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ミステリの祭典

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玩具店の英雄 座間味くんの推理
座間味くんシリーズ

作家 石持浅海
出版日2012年04月
平均点4.80点
書評数5人

No.5 5点 青い車
(2018/12/04 17:50登録)
 前作『心臓と左手』より明らかに落ちるのは他の方の書評と概ね同じ意見です。個人の見解ですが、石持作品の文章は普通以上に上手いと思うのに何故か引き込まれるものがありません。連作の形式が「マンネリ」という悪い方向に作用してるのも、この文章の問題が大きいのではないでしょうか。

No.4 4点 ボナンザ
(2018/09/02 19:59登録)
ワンパターンな感がさすがに否めない。推理といっても憶測に近いので、ロジック好きには微妙かも。

No.3 4点 E-BANKER
(2015/05/31 09:54登録)
長編「月の扉」、短篇集「心臓と左手」に続き、“座間味くん”を探偵役とする作品集。
今回は大迫警視に加えて、警視庁科学警察研究所の津久井がレギュラーとして登場。三人が毎回美味しそうな酒と料理を前に発生した事件について語り合う・・・というスタイル。

①「傘の花」=厳重に警備されていた国会議員があろうことかヤス(武器のことね)で刺殺される事件。警察の面目はまる潰れだが、実は異なる真実が隠されていた・・・。以下、各編すべて、過去に解決したはずの事件が、“座間味くん”により別の真相が導かれる、という形式を踏襲する。
②「最強の盾」=企業テロ事件がテーマ。「最強の盾」とは赤ん坊のことだが、赤ん坊を救ったと賞賛された警察に対し、座間味くんは全く別の視点を投げ掛ける。
③「襲撃の準備」=多くのスポーツ特待生を受け入れる新興高等学校。“野球エリート”だった生徒が肩を壊し劣等生に。それを恨んだ生徒が復讐の刃を元同僚に向ける。これも意外な人物の本心が明らかにされる。
④「玩具店の英雄」=休日に子供連れで玩具店を訪れた警察官。まさにその時に発生した通り魔事件。あろうことか、犯人の前で腰が抜けてしまった警官と、それを救った素人男性。普通に考えれば、警官には非難轟々だろうが・・・これも別の見方。
⑤「住宅街の迷惑」=住宅地に突如現れた巨大仏像。新興宗教の教団施設には住民たちの怒りの声が寄せられる。そんな中発生したテロ事件。警官を巻いた犯人は、しかし教祖の前に取り押さえられるのだが・・・。これも裏の真相が、という展開。
⑥「警察官の選択」=乗っていた自転車をトラックに巻き込まれた少年と、運転中に心臓麻痺を起こしたトラックの運転手。ふたりを巡って、これまたふたりの警官が究極の選択を迫られる。この真相は無理矢理感たっぷり。
⑦「警察の幸運」=舞台は新幹線の車中。外国からの要人を警備していた警察は、僅かなスキを掻い潜られ、車内に発炎筒を投げ込まれ・・・る前に幸運が訪れる。しかし、これも座間味くんが新説を出す。

以上7編。
うーーん。明らかに前作「心臓と左手」よりも落ちる。
とにかくワンパターンすぎるのだ。
今回は形式に拘りました・・・ということなのだろうが、ここまで似たような話を読まされるとさすがに飽きる。
プロットも今ひとつ感がたっぷりだし、ひと言でいうなら、「策士、策に溺れる」ということではないか?
続編の構想があるなら、今一度プロットの練り直しを期待したい。
(どれもイマイチかなぁー。敢えて言えば、タイトルにも採用された④)

No.2 5点 まさむね
(2013/01/03 21:59登録)
 座間味くんシリーズの短編集。
 過去の「事件」について食事をしながら雑談⇒不自然な点について座間味くんが推理⇒事件の様相がガラッと変わってくる… という一連のスタイルは前作同様です。雑談者としては,前作の座間味くん,大迫警視正に加え,科警研所属の女性エリート津久井さんが新たに登場。彼女が事件の「語り部」となります。
 座間味くんの語るロジックはなかなか楽しめたのですが,同じパターンが続きますと先が読めますし,正直ちょっと食傷気味に…。ちなみに,作者お得意の食事&酒のシーンは好きです。

No.1 6点 kanamori
(2012/06/11 23:56登録)
「月の扉」の座間味くんシリーズ。
「心臓と左手」につづくグルメ料理つき安楽椅子探偵ものの連作ミステリで、今回は大迫警視正は同席するだけで、科学警察研究所の女性キャリアがネタを提示する。

解決済み事件の話題の中に出てきた、ちょっとした”不自然なもの”を嗅ぎつけ、事件に隠された裏の構図を暴くという基本的に同じパターンなので、続けて読むと”落とし所”が透けて見えるが、真相に至るロジック展開は楽しめる。
本筋とは関係ないけれど、妻子持ちの30歳代の社会人をつかまえて、いまだに「座間味くん」(仮名)というのは違和感があるなあ。

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