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ミステリの祭典

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黄色いアイリス
ポアロほか、短編集

作家 アガサ・クリスティー
出版日1980年08月
平均点5.50点
書評数4人

No.4 6点 レッドキング
(2022/05/05 13:04登録)
アガサ・クリスティー第九短編集。
  「レガッタの事件」 室内から完全消失したダイヤ(「レガッタ」あまり関係なかったなあ)・・7点。
  「バグダッド大櫃の謎」 櫃の中で発見された刺殺死体のどんでん返しWhoHow。6点。
  「あなたの庭はどんな庭?」 老婆毒殺巡って・・これまたマザーグース物と言えるのかな。3点。
  「ポリェンサ湾の問題」 マザコン息子でなくサンコン母親の問題の解決如何に・・(採点対象外)
  「黄色いアイリス」 四年越しに再現された毒殺事件。新事件の鮮やかな解決と旧事件の多重解釈の余韻。6点。
  「ミス・マープルの思い出話」 あたう限り少数人物・小数頁の密室殺人トリック。8点。
  「仄暗い鏡の中に」 殺意に至る嫉妬と改心のホラーファンタジー、素晴らしい!(採点対象外)
  「船上の事件」 おお、「踊る一寸法師」展開?・・て思った通りの展開に、アリバイトリック付き。7点。
  「二度目のゴング」 中編「死人の鏡」の前ヴァージョンか習作てとこやね。キャラ一人出てこんし。4点。
で、平均して、(7+6+3+6+8+7+4)÷7=5.8571… 6点。

No.3 5点 クリスティ再読
(2017/06/28 22:48登録)
一言でいうと「既視感の強い作品集」ということになる。読む順ミスったかな。
「バグダッドの大櫃の謎」は「マン島の黄金」にもあるし、「クリスマス・プディングの冒険」にも中編化されたものがある...「マン島」のは同じ訳者(中村妙子)だけど、訳文が全然違う。「マン島」の方が後のようでこなれてるが、「黄色い」の方が雰囲気がクールだ。「あなたの庭はどんな庭?」は出だしが「もの言えぬ証人」(実際の事件内容は違う)だし、「黄色いアイリス」は長編化して「忘れられぬ死」だ。原型が一種の「歌ものミステリ」なのがツボ。「船上の怪事件」は「ナイルに死す」の原型だろうし、「二度目のゴング」は「死人の鏡」の表題作の原型...と、没バージョンばっかり集めたボーナストラックみたいな作品集である。
他の作品読んでたら、本短編集を積極的に読む意義は薄いけど、中期クリスティの舞台裏、ってあたりを感じるにはそう悪くない。
けどこれで短編集はほぼコンプ。特殊ネタの「ベツレヘムの星」が残ってるくらい。長編はまだ「未完の肖像」が残っているが、戯曲はあと3作(+α)。「さあ、あなたの暮らしぶりを話して」とかどうしよう?

No.2 7点
(2011/10/25 20:54登録)
全9編中ポアロが5編ですが、そのうち3編が、訳者あとがきにも書いてあるように他作品の原型(前後がはっきりしないものもありますが)です。『二度目のゴング』には中編版(別題)がありますし、表題作はノン・シリーズ長編の原型として知られています。『バグダッドの大櫃の謎』は、倍ぐらいの長さにした『スペイン櫃の秘密』というほとんど同じ話があります。いずれにせよ、他の2編も含め、佳作ぞろいという感じ。
パーカー・パインの2編は、宝石盗難事件解明の仕事を依頼され、旅行中に人間関係の悩み相談を受けるという、『パーカー・パイン登場』収録作とは逆パターンになっています。
短い『ミス・マープルの思い出話』は蓋然性のツメが甘いところが気になりました。
ホラー系の『仄暗い鏡の中に』はパズラー作家らしい鏡像利用アイディアや伏線もいいのですが、特に決着のつけ方が気に入りました。

No.1 4点 江守森江
(2010/01/26 21:28登録)
ポアロ・マープル他諸々、バラエティーに富むと褒めるより纏まりに欠ける印象の方が強い短編集。
クリスティーは基本的に短編より長編の方が技巧が冴えている印象が強い。
ポアロ物の表題作をドラマで観たので、これもおさらいしてきた。
ドラマで大量にクリスティー作品に接すると「意外な犯人」設定が‘まったく’意外に感じられなくなる弊害が生じる事に今更ながら気付いた。
逆に言えば自分がポアロになった気分を味わえてもいる。

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