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ミステリの祭典

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永劫館超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした

作家 南海遊
出版日2024年03月
平均点6.40点
書評数5人

No.5 4点 Arca
(2024/10/13 03:54登録)
あまり合いませんでした。
世界観の作り方はよかったのですが、特殊設定の方があまり馴染まず。

メインとされている第2の密室の真相も、脱力もの。結局のところストーリーありきの作品なんでしょうね。本格ミステリとして読むべきではないのでしょう。

ただし、探偵ジャイロ・ダイスはかなり好きです。彼の存在のおかげで、作品に惹き込まれていきました。

No.4 8点 人並由真
(2024/07/17 05:07登録)
(ネタバレなし)
 その作品独自の特殊設定のもとにロジックが築かれるその手のパズラーは、どうも苦手な方である。
 しかし本作はどうにか最後まで何とか理解が及び、二つの密室殺人の解決もかなり面白く読めた。
(まあ万が一、ロジックや推理の組み立てに瑕疵があったとしても、そこに突っ込めるほどの読解ができている自信はないが。)

 真犯人の意外性、サブストーリーの手繰り寄せ方(伏線の回収)、ああ……と思わされる「なぜそうだったか」のイクスキューズの数々……それらの質の高さと物量感との相乗で、非常に楽しい。終盤の展開が、ちゃんとまとまりの良い<物語>になっているのも評価。
(とはいえ作者がこの作品に込めた最大の課題は、いかにあの某メジャーゲームコンテンツを超えるか、だろうね。もし書き手から、意識してない、とか聞かされたら「嘘だっ!」と中原麻衣の声で言いたくなる。)

 クセがある作品なのは事実だから、ヒトにムセキニンにはお勧めはしませんが、個人的には結構高い評価をしておきたい一冊であった。

No.3 6点 虫暮部
(2024/06/27 12:29登録)
 本格ミステリ流のフェア・プレイ精神(従)を備えた時間テーマのファンタジー(主)、と言う感じ。ちょっと苦手な奴だ、と読み始めてから気付いた。物理トリックとかキャラクター造形とかは高く評価するけど、死に戻りを繰り返すタイムループの説明は案の定こんがらがったコンガ。

No.2 6点 メルカトル
(2024/06/09 22:21登録)
母の危篤を知った没落貴族ブラッドベリ家の長男・ヒースクリフは、3年ぶりに生家・永劫館(えいごうかん)に急ぎ帰るが母の死に目には会えず、葬儀と遺言状の公開を取り仕切ることとなった。
葬儀の参加者は11名。ヒースクリフ、最愛の妹、叔父、従兄弟、執事長、料理人、メイド、牧師、母の親友、名探偵、そして魔女。
大嵐により陸の孤島(クローズド・サークル)と化した永劫館で起こる、最愛の妹の密室殺人と魔女の連続殺人。そして魔女の『死に戻り』で繰り返されるこの超連続殺人事件の謎と真犯人を、ヒースクリフは解き明かすことができるのかーー
『館』x『密室』x『タイムループ』の三重奏(トリプル)本格ミステリ。
Amazon内容紹介より。

うーん、面白くなかったとは言えないですけどね。この特殊設定は前例がありますし、パクリと呼んでも差し支えないレベルです。そこに多少の条件をプラスした程度で新味が感じられません。あくまで個人の意見ですので、参考にはしないで下さい。読書メーターを見ても面白かった、傑作との声が殆どで私にしてみればマジですかって感じです。個人の感想です、何度も言いますが。

第一の密室はまあ許容範囲としても、第二の密室は問題ありだと思います。そのトリックを使えば現場はもっと違ったものになっていたはずではないですか。何度も書きますがあくまで個人の感想です。何と言うかトリックも謎解きも、美しくないです。犯人は意外でしたが、他に意外性がありません。正直どこがこんなに世間にウケるのか俄かには分かりません。再読しても多分それは変わらないんじゃないかと思います。ただエンディングはなかなかいい味出していたのは否定出来ません。
しかし、圧倒的なマイノリティのこんな私に本格ミステリを読む資格があるのでしょうか。年末のランキングに入るのか、入れば一層自己不信に陥りそうです。

No.1 8点 文生
(2024/06/07 07:01登録)
若き貴族の主人公が妹の死を回避するために魔女の力を借りて過去に戻るも、何度繰り返しても妹が殺されるのを阻止できないという、西澤保彦の『七回死んだ男』に似たプロットの作品です。とはいえ、真相自体は『七回死んだ男』とは全くの別物であり、しかも、先行作に負けず劣らず意外性に富んでいるのが素晴らしい。加えて、2つの密室殺人もなかなか凝っており、サブトリックとしては十分満足できるものでした。殺人現場の詳細な見取り図が用意されているのもうれしいところで、探偵趣味を存分に味わえる傑作だといえます。

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