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ミステリの祭典

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過ぎ行く風はみどり色
猫丸先輩シリーズ

作家 倉知淳
出版日1995年06月
平均点7.67点
書評数45人

No.5 8点 シーマスター
(2007/08/01 23:58登録)
なぜか懐かしさに近い感覚にとらわれながら読んだ普通のミステリ。

この人の文体は基本的に、陰惨な話も重苦しさや暗鬱感を抱かせない乾いたタッチ(ドライではない)で、ふんだんに遊び心を纏い(N氏のようにしつこくない)、時に甘酸っぱさやペーソスを漂わせながら根底にはどこか温かさを感じさせる・・・というものが多く個人的には好感が持てるタイプ。
もし、本書のプロットで綾辻行人が書いたら外連味が強い血腥い殺人劇になっただろうし、京極夏彦が著したなら奇々怪々な薀蓄満載で優に2倍くらいの厚さにはなったことだろう。

(以下、ややネタバレ・・・・かな)


最初の殺人の不可思議性は偶然の産物であり、最後の殺人は無駄な犠牲者が出るリスクが高すぎる。
ただ前者の偶然を生み出したネタと、それを最大限に効かすための叙述形式は実に巧い。(「2人」の自己紹介には笑ってしまうが)
また、降霊術のトリック・・・怪奇現象や数珠の出現は「腰を骨折したはずなのに故郷でサッカーに興じている」ぐらい人を小バカにしたものともいえ、ガチガチの本格ファンなら憤怒か侮蔑ものだろう。(自分はこのカラクリにも大いに笑ってしまった。数珠は漫画チックすぎるが)

採点はチト甘い気もするが、期待以上の楽しみを味わわせてくれたこの作品の平均点を下げるのが心苦しいので・・

No.4 8点 深壬
(2004/01/27 15:08登録)
 ほんと「やられた」って感じです。かなり。
 成一の記述的な文体と、佐枝子の純真な考えからくる文体と。その構成の中から「あのストーリー」
 猫丸先輩は相変わらずだし。ほほ、やられたです。
 足芸は私的に、ちょっと厳しいかなぁ・・と、思ったりしましたが。
 彼が自分で「やってのける」ンですからね。
 ちょっと笑ったりもしましたが。
 ともかく、ほんと猫丸先輩に、まんまと「ひっくり」返された。そんな感じです。はひ(笑) 

No.3 8点 ギザじゅう
(2003/08/10 23:34登録)
うまいなぁ。
あの不可解な密室をあっち方面から紐解くとは・・・。
非常に倉知らしい作品。

No.2 8点 レン太
(2003/07/25 03:02登録)
やるせなさと、ある種の爽やかさが入り交じった読後感はなかなかのものでした。文体は読み易くて心地よいし、謎解きも「そんな馬鹿な!」と思いつつもロジックとしては納得だし、何よりも最後の殺人の伏線が(トリックとは無関係)あの台詞だった事には拍手喝采。
やはりこの作家、ただ物では無さそうです。

No.1 7点
(2001/07/18 00:52登録)
作中違和感を感じるが、正体が分からない。
ラストで明かされる謎には「なるほどね」と思うと同時に
「チクショウ」と思わされました(笑)。
怪しげな霊媒のおっさんも実は良い人で
なんか嬉しくなったのでした。

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