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ミステリの祭典

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PK

作家 伊坂幸太郎
出版日2012年03月
平均点6.00点
書評数5人

No.5 7点 斎藤警部
(2023/07/02 15:04登録)
蹴球W杯アジア予選、圧力を掛けられる大臣、圧力を受ける小説家、阻止すべきパンデミック、特殊能力を持つ者たち、倒れ続けるドミノ。。。。この小説は作りが独特だ。カットバックで進行する短篇×3による連作、さもなくば長篇、というだけでもない。バカ話の比率高くも不思議と濃密な物語世界。頁は少ないが大作感あり。

本作のSF的着想は果たして(小説内の)現実側に立脚するものか、幻想側なのか、割り切れないモヤモヤと拡げた風呂敷を置き去る場所は、いったい何処なのか、快く惑わせてくれた。

全体を見渡すヒントは、ふざけた会話やドタバタエピソードのオブラートに包まれ、大胆に提示されている。

「通り魔界の伊能忠敬みたいなものではないですか」
"どうしてそこで、伊能忠敬が出てくるのか私には理解できなかった。"

PKだけに '外すなよ、外すなよ' と固唾を呑んで見守りもしたものだが、、私にとっては見事な結末の収まりでした。 割 り切 れない残滓も完成図の大事な一要素であろう。

No.4 7点 CHABI
(2016/07/05 22:53登録)
万人におススメはしません。
が、私は好きです。

No.3 8点 E-BANKER
(2015/02/19 23:17登録)
2012年発表。
連作形式を取っているが、世界観は緩やかにつながっており長編として捉えることも可能な作品に仕上がっている。

①「PK」=タイトルはもちろんサッカーの“ペナルティ・キック”の意味で、主役のひとりとしてサッカー日本代表のストライカーが登場する。しかし、話中には複数の異なった時代のストーリーが並行して書かれており、読者は惑わされること必至。他にも視点人物として、若き大臣やその秘書官、謎の作家なども登場し、彼ら(彼女ら)が一体どのような関係なのかにも頭を捻ることに・・・
②「超人」=スーパーマン(米映画のあのヒーローね)登場シーンから始まる作品。いったいどういう展開?って思ってると、ある超能力を持ったひとりの男が登場する。男の携帯メールに未来の犯罪者のプロフィールが送られてくるというのだが、それは本当なのか? ①で登場した人物や場面が挿入される場面もあり、①⇔②がどういう関係を持っているのかにも惹かれるのだが・・・
③「密使」=『私』の章と『僕』の章が交互に語られる展開。『私』は謎の組織に捕らえられ、時空を超えた「密使」の存在を明かされる。そして『僕』はある特殊能力を手に入れ、ある任務のためにこの能力を使うことを強要される・・・。そして唐突に終わるラスト!!

以上3編。
文庫版の帯に書かれた解説者(大森望氏)のことば~『古今東西の小説を見渡しても、似た例がちょっと思い浮かばないくらい、極めて野心的にして大胆不敵。一筋縄ではいかない傑作』~
そのとおりかもしれない。
とにかく作者の才能には改めて脱帽・・・ということで書評終了でもいいのだが、もう少しだけ感想。

ちょうど東北大震災の時期に発表された本作。仙台在住の作者なら、当然それを意識していると思いきや、実は大震災の前には書き上がっていたことが作者あとがきで明らかにされている。
作中では、「ヒーロー」や「勇気」というフレーズも頻繁に登場し、閉塞した時代への作者なりのメッセージが込められていることが想像できる。
それにも増して、作品全体に張り巡らされたこの仕掛けはどうだ!
結局最後まで作者の口(?)から解答は明らかにされないのだが、パラレルワールドなどSF要素も取り入れた本作は、作者の力量・キャパシティを十分に示した作品だと思う。
高評価したい。

No.2 4点 まさむね
(2013/03/10 18:44登録)
 3編からなる短編集。3話とも微妙(?)に繋がっているわけです。
 で,率直な感想としては,モヤモヤするし,なんだか小難しくし過ぎている感もあって,あまり面白くなかった…。
 いや,作者が敢えてやっている意図は分からないでもないのです。最終話「密使」自体も嫌いではないし…。でも何と言うのかなぁ…展開が迂遠で遅いからなのか「読み進めたい!」ってあんまり思わなかったなぁ…と。それと,作者の想いは分かるんだけれど,ちょっと「押し付けがましい」印象も。

No.1 4点 ayulifeman
(2012/07/27 00:33登録)
3章あって、どの章でも最期けむに巻かれてる感じがしてスカッとしない。
いろんなことがわからないままほっとかれている感じがします。
読解力がないと真髄を味わえない作品でしょうか。
文体は好きなので楽しくないというわけではないのですが…。

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