人形パズル ダルース夫妻/別題『呪われた週末』 |
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作家 | パトリック・クェンティン |
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出版日 | 2013年03月 |
平均点 | 5.20点 |
書評数 | 5人 |
No.5 | 5点 | 弾十六 | |
(2020/11/26 02:34登録) 1944年出版。創元文庫で読了。Q.Patrick名義の中篇Murder with Flowers (初出The American Magazine 1941-12)をWheelerが長篇に引き伸ばしたもの(当時Webbはまだ軍務で南方にいたようだ)。 オリジナルの中篇は”The Puzzles of Peter Duluth”(Crippen & Landru 2016)に収録されているが、未入手。多分、11-17章が主要な付加ではないか、と思う。何か中途半端でダレるからねえ。 となると主たる部分は戦前に書かれたもの。当初の中篇では結婚一周年のお祝いが冒頭の場面というから、ダルースが妻に寄せる過剰な情熱も理解できる。ネタとしても中篇程度がふさわしい。 探偵小説としては薄味。戦時の米国の様子が興味深いくらいで、あまり盛り上がらない話。やはり中篇と比較してみた方が面白いだろう。(詳しく比較を書くとネタバレになりそうだが…) トリビアは後で。オリジナル中篇を入手してから… 銃は出てくるが詳細不明。今まで読んだ作品でも詳しい描写が無かったから、QP/PQは銃に無関心なのだろう。「どれが引き金かすら知らない」という登場人物のセリフもあった。 (以上2020-11-26記載) 上述の短篇集を入手した。中篇は第3章p42-49が冒頭シーンで、軍隊ネタは一切なし。結婚一周年でホテルで踊るダルース夫妻、という設定。サウナ場面無し、P.I.も出てこない。酔っ払いの意味不明なセリフに翻弄されるピーター、という話で、正直つまらない作品。後半の舞台「クロッ◯◯」(ネタバレ防止でキーワードをわかりにくくしています)ネタは、ほぼ長篇同様(Atlantic 1940s color photo 「正しいキーワード」で検索すると当時の雰囲気が出てる素敵なカラー写真あり)。暗闇シーンは中篇にもある。やはりQP/PQにダンマリはつきものなのか。 (以上2020-12-20追記、続く) |
No.4 | 5点 | ボナンザ | |
(2020/05/24 11:44登録) 息をつかせないように畳みかける犯人側の作戦なわけですが、大半の読者には一瞬で犯人分かりますよね・・・。 |
No.3 | 6点 | 蟷螂の斧 | |
(2019/03/18 12:56登録) ピーター&アイリス・シリーズ8冊中、未読のラスト一冊でした。巻き込まれ型サスペンスの典型的な作品です。久しぶりのシリーズなので油断していたら、最後でやられました(笑)。犯人は舌足らずの人物で早めに判明します。よって、フーダニットではありません。しかし、これが伏線になっていたとは!・・・。 シリーズの評価は①迷走パズル(6点)②俳優パズル(8点)③人形パズル(6点)④悪女パズル(8点)⑤悪魔パズル(6点)⑥巡礼者パズル(7点)⑦死への疾走(7点)⑧女郎蜘蛛(8点)となり、十分堪能できました。 |
No.2 | 5点 | nukkam | |
(2016/01/31 21:01登録) (ネタバレなしです) 1944年発表のダルース夫妻シリーズ第3作です。休暇中のピーター・ダルースが軍服を盗まれた上に軍服を盗んだ男が殺人を犯したらしいというプロットの本書は過去2作以上にサスペンスが濃厚、いや完全にサスペンス小説と言っていいと思います。じわじわと真綿で首を絞めるように盛り上がるサスペンスは一級品、ところが創元推理文庫版の巻末解説でも指摘されているように、終盤で挿入された「現代の犯罪」という論文がストーリーの流れをせき止めてしまったような印象を受けました。謎解きは行き当たりばったりで推理要素があまりありません。 |
No.1 | 5点 | kanamori | |
(2013/04/07 13:31登録) 海軍中尉のピーターは、妻で女優のアイリスとサンフランシスコで久方ぶりに夫婦水入らずの休暇を取るつもりが、何者かに殺人容疑者に仕立て上げられ逃避行&探偵活動をするはめに....、といったダルース夫妻の呪われた週末を描くパズル・シリーズの第3弾。 本書は、前2作の限られた容疑者集団内のフーダニットとは趣を変えて、ドタバタ劇風の軽快なスリラーになっています。 クライマックスの公演中のサーカス会場での象のエドウィナの活躍など、それなりに楽しいのですが、本格モノを期待するとやや物足りないかもしれません。最後の最後でタイトルが暗示するどんでん返しがあって一応の面目躍如とはなっていますが。 事件の背景を説明する終盤近くの長々とした犯罪論文の引用は退屈で蛇足の感がありました。 なお、パズル・シリーズ全6冊を読んでの私的相対評価は、 俳優>巡礼者>悪女>迷走>人形>悪魔、の順としておきます。 |