クレイジー・クレーマー |
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作家 | 黒田研二 |
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出版日 | 2003年04月 |
平均点 | 5.80点 |
書評数 | 5人 |
No.5 | 6点 | パメル | |
(2023/09/26 06:29登録) 転職して大型スーパーに勤めている袖山剛史は、異例の昇進でエレクトロ課のフロアマネージャーになったはいいが、万引き犯(通称マンビ―)と執拗なまでに絡んでくるクレーマー(岬圭祐)に悩まされていた。マンビ―は大胆にも自分の仕業であることを証明するメモを残し家電を盗んでいくし、クレーマーには狂気すら伺えた。そんな袖山の唯一の安らぎが恋人の存在だった。だが狂気に駆られたクレーマーは、その恋人に魔の手を伸ばす。 店側対愚客のコンゲーム的なバトルと思って読んできて、惹句通りのサイコサスペンスかと思いきや、意外な真相が待ち受けており、そこに本格魂を感じて嬉しくなる。伏線の張り方やミスリードも巧く、実に気持ちよく騙された。ワントリック一発勝負のある作品との類似性を指摘する向きもあるかもしれないが、衝撃度はある作品の方が軍配は上がるが、アプローチの仕方は本書の方が巧いのではないか。またクレーマーの人物造形も秀逸である。 |
No.4 | 7点 | メルカトル | |
(2020/12/26 22:30登録) 大型スーパー“デイリータウン”のマネージャー袖山剛史は、クレーマー・岬圭祐、万引き常習犯「マンビー」という二人の敵と闘っていた。激化する岬との対立関係といやがらせに限界を感じ始めた袖山の前で、ついに殺人事件が発生する…。最終章で物語は突如変貌!あなたは伏線を見破り、真相にたどり着けるか?―。 『BOOK』データベースより。 最初のクレーマーネタだけで一冊連作短編集を書けそうな勢いで、冒頭から引き込まれました。ただこれはサスペンス長編、どことなく笑いを誘うようなクレーマーの連続攻撃から、ユーモアミステリかなくらいにしか思っていませんでしたが、終盤を迎えるに従って次第に只者ではないなと感じ始めました。 何となく猟奇殺人事件の大凡の概要は予想していましたし、私もあ、あれだなと誰しもが陥る陥穽に見事に嵌りました。しかし、真相は想像をさらに超えたところにあります。まあ騙されますわ。それが怒りを呼ぶかどうか、それは読者次第だと思いますが、私自身は意表を突かれ、その後色々と頷ける伏線がある事に遅まきながら気づかされました。 個人的にはとても満足しています。反則ギリギリかも知れませんが、上手く技巧で肝心なところを暈しながら、何とも際どい綱渡りを渡り切った達成感が作者にはあったのではないかと想像します。ただ、マンビーの正体が残念でした。 |
No.3 | 6点 | 人並由真 | |
(2020/08/16 14:27登録) (ネタバレなし) 大型スーパーマーケット「デイリータウン」の緑が丘店で、電機商品を扱うエレクトロ課のマネージャーを務める「わたし」こと袖山剛史。そんな袖山は、巧妙に正体を隠す謎の万引き「マンビー」(当人は「大かいとうX」と自称して犯行予告を逐次置いていく)と、陰険で粘着質の中年クレーマー・岬圭祐の両人に、日々、悩まされていた。岬の悪質な行為に対してついに憤り、実力行使に出た袖山だが、相手は逆恨みの報復を始める。やがて、袖山の周囲で慄然とする惨劇が……。 2012年に刊行の実業之日本社文庫版(現時点で本サイトに未登録)にて読了。 2003年の作品でパソコン環境やIT技術の話題などがいささか古く、またミステリとしても大ネタはおおむね読めてしまった(さらにその向こうの仕掛けには、ちょっと軽く驚かされたが)。 まあ、あんまりここで、あれこれ書かない方がいいね(実はこのあとのレビューも、一度書きかけて消した)。 個人的にはトータルで、まあまあ面白かった。もっともっと言いたいことがあるけれど、広義のネタバレまで警戒して、この辺で。 |
No.2 | 5点 | シーマスター | |
(2012/03/06 22:04登録) 確かに驚くべきミステリーではある。 しかしさすがにコレはちょっとねー ざっと見直してみても伏線もきちんと張り巡らされているようだし、「アンフェア」という批判もかわせる緻密さを備えた構成にもなっているようだ。多分。 しかし結局○○で片付けてしまう話の読後感は、下の方が仰るとおり「やられた爽快感」とは程遠い。 |
No.1 | 5点 | 江守森江 | |
(2009/05/25 21:47登録) ネタバレ 単にクレーム処理の日常を描いた小説だと思って読み進めると・・・やられる。 ただ、やられた爽快感は味わえないのが残念。 |