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ミステリの祭典

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ペルソナ探偵

作家 黒田研二
出版日2000年11月
平均点6.14点
書評数7人

No.7 6点 パメル
(2025/08/23 19:20登録)
作家を志す六人の男女が集う会員制チャットルーム(星の海)。星の名前をハンドルネームに同人誌を作る彼らは、互いに面識はないが同じ志を持つ者同士、特別な絆で結ばれていた。それぞれの本名や住所、電話番号などの個人情報を明かさない約束事があり、知っているのは会長のカストルのみ。メンバーはカストルに自分の書いた小説やエッセーを送り、カストルが編集、製本し同人誌を発行していた。
チャットのメンバーが実際に遭遇した事件を小説化した短編の間に「インタールード」としてある女性にまつわる悲劇的な出来事の描写をカットインさせていくといった凝った構成。一見独立したエピソードが最終章で怒涛の展開に突入し、有機的に結びつく構成はよく出来ている。
切なくも前向きな力強さが感じられるエピローグが印象的。ペルソナとは仮面の意であり、本作は仮面の下の素顔を暴く過程を象徴し、ネット社会の闇を描いている。人は仮面を被って生きるが、その仮面こそが真実を暴くという、匿名社会のパラドックスをミステリの枠で見事に具現化している。

No.6 7点 isuzulink0
(2024/08/29 22:08登録)
ネットのチャットルームで作家デビューを目指すネットユーザーの数篇の習作を主な内容として、技術的にはすでによくできていると感じます。前2篇を読んでから良い体験を得ました。個人的には、事件が起こる前に不自然な雰囲気を作り出すという書き方を好みます。同時に、真実の設計も比較的巧妙です。しかし、第3篇は古いネタの変形のように感じて、あまり好きではありません。最終章の質は非常に高く、伏線の回収がとても適切で、多重の反転も設計されていますが、書き方はあまり勢いがないため、読者の感情をうまく引き立てるには至らなかったかもしれません。しかし、全体的に見ると、非常に優れた推理作品です。

No.5 4点 測量ボ-イ
(2024/05/26 09:00登録)
最後真相を転がし過ぎ。
こういうのはあまり好みじゃないです。

No.4 7点 makomako
(2013/12/23 09:07登録)
 インターネットを介したお話はあまり得意ではないが、これならわたしでも何とかついていけました。
 いろんな作者の作風を書き分ける作者の筆力はなかなかのものです。作中作のいずれもがそこそこの面白く、しかも最後にかなりのどんでん返しもあるサービス満点の作品でもあります。
 最後が多少複雑で分かり難いところもあったが、結構楽しめました。

No.3 6点 メルカトル
(2013/12/06 22:26登録)
作家を目指す6人の男女がチャットルーム「星の海」に集い、同人誌を作成し、毎号ごとにそれぞれの小説を発表していた。そのジャンルは多岐にわたり、ファンタジーやミステリ、文芸など様々。
本作ではその同人誌に載せられた短編3作品がまず作中作として掲載され、それらをもとに最終話の事件の謎を解明していくという、一見ややこしく思える構成となっている。
好み的には第一話が最も面白かった。第二話、第三話はまずまずの出来で、まあ飽きが来ない程度のほどほどの作品。無論、それらすべてがリンクしてくる最終話は別格ではあるのだが、捻り過ぎてどうにもすわりがよろしくない印象を受ける。
どんでん返しの連続と言っても、ジャブの繰り返しで、読者が受けるダメージは大したものではないと思う。だから、強烈なパンチを食らった感じではなく、軽く頬を掠める程度のものである。
全体としてはまずまずだが、一作ごとに作風を変えているのは、それなりに作り込まれている証左であるとは思う。だが、出来としてはごく普通の感じで、まあまあかな。

No.2 6点 とらさん
(2008/01/10 13:59登録)
おもしろいよね、これ。
軽く読めるし、伏線がわざとらしくていい。

No.1 7点 てぃぐれ
(2005/06/21 05:48登録)
だ、誰も採点していない…。
ネットを描いたミステリーの佳作だと思います。黒田作品ではベストでしょう。たぶん。

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