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ミステリの祭典

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他殺岬
ルポライター・天知昌二郎

作家 笹沢左保
出版日1976年01月
平均点5.88点
書評数8人

No.8 6点 ねここねこ男爵
(2022/08/07 11:43登録)
初読時は「昼下がりの2時間ドラマにぴったりだなぁ」程度の感想だったが、時間を置いての再読時には評価爆上がりした
ごく狭い範囲に都合の良い人間関係が集中しているなど微妙な点も多いものの、メイン部分の出来と圧倒的なリーダビリティは評価していいと思う

一つだけ、誘拐されてから「実は他殺じゃないと都合悪いから他殺ってことにしよう」ではなく、その前に「本当に自殺なのか当時から疑問だった」的な文章を入れておくだけで不自然さがだいぶ減ったように思う

No.7 8点 斎藤警部
(2021/02/01 15:52登録)
いいタイトルだ。この作品は薫る。素晴らしい導入部から書き下ろしの力作オーラが漂い尽くします。殺人犯人追究の動機があまりに特殊!!それに従い容疑絞り(選び?)の在り様も独特。タイムリミットの存在理由さえトリッキーそのもの。そして”もう一つの殺人”の、意表を突くほど素っ気無い置き方。何と言っても機動力ほとばしるプロットと各人の行動、そして最終解決への数歩の友情含む味わい深さ。父子の情愛はハードボイルド流儀で描写(ラストシーン。。)。社会派要素は煩過ぎず控え目過ぎず、くすぐる様にスリルを助長。板チョコ好きな探偵役(!)。最後の、謎を引き摺ったままの冒険行脚は頼もしい。心理面大いに含めて犯罪物語の構図がグラリガタリと大きく間を取って崩れ再構築される逞しい筋運び。最後まで緩む事無く走り切ったね。振り返れば、誘拐の”そこまでする”理由にかなりの数の疑問符も飛翔したが。。いや、よく考えたら、そこはそうか、分かった納得。 ところで天知と真知子が結婚したらアマチマチコ。。そのあたり、微妙なアレとして作者は扱っていたのかな。。 それにしても最初に自殺した男、IKKOさんとショーンKのイメージなんだけどどうしても両者が混じり合わなくて悩んだ(笑)。

No.6 6点 あびびび
(2015/08/12 17:38登録)
足摺岬を視点とした殺人事件、そして誘拐。まさに火曜サスペンス劇場だったが、当時の推理小説の王道でもあった。

切れ目なく謎があるし、スピード感もあって読みやすかった。自分はこんな流れは嫌いではなく、その当時なら+2点をつけたかも知れない。

No.5 5点 ボナンザ
(2015/03/01 19:39登録)
笹沢の代表作の一つ。
奇想天外な展開ではありますがそこに至る説得力がやや不足。
それでも一読の価値はあると思う。

No.4 5点 yoneppi
(2009/12/18 21:56登録)
たしかに2時間ドラマ向き。それなりに面白かったけど。

No.3 6点 こう
(2009/12/13 23:27登録)
 以前「真夜中の詩人」の書評の所でteddhiriさんがこの作品に言及されていたので読んでみました。
 確かに誘拐の動機としてはひねくれていますし身代金の要求ではなく5日後の殺人を宣言する展開など独創的の所もありますが主人公の直感が基本的には正解でかつ警察が見抜けないのも納得いかないところです。
 冒頭の殺人も伏線なのかもしれませんが不必要な殺人に思えやはり安っぽいサスペンスドラマ臭は否めませんがさっと読めますしまあまあ楽しめました。ただ同じく主人公の直感が気に入らないのですが「真夜中の詩人」の方が作品としては楽しめた気がします。

No.2 6点 isurrender
(2009/10/24 00:33登録)
ベタな火サスを見ているような作品だが、プロットは面白いと思う

ネタバレになるが、真犯人の黒幕ともいえる彼が捕まらないということもよかったと思う

No.1 5点 シーマスター
(2009/06/08 23:44登録)
構成は割りとよくできていると思うが、偶然の貢献が多大な展開には引かされる。
また30年以上前の作品だから文体の古臭さは止むを得ないにしても、読み進むにつれ「これは2時間ドラマ向けのサスペンス以外の何物でもない」と感じてしまうのは恐らく自分だけではないのではないかと思う。
タイムリミットのある誘拐、痴情と怨恨、利権と画策、旅情、海に臨む断崖絶壁・・・
ご丁寧にたくさんのパトカーが岬に集結するラストシーンでは、脳内に「ハナミズキ」が流れてしまった。

〈痛かった一句〉・・・感傷は行動しない人間のためにある。

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