home

ミステリの祭典

login
なめくじに聞いてみろ
旧題『飢えた遺産』

作家 都筑道夫
出版日1962年01月
平均点7.17点
書評数6人

No.6 6点 メルカトル
(2022/04/15 23:05登録)
天才科学者・桔梗信輔が発明した奇抜な殺人方法を闇に葬れ! 息子の信治は父の死後、出羽の山中から東京へと向かった。目指すは父から技術を伝授された十人を超える殺し屋たちの抹殺。奇想天外な武器を操る者たちに、悪事に無縁の青年はどう立ち向かうのか? 国産アクション小説の金字塔、ついに復刊!
Amazon内容紹介より。

殺し屋同士の戦いが沢山楽しめる、エンターテインメント小説。子供の玩具や身体的なハンディを逆に利用したりしての、とても殺し屋とは思えない様な奇矯な殺人方法が見どころ。でも、結局それだけ。それ以外の要素に期待してはいけません。バトルシーンに関しては呆気なく勝負がつくものが目立ち、もう少し白熱した戦いにしても良かったのではないかと思います。これ程世評が高いのが正直理解出来ないけれど、この点数にしたのは多分後々まで記憶に残りそうな変な小説だからです。都築道夫は他の作品を読んだ事がないので何とも言えませんが、氏の中でも異色作なんだろうなと思います。

ただ、文章はいけません。サクサク読めるのは良いですが、余りにも淡白で心に刺さるものがありません。しかも、読点が多すぎて箇条書きのようで、文章の流れがブツブツと細切れになってしまっているのが、気になって仕方ありませんでした。特に地の文がね。
あとがき二つ載っていますが、その後者の方を読む限りは特に気にならなかったんですけどねえ。

No.5 9点 虫暮部
(2021/09/30 12:43登録)
 都筑道夫は(この人の再読はあまり進んでいないのでフェアな評価ではないが)評論家的な眼力を具え本格ミステリについての一家言を大いに表明したけれど、実作については口ほどではなく自家中毒を起こしたようなものも少なくない。
 ところが、“殺し屋対決”と言うアクション小説の王道を料理した本作は素晴らしい。
 基本設定が単純で、作者一流の凝り性な捻りは概ね各エピソード内で完結させたのが大正解。流石に相手が1ダースとなるとマンネリなところもあるが、無理に一気読みしなければ無問題。第十三章は蛇足かな~?
 しかし、このジャンルで傑作が書けてしまったことに対し、作者としては内心忸怩たる思い(自分が本当に書きたいのはこんなんじゃないんだー!)だったのでは、とつい邪推してしまう。

 尚、講談社文庫新装版の解説では岡本喜八が映画化の思い出を語っている。

No.4 5点 mediocrity
(2021/09/23 02:14登録)
12人の殺し屋を1人ずつ殺していくストーリー。1話完結ドラマを1クール12回分見ているような感じでした。
初めの方は楽しく読んでいたのですが、似たような話の繰り返しで正直途中で飽きて来ました。最後の一人もやっぱりという感じだし、おまけの1人もおまけ以上には感じられませんでした。

No.3 8点
(2018/10/11 02:13登録)
 出羽の山奥からはるばる上京してきたとぼけた青年、桔梗信治。彼の目的は、亡き父親が手塩に掛けて殺人技術を教え込んだ12人の殺し屋を始末することだった・・・。
 戦後推理小説の鬼才、都筑道夫が放つアクションスリラー。トランプに始まり、マッチ、傘、柱時計のゼンマイ、果ては手拭いに至るまで、奇矯な手口を用いる殺し屋たちが続々登場します。
 ショートショートからSF、捕物帳から凝りに凝ったミステリ、先鋭的な評論など、幅広い活躍ぶりながらやや器用貧乏の感もある作者ですが、代表作は「猫の舌に釘をうて」でも「なめくじ長屋シリーズ」でもなく、実はこれではないでしょうか。一時は山田風太郎の「魔界転生」などと共に、無条件で人に薦められる小説の一冊に組み入れておりました。
 流石にこうも殺し屋が多いと途中からややネタは小粒になりますが、後半に残った殺し屋たちの創った組織「人口調節審議会(アホな名前)」が登場してからは軽い伏線も張られ、退屈させません。都筑氏の作品中でもこれだけ読者サービスに徹した物はおそらく無いでしょう。
 どの戦いにも舞台その他の趣向が凝らされているのが最高傑作とする所以。最後には最強の相手とおぼしき+αの敵も用意されています。本格ミステリも良いけれど、こっち系の小説をもっと書いて欲しかったな。
 ちなみに出版5年後の1967年に、岡本喜八監督の手で東宝作品「殺人狂時代」として映画化されております。「機動警察パトレイバー」の後藤喜一隊長は、この映画に登場する若き日の仲代達也がモデルだそうです。死神博士の天本英世も特別出演。ストーリーは原作とは異なりますが映像にも拘りがあり、こちらもなかなかの娯楽作品です。

No.2 7点 kanamori
(2010/06/24 21:05登録)
ユニークな長編アクション小説。「飢えた遺産」改題。
主人公の素人青年と12人の殺し屋とのバトルを描いているだけですが、この殺し屋たちが面白い。
亡き父親が通信教育で育成した殺し屋たちという設定で、主人公に残された血に飢えた負の遺産といったところ。彼らが使う殺しの道具が、トランプ、傘、マッチなど奇抜でバラエテイに富んでいるところは、山風の忍法帖を思わせました。

No.1 8点 なの
(2009/02/13 23:58登録)
ミステリ的な要素は薄いんですが、とにかく痛快で面白い作品
「殺人狂時代」も大好きなんですよ、DVD買ったし
中身全然違いますけど

6レコード表示中です 書評