのために、よけいに演出過剰なレッドヘリングが気になったのかもしれません。
(なお、本サイト常連のかたは解説にも要注目です)

No.1 6点 nukkam
(2014/10/07 16:39登録)
(ネタバレなしです) 1956年発表のキャロラス・ディーンシリーズ第3作の本格派推理小説です。私はこの作者はアイデアが優秀でも謎解きプロットが雑になって損しているというイメージを持っているのですが、本書は結構緻密なプロットになっていると思います(とはいえ扶桑社文庫版巻末の訳者付記では謎解き伏線の問題点がいくつか指摘されていますが)。どことなくのどかな雰囲気が漂っていますが真相は結構大胆で衝撃的です。この仕掛けは某海外作家Cの1930年代発表作品や別の海外作家Cの1940年代発表作品に似たような前例があるし、好き嫌いも分かれそうな仕掛けではあるのですが印象的であることは間違いありません。

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