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ミステリの祭典

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玻璃の天
ベッキーさんシリーズ

作家 北村薫
出版日2007年04月
平均点6.60点
書評数5人

No.5 6点 ボナンザ
(2021/09/16 20:32登録)
ミステリと登場人物と時代背景をうまく組み合わせた良質な第二集。

No.4 7点 ことは
(2021/05/16 14:27登録)
個々の話と、全体を通しての話が同等の分量で描かれている。個々の話はミステリだが、全体を通しての話はミステリではない。でも、面白いのは、全体を通しての話なので、ミステリを期待すると肩すかしかもしれない。シリーズ3作では本書がベストと感じた。
幻の橋:犯人が「すぐにばれない」と考える理由が思い当たらない計画なので、ミステリ的には杜撰かな。まあ、落とし所(意図を込めた絵の選択)が見せたいところなのだとは思うが。ここは好み。ベッキーさんの背景話、英子の出会いなどの別の部分が見どころ。
想夫恋:ラストのベッキーさんの諭しがよい。
玻璃の天:犯人の行動は「こんな複雑なてつづきが必要とは思えない」が、シリーズのテーマにそった動機が読みどころ。個人的にはこれがシリーズのベスト作。

No.3 6点 八二一
(2021/03/27 20:48登録)
今時のミステリに珍しいゆったりした時間の流れと優雅さ、そこにある毅然とした言動もよい。

No.2 7点 まさむね
(2015/02/15 10:50登録)
 上流階級の令嬢「わたし」と女性運転手「別宮」によるベッキーさんシリーズ第2巻。
 舞台は昭和8~9年頃の東京。上流階級の日常は変わらなく見えるものの、国家的には不穏な空気も…という状況で、その時代背景、さらに「わたし」に語らせている国家感について、非常に興味深く読みました。
 第1話「幻の橋」がベスト。ベッキーさんが運転する車の中での「やり取り」と、その際に登場する漢書の一節は記憶に残りそうです。さらに、最終話(表題作)を読んだ上で気付く真意に敬意を表して、加点します。

No.1 7点 あるびれお
(2009/06/23 06:22登録)
読んでいて安心できる、決して破綻がない、心地よいリズムの文章は相変わらずである。さすが、元国語教師!語り手となっている主人公の自己主張が、前作(「街の灯」)よりも強くなってきていて、好感を持てた(前作は、他者への依存が強すぎるように感じて、読んでいて感情移入があまりできなかった)。
どんどん悪い方向に時流が向かっている頃が舞台であり、時が進むにつれて、主人公たちの境遇にも影が差し、切なさがつのっていくのかな、という印象を持つ。

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