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ミステリの祭典

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人質カノン

作家 宮部みゆき
出版日1996年01月
平均点5.00点
書評数9人

No.9 4点 ALFA
(2017/03/11 18:40登録)
7編からなる短編集。
ミステリ風味の人情噺か、「社会派メッセージ」仕立てのミステリか。
それぞれの割合がちょうど五分五分なのが気持ち悪い。
同じく社会派と言われた松本清張の場合、どんな大きな社会的テーマも傑作ミステリ創造のための材料に過ぎなかった。結果として大きなメッセージ性を持つ場合もあったということだ。
この短編はメッセージ発信のために書かれたように読めてしまう。
さすがにスラスラ読めるが、やたらモチーフにいじめが出てくるのも食傷する。
敢えてフェイバリットは「八月の雪」。この主題をしっかりしたミステリ仕立てで読みたかった。

No.8 5点 斎藤警部
(2016/01/21 10:09登録)
重い社会テーマを軽く短く展開。初期の東野圭吾短篇集を、洞察ちょっと浅くして、代わりに温かみをふうっと吹き込んだような。。

No.7 5点 E-BANKER
(2015/01/11 21:07登録)
(遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。年末年始は何かと忙しく、書評をアップする余裕がありませんでした。ということで、今回は一挙六冊分アップ!)

まずは・・・1996年発表の短編集。
さすがのストーリーテラー振りが堪能できる作品集に仕上がっている(のかな?)

①「人質カノン」=コンビニ強盗に遭遇した主人公の女性。フルフェイスのヘルメットを被った犯人というベタな設定なのだが、その辺に仕掛けはなし。それよりも「コンビニ」という存在を軸とした人間関係をメインに描きたかったのか?
②「十年計画」=たまたま乗ったタクシーの女性運転手。人の良さのにじみ出た人物から遠大な殺人計画という思わぬ話が飛び出てくる・・・。何となく“絵”が浮かんでくるのはやはり筆力だろうか。
③「過去のない手帳」=昼間の中央線各駅停車。のんびりした電車の網棚で見つけた女性雑誌と手帳。その手帳にはひとりの女性の名前が書かれていた・・・。ちょっとした事件が思わぬ事件につながっていくのか、と思いきや最後は良い話になる。
④「八月の雪」=これこそ非ミステリー。いじめがきっかけで片足を失った主人公。引きこもっている最中に亡くなった祖父。にこにこ笑うだけの人と思っていた祖父には意外な過去が・・・って、ちょっと「永遠のゼロ」を思い浮かべてしまった。
⑤「過ぎたこと」=“自分を守ってほしい”という依頼をしてきた中学生。しかし、主人公に告げたプロフィールは嘘だった・・・。数年後、街の雑踏の中であの日の中学生を見かけたのだが・・・サスペンスかと思いきやいい話に。
⑥「生者の特権」=男にフラれ、飛び降り自殺しようとする主人公が出会ったのは、夜の校舎へ忍び込もうとする小学生。本編でもいじめがテーマとなっているのだが、この時期ホットな話題だったのかな?
⑦「溺れる心」=分不相応な高級マンションを購入した家族。夫の地方転勤を機にマンションを売ることになったのだが、ある日天井から大量の水が・・・? 世間には「溺れる」人間が多いってことだろう。

以上7編。
冒頭に触れたとおり、さすがのストーリーテリング!
この一言に尽きる。
ということで書評終了!

【注意事項】ミステリーと思って読まないこと。
(個人的ベストは⑦かな。後は②③。他も粒ぞろいではある。)

No.6 5点 まさむね
(2010/02/06 21:57登録)
どの短編も地味な印象はぬぐえないけれども,しつこさギリギリのメッセージ性と,これまたギリギリセーフ(?)のミステリー性を内在しており,読んで損はないであろう短編集。
飛びぬけた作品はないですけどね。個人的には「十年計画」が一番良かったかな?ミステリー度は全短編中最も低いし,最も「ベタ」なんでしょうけど,まあ,心がほんのりと温ましたよ。

No.5 5点 なの
(2004/10/02 13:51登録)
相変わらず文章は巧緻、話創りは手堅く。
でもちょっと地味・・・。
『イジメ』に関する話が連続するのは少し鬱。

No.4 5点 884
(2004/04/15 17:11登録)
 どれもそこそこ。突き抜けておもしろい作品はありませんでした。

No.3 4点 high
(2003/12/06 16:43登録)
宮部みゆき作品ではじめて読んだものなんだけれど、そこまででもないかなぁとおもった。
読みやすくはあったけれど、どこかしつこい、じゃないな
あおくさいというか・

No.2 5点 フレディ
(2002/04/23 10:33登録)
宮部作品の中では一番面白くなかった。まあこういう話をねらって書いたんだろうけど。巧いとは思うけどいかんせん面白味にかける。

No.1 7点 アデランコ
(2001/10/30 12:15登録)
短編集。
それぞれがライトな雰囲気であるが、読み終わった後に何かズシッとくるものがあった。
いじめや死について、宮部流に展開していきます。

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