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ミステリの祭典

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倫敦スコーンの謎
小市民シリーズ

作家 米澤穂信
出版日2026年04月
平均点6.00点
書評数4人

No.4 6点 まさむね
(2026/06/16 22:35登録)
 小市民シリーズの短編集。謎は小粒ながら、その裏側の設定に作者らしさが表れています。小鳩くんと小佐内さんの絶妙なやり取りも含めて、楽しく読ませていただきました。理解しやすい謎の設定とその解答の一部が想定しやすいこと、これらも作者の作戦の一つなのでしょう。
①桑港クッキーの謎:船戸高校の卒業生がサンフランシスコ・ビエンナーレで受賞。そして彼の高校時代の作品が同校内で発見されたのだが…。締め方がこのシリーズらしい。
②羅馬ジェラードの謎:ショッピングモールで二人が出会った謎。その解答の一部は想定できたけれど、お楽しみポイントは伏線を回収しながら見えてくる全体像。日常の謎系短編のお手本のよう。本作中のベスト。
③倫敦スコーンの謎:調理実習で小佐内さんが遭遇した謎。これも綺麗にまとまっているものの、とある人物も主人公2人も、そこまでするものかな…と感じたりも。
④維納ザッハトルテの謎:連作短編として本書をまとめる作品。その視点で捉えると流石の巧さ。ラストの苦味もいい。
 ちなみに、本編の隙間を埋める?こうした短編集も大歓迎なのですが、「冬期限定~」以降の続編(大学時代編?)を読んでみたい…という気持ちが高まりました。米澤さん、ぜひお願いします。

No.3 6点 kanamori
(2026/05/25 13:24登録)
”小市民”というスタンスを守り互恵関係にある、高校生の小鳩くんと小佐内さんの二人が出会う”日常の謎”もの4篇から成る連作短編集。
前作の「冬期」で一応シリーズは完結したようですから、今作は番外編になるのかな。時代を遡って高校一年の冬から二年の夏前の時期のエピソードが並んでいます。熱心な読者ではないので、ピントが外れた感想かもしれませんが、以前と比べてライトな学園ミステリ風で、二人のやり取りや、小佐内さんの反応に対する小鳩くんの心の声など、どことなくユーモア成分が目立って来た感じがします。

各編は一応独立していますが、1話目と4話目は、ともに船戸高校の卒業生である芸術家(現代アート作家)のオブジェを巡る騒動で、同じような学園ミステリの似鳥鶏の”市立高校シリーズ”に作風が近づいてきた感じがします。
2話目の「羅馬ジェラートの謎」が個人的には良くできている思う。最初は北村薫の「砂糖合戦」を連想しましたが、それとは違って、これは”伏線回収の美学”という感じで、そこに感心しました。
表題作の「倫敦スコーンの謎」は、いわゆる”チェーホフの銃”である伏線が明白で、真相まで一直線でした。

No.2 6点 ことは
(2026/05/24 22:16登録)
ユーモア成分が、今までの中でも多めだと感じた。本作では小鳩くんの語りに、かなりボケやツッコミが混ざっているのだが、これがじつに楽しい。小鳩くんと小佐内さんの会話も、いつも以上にボケとツッコミの感じがつよい。だから読みやすく、本作からシリーズを読み始めるのも、ありかもしれない。
ただ、謎はいつも以上に小粒で、「謎と解決」部分は期待しないほうがよい。総合して、番外編としては「巴里マカロンの謎」のほうが出来がよいと感じた。あと、「謎と解決」は各話で完結しているのだが、人間関係にはつながりがあるため、前から順番に読んだほうがよい。
以下、各話の寸感。
「桑港クッキーの謎」 結局のところ、「それはなんだったのか?」という回答は、かなりよい。
「羅馬ジェラードの謎」 最後に焦点を当てる場所をそこに持ってくるとは、いかにもこの作者らしい。
「倫敦スコーンの謎」 真相の推理は、なかなか説得力がある。しかし、「この謎をここまで検討する必要はあるのか?」とは思う。
「維納ザッハトルテの謎」 事件の裏にある意思が、作者らしくてよい。
全体をとおして、タイトルが謎に関わらない作があるが、かわりにテーマに関わっているので、これはこれで良いタイトル。相変わらずタイトルのつけ方はうまい。
最終作は、「夏期」につづくとみられる記述で終わるので、「これで隙間が埋まり完結」ということなのかもしれない。
2ndシーズンとして、京都編でも始まれば、絶対すぐ読むのだけど、もう本シリーズは書かれないのかな。そうだとしたら残念だ。

No.1 6点 肥し
(2026/05/09 22:58登録)
日常の謎を描いた全四編の短編集で、文章は安定の読み易さ。謎はあっさりしているが、最後に一捻りある展開や、主人公ら二人の独特な会話も楽しめた。個人的には、伏線回収の巧みな「羅馬ジェラートの謎」がベスト。

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