夜よ鼠たちのために |
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作家 | 連城三紀彦 |
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出版日 | 1983年03月 |
平均点 | 7.26点 |
書評数 | 27人 |
No.7 | 8点 | ボナンザ | |
(2014/04/08 15:57登録) どんでん返しの連発で目を回す。 二重生活と奇妙な依頼がすき。 |
No.6 | 7点 | 蟷螂の斧 | |
(2013/03/06 16:20登録) 新潮文庫版(6作品)。男目線でのトリッキーな作品が並んでいます。お気に入りは「過去からの声」です。誘拐物で、アイデアは秀逸であると思います。短編なのでアッサリしているのが残念ですが・・・。長編であれば、かなりの衝撃度(どんでん返し)を味わえると思います。 |
No.5 | 7点 | E-BANKER | |
(2012/05/27 21:45登録) 連城の世界を堪能できる作品集。 ハルキ文庫版にて読了。 ①「二つの顔」=連城らしい「技巧」が味わえる好編。序盤の「ありえない」不可能状況と終盤の見事な反転。短編らしい切れ味も感じられるのでは? ②「過去からの声」=せっかく就いたばかりの刑事職を投げ出してしまった男。そのきっかけとなった1つの誘拐事件。「誘拐もの」も作者の得意ワザだが、このプロットもオリジナリティがあってよい。 ③「化石の鍵」=タイトルが実に意味深長(「化石」って単語がね)。夫婦そして親子間の微妙な心の動きが、事件の背景に関わってくるのだが・・・味わい深いね。 ④「奇妙な依頼」=ある私立探偵が主人公で、奇妙な依頼人が登場・・・なんて書くと、なんだかハードボイルド的に思えるが、全然異質な作品。2人の依頼人の間で行ったり来たりする優柔不断な主人公の造形がいいね。 ⑤「夜よ鼠たちのために」=これも④と同様、読者をうまい具合にミスリードする手口が心憎い。まぁ普通勘違いするよなぁ。でも、「鼠」っていうのは一体何をシンボライズしたものなのか? ⑥「二重生活」=これも読者の「誤認」を利用した得意の反転ミステリー。 ⑦「代役」=個人的にはこれが一番面白かった、っていうかプロットにビックリ。こんな反転につぐ反転のプロットなんて、普通の作家は考えないだろう・・・。まぁ、真相はある意味偶然の連続と言えないこともないが、終盤は読みながらクラクラしてきた。 ⑧「ベイ・シティに死す」=これは、何かまだるっこしいような作品。ラストもそれほど感心せず。 ⑨「ひらかれた闇」=①~⑧とはやや異質な作品で、何か連城らしくないような気がした。「動機」が本編の「肝」なのだろうが、今一つ納得できなかったが・・・ 以上9編。 さすが噂に違わぬ高レベルの作品集という感想。 どれも、「いかにも連城」というべき作品で、終盤の見事な反転劇や、ネチネチしたような独特の筆致を味わうことができる。 ただ、期待どおりかと言えば、若干期待よりは下かなというのが正直な気持ち。 (ハードルがそもそも高いのだが) まぁ、でもこれくらいの作品なら、十分に「佳作」という評価でよいでしょう。 (ベストは⑦。あとは①~④。⑧⑨はやや落ちる) |
No.4 | 7点 | 臣 | |
(2011/07/07 16:23登録) ハルキ文庫版。9短編を所収。 1)「二つの顔」・・・兄弟が強い絆で結ばれたのですね。よかったのか悪かったのか?トップバッターは怖いというより、なぜか笑える内容だった。 2)「過去からの声」・・・退職した青年刑事が一年前の誘拐事件の真相を、その事件をともに追った先輩刑事に手紙で告白する。子供のころ誘拐された経験があるからこそ分かる誘拐犯のこと。意外な真相だが、驚きよりも爽やかさを感じた。 3)「化石の鍵」・・・体の不自由な10歳の子の首を絞めたのは誰? 4)「奇妙な依頼」・・・タイトルどおり、奇妙な依頼だ。この依頼人、相当頭がいい。事実が明かされれば不思議な依頼の謎はすべて解明する。実に分かりやすい。 5)「夜よ鼠たちのために」・・・なるほど、たしかに復讐にはちがいない。隠すテクニックは抜群。こんな話が現実にあったら怖いなぁ。いやもしかしたらあるかもしれない。ネーミングも素晴らしい。 6)「二重生活」・・・これも反転ミステリの傑作。 7)「代役」・・・たしかに代役。話の中で騙された××は本当にお気の毒。可笑しな話だった。 8)「ベイ・シティに死す」・・・9編のなかではシンプルなほう。それでも騙されてしまった。 9)「ひらかれた闇」・・・短編にしては人物がわかりやすく、物語性もあり、青春ミステリっぽくもある。長編につながりそうな作品だった。 爽やかに括った「過去からの声」が、連城らしくなく、そういった意外性があって、いちばん良かった。爽やかさを求めるなんて、自分も案外俗っぽい人間なんだな、と思った。 ほとんどの作品は、奇術のような鮮やかな騙しのテクニックが駆使されている。そんな連城マジック・ミステリを十分に堪能できた。外れはないのだが、9編を続けて読むとちょっと疲れてしまう。暑さのせいかもしれない。 |
No.3 | 8点 | kanamori | |
(2010/12/30 12:41登録) 騙し絵を見るようなミステリ6作品収録の短編集(新潮文庫版)。 ありえない不可能な状況を叙述の技巧で可能にする「二つの顔」と「化石の鍵」、手紙形式で過去の誘拐事件の構図が反転する「過去からの声」、逆説的で異様な殺人動機の表題作など、いずれも叙述による騙しの限界に挑んだような逸品が揃っています。 叙情的な文芸ミステリという点で、個人的好みでは「戻り川心中」に一歩譲りますが、それに並ぶ傑作短編集でしょう。 |
No.2 | 9点 | なの | |
(2008/12/11 19:31登録) 相変わらずの文章の上手さ、 ラストのどんでん返しの素晴らしさ 文句無しに見事な短編集です 特に表題作は、 「あー!そうか!!」と驚く事請け合い (実際にどうか、ってのは別にして・・・) |
No.1 | 10点 | こう | |
(2008/07/02 23:32登録) 連城作品の中では最もトリッキーな作品が集まった好短編集だと思います。 自宅で妻を殺害したばかりの男の所に警察から別の場所で妻が殺されている、と通報がある「二つの顔」から始まりいずれも高水準な9作品です。共通点としては、一部を除いて男(犯人とは限りませんが)の一人称視点で「俺」が使用されていることで、ストーリーにあっています。 どれも人物誤認、騙りが非常に巧いです。表題作「夜よ鼠たちのために」の真相については現実では人道的にあり得ないので個人的には評価できませんが。 連城作品の短編集の中では最良だと思います。 |