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ミステリの祭典

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幸運の脚
ペリイ・メイスン 別題『幸運な足の娘』『幸運な脚』『幸運の足』

作家 E・S・ガードナー
出版日1957年06月
平均点6.40点
書評数5人

No.5 6点 クリスティ再読
(2025/05/12 19:58登録)
美脚コンテストを使った詐欺によって都会に誘き寄せられた女性たち。彼女たちが巻き込まれる詐欺師殺し...メイスンも死体を見つけてバックれるとか結構危ない橋を渡ったりして、ハードボイルド感が強い作品だと思う。「なぜこれを知ることが?」がキーになるあたりに「本格」テイストを感じる方が多いのだろうけども。

メイスン物ってシンプルな人間関係の中で、メイスンがいろいろと挑発して回ることで、複雑な右往左往が起きてややこしくなる、というものなのかなあ。だからなかなか全体像が見えてこない。今回の依頼人ブラッドベリー、前二作は女性依頼人だが今回は男、しかもかなり嫌な奴。まあメイスンの依頼人が一筋縄ではいかないのはお約束とはいえ、変に挑戦的で不快感が強い。
考えてみれば弁護士ってエリートには違いないが、現実にはオカシい人たちの面倒を見なければならない気の毒な仕事でもあるよ。今回は変な策動もあって、ドレイクくんだって100%信頼できないという状況に置かれるわけで、本当にメイスン、お疲れ様である。

今回創元文庫、林房雄訳。人並由真さまが「白夫人の妖術」なんて取り上げられていて便乗...というわけではないのだが、「新青年」にも平林初之輔が関わっていたりとか、戦前には意外とプロレタリア文学とも関わりがあったりもする。そういうあたりからのご縁があるのでは?プロレタリア文学だって、最新のモダニズム文学だった時期はあるわけでね。

(あと、このシリーズ、The case of A B というかたちでタイトルがつくのが定石になっているんだけど、とくに後年は A と B に頭韻を踏ませる傾向がある。本作はLucky Legs でその最初じゃないかしら)

No.4 6点 斎藤警部
(2019/08/09 12:15登録)
「諸君、これが僕の自供だ」

バカな俺を笑ってくれ。 ようやく、俺のペリー・メイスンに出逢えたよ。。。自分にはどうも合わないシリーズだな~と思いつつ、時々ちょっとずつトライして来て良かった。 こりゃ「傾いたローソク」以上に良かったよ。

事件動向にしっかり厚みが有って魅力的。目まぐるしいストーリー展開と乱暴な解決メソッドはハードボイルド調。メイスンのヒーロー性もワイズクラックもHB基準じゃぬるいもんだが、ちょいとソレっぽい本格として充分味わえる。 まあ、これ言うと微妙にネタバレになるかも知れないが、美脚詐欺自体が事件の中心寄りに位置していたらもっと良かったかもな。

古い創元推理文庫じゃ「メイスン」を「イメスン」と誤植してる箇所があって、そこ「イケメン」と空目しちまったのはご愛敬だ。

No.3 8点 弾十六
(2018/10/30 20:55登録)
ペリーファン評価★★★★★
ペリー メイスン第3話 1934年2月出版 創元文庫で読みました。
目まぐるしい展開でタクシーや飛行機を使い飛び回るメイスン。何度も追い詰められますが、あの手この手で切り抜けるところが非常に楽しいです。残念ながら法廷シーンはありません。
メイスンのタバコはマールボロ。15章でメイスンが田舎者風に喋るのですが(Thash=That's, Shalesman=Salesmanなど)これはどこ訛りなのでしょうか。
ところで数回「ロスアンゼルス」と訳文にありますが、原文ではthe city(p11)とかhere(p86)とかで明言を避けています。意味のない補い訳はやめて欲しいですね。(ハリウッドという単語も出てきません。内容的にはバレバレですけど…)

No.2 8点 nukkam
(2016/05/21 23:42登録)
(ネタバレなしです) 1934年発表のペリイ・メイスンシリーズ第3作です。法廷シーンがないのはちょっと残念ですが、絶頂期の作品だけあってスピーディーでスリリングな展開と緻密な謎解きが高度なレベルで両立しています。今回は脇役の使い方が実に絶妙です。でもあそこまで謎解き上重要な役割を与えるなら登場人物リストに載せてもいいのでは(創元推理文庫版のリストには載っていませんでした)。あと犯人が意外とつまらない失策をしていたのも(まあ逮捕の決め手はほしかったんでしょうけど)ちょっと安易な気がしました。

No.1 4点
(2010/04/26 21:39登録)
ペリー・メイスンのシリーズ第3作は、毎度お馴染みの法廷シーンがありません。裁判にまで至らず、事件は解決してしまいます。レギュラーになるバーガー検事もまだ登場していない時期です。
事件そのものは、メイスンが今回もかなり強引に法律的にすれすれのことをやってくれたりして、なかなか楽しめましたが、解決には不満がありました。
メイスンがその人物が怪しいと考えた理由は納得できますし、犯人の殺人実行経緯も偶然が過ぎるとは思いますが、まあ可能でしょう。しかし、犯人のさまざまな行動の理由がさっぱり理解できませんし、説明もまともにつけられていません。なにしろ殺人動機自体あいまいで、いつ殺意を固めたのかも不明なままです。最後になってどうにもすっきりできない作品でした。

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