home

ミステリの祭典

login
謝罪代行社

作家 ゾラン・ドヴェンカー
出版日2011年08月
平均点5.00点
書評数5人

No.5 5点 YMY
(2024/01/05 22:13登録)
謝罪代行業なる新ビジネスを始めた四人の若者が、正体不明の殺人者に脅迫されて死体処理をさせられる。
有無を言わせぬ状況設定で、ぐいぐいとサスペンスの中に巻き込んでいくやり方が凄まじい。三つの時刻が不思議な形でばらまかれた叙述も特徴的で、終盤になって何がどうなっていたのかが判ると不思議な感動がある。

No.4 5点 猫サーカス
(2020/02/07 18:52登録)
奇抜な発想の妙が効いている作品。仕事のない若者4人が「謝罪を代行する」商売を始めた。商売は成功したが、ある日、指定場所に行くと、壁に釘ではりつけにされた女性の死体に出くわす。相手4人を脅迫し、女性への謝罪と死体の始末を強要した。しかたなく指示に従った4人は、恐ろしい事件に巻き込まれていく。「おまえ」「わたし」それに三人称の語り口を駆使し、過去と現在を往復しながら物語は進んで行く。作者の不敵で綿密なたくらみについつい熱くなりページを繰らされた。

No.3 5点 八二一
(2019/11/05 20:59登録)
混乱の極みの構成。死体を巡る化かし合いはそこはかとなくユーモラス。しかし主題は常に重く横たわる。全篇を覆う暗鬱な空気感と独特の文体は、好みが分かれるでしょう。

No.2 4点 HORNET
(2015/09/27 16:50登録)
 よくできているし、読み進めるのがそれなりに楽しいのは間違いないのだが、この手のサスペンスが昨今世にあふれている気がして、突出してよいとは感じない。
 何よりも、この「謝罪代行社」というタイトルに惹かれて手に取ったのに、結局その謝罪代行業は事件に巻き込まれるきっかけになっているだけで、本筋とはあまり関係がない。そこが一番期待外れだった。話の中で謝罪代行業が出てくるところなどほとんどないし、その業種や業務形態が本筋に関わってくることはほぼ皆無(ゼロではないけれど)。
 別のタイトルにしてほしかった。

No.1 6点 kanamori
(2011/09/29 18:12登録)
ジョン・ハート「ラスト・チャイルド」に続いて"ポケミスと文庫版で同時出版"という鳴り物入りのドイツ・ミステリの異色作。
確かに構成が凝りに凝っている。
主人公たち謝罪代行社の男女4人それぞれの視点で語られるメイン・ストーリーの合間に、二人称「おまえ」のノワールな挿話、一人称「わたし」の意味深な独白、さらには”現場にいなかった男”三人称「彼」のエピソード。折原一もビックリの複数の正体不明の人物の叙述が交錯しながら意外な展開をみせるところは面白かったし、不思議と読みやすく混乱することはなかった。
でもねぇ、前半にあれだけ筆を費やした謝罪代行社メンバーと家族のエピソードは本筋とあまり絡んでこないし、無駄と思える記述が多すぎる。抽象的な動機もいまいちピンとこなかった。評価に迷う作品。

5レコード表示中です 書評