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ミステリの祭典

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VR浮遊館の謎ー探偵AIのリアル・ディープラーニング
探偵AI

作家 早坂吝
出版日2024年03月
平均点7.25点
書評数4人

No.4 5点 レッドキング
(2024/10/01 22:43登録)
探偵AIシリーズ第四弾。方丈貴恵「名探偵に甘美なる死を」に続き、こちらもバーチャル空間ゲーム物。幾つかのロジックと設定ドンデン返しは見事だが、あれより、本格ミステリ質量は、1~2ランク劣るかな、と。そう言えば二人とも京大ミス研あがりなんだっけ、綾辻ともかく麻耶の後輩は、キレるなぁ(^<^)

No.3 8点 みりん
(2024/06/30 14:36登録)
今作はつまみぐいでなく、シリーズを通して読むことをおすすめします。込み入った特殊設定ミステリが好きな方は読むべきでしょうね。

【以下未読の方は読まない方がいいかな】


私はとあるヒントから、話の大オチについては頭のほんのほんの片隅にあったんですよ。しかし、ダミーが抜群によく出来ていて(フォースすごい!)、完全にその可能性が脳内から消え去っていたんです。もうここまでやってくれたらスタンディングオベーション。『四元館』『しおかぜ市』に続き、今年も優れた「超本格」を生み出した早坂先生に今後も注目です。何気に1番の衝撃は作者が文学部出身ということ。いやしかし偏見は良くないな。

No.2 8点 虫暮部
(2024/06/07 13:18登録)
 こいつは参った。ダミー推理に誘導されて “見破ったり” と鼻を高くした途端に本命で撃沈。割と細かいネタまで拾えた心算だったのに、それが皆フェイクだとは……ただ、妙にのんきなラスト・シーン。ゲーム性のイメージが強過ぎて、実際に人死にが出ていることが忘れ去られちゃってない?

No.1 8点 人並由真
(2024/05/22 07:00登録)
(ネタバレなし)
「四元館の殺人」事件を解決した、人工知能(AI)探偵・相以(あい)と「僕」こと助手の合尾輔(あいお たすく)。そんな両者のもとに、知人の編集者・大川が現れた。輔たちは大川の手引きで、以前に縁ができた別の高性能AIのもとに向かうが、そこでは異様な特殊空間での探偵推理ゲームが二人を待っていた。

 探偵AIシリーズ、3年ぶりの新作。
 込み入った大設定の上でのシリーズ4冊目なので、基本はこれまでの3冊を読んでおいた方がいい。
(それでも本作は一応、単品でも楽しめるとは思うが。)
 さらに言うなら前作が前述のとおりに3年前なので、評者など前巻までの細かい設定や作中での情報を忘れていたが、その辺はさすがに書き手がプロの作家。これまでのシリーズの軌跡をなんとなく思い出せるように、地の文の説明で補助線を引いてくれている。

 で、ミステリとしては堂々たる特殊設定ものだが、最後の最後でかなりの大技が炸裂。
 さらにまた、そこに行くひとつ前の<真相の仮想>の方も面白かった。このネタ、ここでダミーというか当て馬というかで使っちゃったのが、いささかもったいないくらいのものだったね。

 大技を用意しながら実は先駆例があり、その意味ちょっとイマイチだった前作に比べ、今回は最後まで二段三段のヒネリ、いやそれ以上? の仕込みでとても楽しかった。外連味のダイナミズムだけなら、今回はシリーズ全体でのベストワン。

 結構な数の人が楽しめるとは思うけど、くれぐれも(できるなら)順番にシリーズ既刊の3冊を消化してから、本書を手にしてください。

 さて……次回はいつ読めるか? まあ気長に待ちましょう。

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