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ミステリの祭典

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赤毛のストレーガ
私立探偵バーク

作家 アンドリュー・ヴァクス
出版日1988年08月
平均点6.00点
書評数5人

No.5 5点 レッドキング
(2023/10/08 07:28登録)
ああ、このシリーズ読んでたなぁ。何とかマスティフ(だったか)てな犬とは思えない怪物メス犬や、ボードに躰を乗せて道を漕いで行く上半身だけ男、巨人ぬりかべ武術家、マッドな武器発明家ら異形仲間が実に良かった。ハードボイルド言うより、バットマン風アメコミ半ダークヒーロー物だったな。

No.4 5点 ことは
(2023/10/08 00:08登録)
プロットは極めてシンプル。普通の書き込みなら、200ページにも満たないんじゃないかな。ここまで長いのは、すべてのシーンをじっくりと書き込み、さらにプロットになくてもいいエピソードや日常描写も、たくさん書き込んでいるからだ。
本作を楽しむには、この濃密な描写を楽しめる必要があるが、私はよい読者ではなかったな。まあ、それだけではなく、読むタイミングも良くなかったなと思う。
原作が1987年に書かれているためだろう。作中の「強大な悪」と「虐げられる人」という社会構図が、かなりシンプル。同時代ならば、この濃密な描写から強い迫真性を感じたのかもしれないが、現代のもっと複雑な社会構図から照らしてみると、どこか現実感のない異世界のようにも思えるのだ。もっと早く読むべきだったな。

No.3 7点 人並由真
(2021/11/15 05:06登録)
(ネタバレなし)
 ニューヨークの一角。「おれ」こと、前科27犯のアウトローにして無免許私立探偵の「バーク」は、刑務所の仲間だったマファイアの大物ジュリオ・クルニーニを介して相談を受け、赤毛の人妻ジーナを付け狙う変質者の男を成敗した。後日、その女性ジーナ(自称の愛称「(魔女の)ストレーガ」)からまた別の相談がある。その内容は、ジーナの友人アンーマリーの息子スコット(スコッティ)に性的な悪戯を働いた変質者がおり、犯人はその行為の現場を好事家向けの写真として撮影したらしいので、犯人を突き止めて写真を回収してほしいとのものだった。バークと裏の世界の仲間たちは、下劣な小児愛業界の世界に切り込んでいくが。

 1987年のアメリカ作品。アウトロー探偵、バークシリーズの第二弾。
 初弾『フラッド』から4年ぶりに、2冊目を読了。今回もHM文庫版で読んだが、巻末の故・小鷹信光の解説&エッセイがなかなか興味深い。

 下劣な悪人を粛清するメインプロットそのものはシンプルで、とことんコンデンスされたクライマックスに向けて、そこまでの経路の方を、これでもかこれでもかと緻密にみっちりと描きこんでいく作劇。
 たぶん大筋だけ拾えば、パーカーのスペンサーものの中期以降とそんなに変わらないのじゃないかとも思うが、読み手に小説としてのボリューム感を味合わせながら、その一方でストレスは少なく、しかし主題や枝葉の描写を心に沁みさせる手際、それら全部をひっくるめてのバランス感は、申し分ない。
(しかし、ジーナ(ストレーガ)からの本筋の依頼が来るまでに延々と語られる、バークの過去のヤバイ犯罪行為の部分だけでも、もうちょっと膨らませれば十分に長編一本分のクライムストーリーになりそうで、読みながら、ナンダコレハ!? と唖然とした。)

 前作も読みごたえあったが、本作はそれ以上の重量感。
 ただしこのシリーズ、もっともっと面白いものに出会えそうな気配があるので、評点はちょっと低めにつけておく。フツーに単品の作品なら十分に8点でいいけれどね。

 アウトローな主人公だけど、弱い、力のない子供を苦しめる外道には絶対に容赦はしない(変質者側の自己肯定も語らせるが、そんなものに結局は耳を貸す気もない)という<あまりにも真っ当な、倫理と正義>。
 そんな主題をこれだけ照れもせず、また(偽善者に見られるのではと)怖じもせず語れる送り手の胆力、これが強烈な魅力となっている。
 少なくとも私にとって、ヴァクスの著作はいつも(まだ3冊目だが)そういう作品ばっかりだ。

No.2 6点
(2020/02/27 20:03登録)
カバーでは、本作のテーマは「未成年ポルノ業界」とされていますが、単に未成年というだけじゃなく、バークが見つけるのは生後まもなくからせいぜい10歳ぐらいまでの子どものポルノ写真の山です。「幼児・児童」(性別はその部分では書かれていませんが、男児のはず)と言うべきでしょう。
本作は、前後の作品と比べても、主筋は特に単純だと思いました。脇道のバークとその仲間たちのエピソードはあいかわらず。タイトルのストレーガは「人を追いかけたり、逆に追いかけられたりする魔女のこと」で、本名ジーナ、彼女自身が「今じゃストレーガって呼ばれているわ」と言っています。バークが彼女から事件の依頼を受けるのが、半分近くなってからです。この赤毛の魔女のキャラクターが、依頼は真面目そうなのにバークを誘惑したりして変なのですが、最後の最後で彼女の過去が明らかにされるところには、納得させられました。

No.1 7点 kanamori
(2010/07/24 21:29登録)
やくざな私立探偵バークを主人公にしたバイオレンス風ハードボイルド、シリーズ第2弾。
毎回ニューヨークの暗部をテーマにしていますが、今回は未成年ポルノの世界に乗り込みます。
次作の傑作「ブルー・ベル」には及ばないものの、軟弱系ネオ・ハードボイルドへのアンチテーゼのような熱気と過激さで独特のテイストがあります。

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