home

ミステリの祭典

login
ハリウッド・サーティフィケイト
御手洗潔シリーズ

作家 島田荘司
出版日2001年08月
平均点6.27点
書評数11人

No.11 4点 nukkam
(2015/12/31 06:29登録)
(ネタバレなしです) 2001年発表の本書は「龍臥亭殺人事件」(1996年)と同じく御手洗潔シリーズの番外編というべき長編で、主人公は松崎レオナです。御手洗潔は間接的な登場に留まっており、探偵というより学者としてのアドバイスをレオナに与えているだけです。「龍臥亭殺人事件」がいかにも日本風な作品だったのに対して本書は米国風を意識した感があります。レオナがIQ200以上の知性の持ち主であることが紹介されていますが頭脳派というより行動派の探偵役として描かれていて推理による謎解きがあまりありません。とんでもないトリックが使われているところは島田らしいとも言えますが扱いは案外と小さいし、終章のどんでん返しもレオナの(なぜ解ったのかの)説明があれでは本格派推理小説としては破綻しているのでは。個人的には本書はエログロ描写、暴力描写に遠慮のないハードボイルドで、レオナの多重人格ぶり(?)ばかりが目だっている印象を受けました。

No.10 7点 E-BANKER
(2015/11/22 21:06登録)
2001年発表の長編。
一応「御手洗潔シリーズ」に分類されるのだろうが、主役&探偵役は完全にレオナ松崎が務め、御手洗は“友情出演(?)”のみ。
ハリウッドの闇を背景に文庫版で800頁を超える超大作。

~LAPD(ロス市警)に持ち込まれたスナッフフィルム。そこには、ハリウッドの有名女優パトリシア・クローガーが惨殺される場面が映っていた。そして発見された死体からは、子宮と背骨が奪われていた! 彼女の親友で女優のレオナ松崎が犯人探索を始めた。その過程で、女優志望のジョアンと出会う。彼女は記憶を失っており、何者かの手によってその体から子宮が摘出されているというのだ。事件との奇妙な符号を覚えるレオナ。そして第二の殺人が発生し・・・。なぜ女優の子宮は奪われたのか? 「虚構の都」ハリウッドを舞台に奇才が放つ長編本格ミステリー~

さすがに“奇才”、“豪腕”=島田荘司としかいいようのない・・・そんな作品。
やはり他の数多のミステリー作家とは規格、スケールが違う!
そう思わざるを得なくさせられた本作。

今世紀に入って島田は脳科学など医学の分野に深い興味と関心を示し、積極的に自作のプロットに組み込んできた。
本作では、(恐らく)発表当時ホットなテーマだった「臓器移植」そして「クローン技術」がそれに当たる。
いずれも怪しげで眉唾な話題なのだが、アメリカそしてハリウッドといういかにも“なんでもあり”の舞台とすることでリアリティを高めている。
作中ではアメリカが国家戦略として臓器移植やクローンビジネスに乗り出していることを言及しているのだが、IT革命を引き合いに出すなど、読者に現実感を持たせることにも気を配っているのがミソ。
(ほぼ十五年ほど前の作品なのだが、ES細胞に纏わる話などはなかなか興味深い・・・)

純粋なミステリーとしての面では、不可思議な殺人事件が一番の本筋。そして作中謎の人物として登場するイアンに仕掛けられたトリックが本作の白眉だろう。
謎のまま終わるかに思われた部分についても終章の最後でようやく作者の狙いが明かされることに・・・
まぁこれも、メインプロットと比べると付け足しといえば付け足しという感じがするのがちょっと痛いところではある。

そして本作もうひとつの側面がレオナ松崎を主役としたヒロイン作品ということ。
レオナについてはその傲慢な性格からお気に召さない読者も多いとは思うが(?)、とにかく本作では八面六臂の大活躍。
自らハリウッドの象徴として、女優そしてポルノグラフィなど、アメリカのエンターテインメントの闇を照らしていくのだ。

まぁすごい作品だと思う。
島田といえば大掛かりで奇想天外なトリックの本格ミステリーを期待する方も多いし、かくいう私もそのひとりなのだが、とにかく年を経るごとにスケールアップしている作家も珍しいのではないか。
もちろんそれが読者の好みにマッチしているかと言われると疑問符なのだが、決して立ち止まらず、年々進化を重ねている作者に敬意を評したい。

でもそろそろ事件の横で右往左往する石岡君の姿なんぞを読んでみたいな・・・なんて思ったりもする。

No.9 6点 touko
(2009/08/22 17:37登録)
ハリウッドセレブのスキャンダルを書いた本は数あれど、日本の中年男性作家の手にかかると、スポーツ新聞のエロ小説コーナーにでも連載してたのか!? と思えるほど、おやぢ向けの俗っぽいエログロ描写に……そのへんは若干辟易しましたが、みんな大好き・ありがち○○○陰謀論からケルトの薀蓄、最先端医療等を強引な設定・展開に結びつける手法や団塊特有の暑苦しい主張等、いかにもーな島田節が堪能できました♪
IQ200以上(測定できるのか!?)の登場人物たちの話のわりに、真剣に読むと、確実にIQが低くなっていきそうな作品(笑)、ではありますが、この天然なトンデモっぷりと大風呂敷の広げ方(回収の仕方も)は個人的に好き。

で、私もレオナと同じことをずっと疑っていたんですが、弁護士の派遣のくだりで否定されたとばかり……レオナの女優っぷりに騙された!

No.8 8点 あやりんこ
(2008/06/21 08:51登録)
レオナ大好きなので、長編でしたがあっという間に読み終えました。島田作品ならではの面白さがあったと思います。
御手洗さんもゲスト出演?してます。

No.7 8点 Tetchy
(2007/11/29 18:36登録)
エッセイ『聖林輪舞』で取材したハリウッドの内幕と世紀末から新世紀にかけて関心を抱いて取材を続けている脳科学やDNAなどの遺伝子工学の分野で得た知識を総動員してこの作品を物したものだと思われます。
この作品で描かれるクローン技術やアメリカのアンダーグラウンドで繰り広げられる異様なポルノ・グラフィティの世界は決して読んでいて気持ちのいいものではありませんが、島田氏は許されざる悪行が皆の知らないところで繰り広げられている事を啓蒙しなければならないという使命感のみで書き上げたのではないでしょうか。
でも一番びっくりしたのは最後の一文だったりする。

No.6 7点 姑獲鳥
(2007/08/04 01:48登録)
全体的に面白かったです。ただ、過激でした。

No.5 7点 KAM
(2005/08/03 00:49登録)
私は、ありかな〜と思った。エログロって全然気にならない性質だし、単純に面白いと思った。レオナ、ハリウッドに行ってスレちゃったのねえ。
最後の展開はちょっといまいちだったけど、犯人はだれなのか〜?といろんなとこに探り入れてるあたりはわくわくした。早く続編が読みたい!

No.4 8点 ウエストウッド
(2005/01/14 14:04登録)
ハリウッドの連中のぐろさみたいなムードがすごい。

No.3 4点 Ryu
(2004/08/19 21:56登録)
なにが駄目かわからないけど、あんま面白くなかった。

No.2 7点 あずみ
(2002/11/02 20:43登録)
島田荘司にのみ書ける、むちゃくちゃな作品。何だかよくわからない「情念」がほとばしっているのは、あいかわらず。

No.1 3点 なおゆう
(2002/09/30 23:39登録)
怖かった。
女性が読むには、非常にツライ本。
購入して読んだが、再読する気になれず。

11レコード表示中です 書評