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ミステリの祭典

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マイナス・ゼロ

作家 広瀬正
出版日1970年01月
平均点6.29点
書評数7人

No.7 7点 斎藤警部
(2021/07/26 15:15登録)
如何にも時代掛かった(!)大きなタイムマシンは、時間移動専門で空間移動は不可というのがミソ。更に、主人公が義理堅く責任感強い人物というのもミソ。いっけんバランス欠いたような思い切った構成が輝いている。(そこへ来て或る人物の能天気さも素敵!) 二度読みしなくても実質二度読み効果のあるシークエンスが実に愉しい。忘れ難き、レイ子。彼女の遺した核心のメモ!(ブックマークしちゃうよね) ところで、かの警官の立場は。。? そこんとこ、隠れたリドルストーリー要素なのか!?(作者自身への宿題だったとか?!) なお「陰獣」の致命的ネタバラシが堂々登場するのでご注意あれ。

昭和ノスタルジーのヴィヴィッドさは言うまでもなく、全体包む明るさ、滋味深さが素晴らしいのだが、本筋と並んで頼もしいのは、すっとぼけたユーモアと琴線触れる技術者魂。ユーモアも最終盤に近づくにつれ急速に緻密な知性の裏付けが露わになるのがまた良し。和同開珎云々は吹き出した。いや、まさかそこでナニしてるとは思わなかった! 一種の叙述トリックじゃないか!? 唐突に切り札として提示される◯◯◯◯なる飛び道具も自然に納得させられちまった。唐突なエグ味を遺して終わるとは思わなかったよな。。正体謎のまま終わる重要人物の立ち位置が実に、深いじゃないか! ただ、そこがミステリ性というかミステリ興味を薄めるポイントにはなっていると思うが。。SFなんだから何の問題も無いやね。

最後の一文、気を持たせてちょっと心配! 先述の能天気な人がこれから何かやらかさないかと。。。だがそこさえ魅力の、器の大きな一篇でありますな。

No.6 7点 虫暮部
(2020/10/27 15:15登録)
 戦前戦後の東京をノスタルジックに活写して読者に疑似体験させる逸品。ではあるのだが、同作者の他の長編と雰囲気やネタが重複する為に、若干の“またか”と言う思いも否めず。
 タイム・パラドックスの着地点は不条理なもので、前半の作風を考えると意表を突かれた。ニクシャン、シャリコケ、アプレゲール。死語萌えってコレか!

No.5 6点 isurrender
(2013/02/11 02:42登録)
ミステリとしては評価しがたい。
タイムトラベル物のSF作品としては素晴らしい出来だと思う。
昭和初期の世界に自分もタイムトラベルしたようなまさに旅行気分をも味わえる、そんな作品。

No.4 7点 yoneppi
(2012/09/11 21:42登録)
良く出来ている。あっさりとした文体も良かった。

No.3 9点 haruka
(2011/05/28 23:16登録)
タイムパラドックスものとしての完成度という点で、これ以上の作品はもう現れないのではないだろうか。

No.2 6点 つよ
(2011/05/01 22:48登録)
本屋の帯で買いました。
タイムマシンものが好きな人には。

No.1 2点 江守森江
(2010/08/05 06:29登録)
タイムマシーン物のSF作品で、タイムパラドックスを矛盾が生じないように上手く処理している其方の分野での金字塔的作品。
私的にはミステリーの範疇にない作品なのでポリシー通り2点。
「T型フォード〜」と同時期に読んだが嗜好外でもあった。
肩の凝る様な難しいSF作品ではないので「ドラえもん」が好きなら普通に楽しめると思うが、遡った時代設定の古さに馴染めるかどうかは別問題。
何故だかタイムマシーン絡みの作品では未来を覗くより過去に戻る方を好む傾向にある。
※余談
藤子作品で唯一好きなのが「プロゴルファー猿」で「ドラえもん」にはさほど興味が無い。

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