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ミステリの祭典

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鏡の国

作家 岡崎琢磨
出版日2023年09月
平均点6.00点
書評数4人

No.4 6点 虫暮部
(2024/03/09 13:55登録)
 不自然な記述を見付けて下さいと最初に宣言しているわけで、そういうゲームとして楽しめた。メインの趣向には第一章で気付いたけど、それは “この設定にサプライズを仕込むとしたら何処か?” と言うメタ推理による。判り易いのでもう一つ裏(伊織の性別錯誤トリック等)があるのかと思ったが……。
 題材の精神症に関しては、蒙を啓かれた部分がある一方、正論で押し過ぎて却って説得力に欠けると感じたところもある。本書で読む限り、動画配信と言うフィールドは全然楽しそうじゃないなぁ。

No.3 7点 HORNET
(2024/01/13 20:42登録)
 大御所ミステリー作家・室見響子の遺稿「鏡の国」が見つかった。担当編集者の勅使河原は、著作権を相続した姪のもとにやってきて、本作の出版に関していろいろと相談をしていた。その折に彼は言う「この話には、削除されたエピソードがあると思います」―。勅使河原いわく、作中にそのことを匂わせる記述があるという。叔母が残したメッセージとは何なのか。主人公(姪)は改めてその原稿に向き合う―

 作中作に仕組まれた謎を、主人公と一緒に読み解いていくという構成だが、作中作それ自体も単体でかなり面白いので、心地よく読み進められる。
 最後に開示される作中の「違和感」=室見響子の隠されたメッセージ自体は、正直 些細過ぎて、「そんな仕込まれ方がされていたのか!」と瞠目するほどではなかった。ただ、作中作の「仕掛け」は読者の先入観を巧みに生かした上手さがあり、純粋にそれがよかった。
 ラストに二重三重の解体がされるのは昨今の流行りか。にしてもそれを組み立てられる作家の技量には、毎回頭が下がる思いだ。

No.2 7点 人並由真
(2023/11/13 14:00登録)
(ネタバレなし)
 西暦2063年。「和製クリスティ」と称された大物女流ミステリ作家の室見響子が逝去した。響子の姪で彼女の作品を愛読していた「私」は、独身だった響子から、遺した作品群の著作権相続人に指定されていた。響子の遺作は、彼女が作家生活の初期に書いた長編「鏡の国」に手を入れたもので、響子自身の現実の人生をモデルにした一種のドキュメントノベルともいえるものらしかった。響子と仕事の上で昵懇だったベテラン編集者・勅使河篤のはからいで、同作の刊行前に当該策の原稿に目を通した「私」だが、その勅使河はあることを言い出した。

 いやまあ……ラストまで読んで非常に、作者らしいなあ、というか、ああ、このヒトなりのひとつの区切りの作品なんだろうなあ、という感じ。

 ミステリ味の部分も、小説的なサプライズも確かに薄目……ともいえるんだけど(汗)、この作品で書き手というか著作家として<訴えたいこと>が、何冊かこの作者の長編作品を読んで心惹かれてる自分としては、覗けるような思いである。
(ま、一読者の勝手な思い入れかもしれんけどよ。)

 そーゆー意味でとても(中略)読めました。

 ただ正直、細部で疑問に思う所がいくつかある。
 ここで言う訳にはいかん事柄なので、どっかで読書会とかやってないだろうか? 参加して、ヒトのご意見とかを聞いてみたい。

No.1 4点 文生
(2023/10/14 21:30登録)
大御所ミステリー作家の死後に見つかった幻のデビュー作。
それは彼女が若い時に巻き込まれた事件について描いたノンフィクション小説だった。
そこに隠された驚くべき秘密とは?

この手のどんでん返し系ミステリーを成功させる鍵は、読者に誤認させたい箇所をいかに違和感なく描き切るかにかかっています。しかし、本作の場合は最初から違和感だらけですぐにピンときてしまいました。一方、作中作の中で起きた事件の真相に関しては意外性抜群なのはよいのですが、いくらなんでもリアリティがなさ過ぎて納得しがたいものがあります。さらに、原稿の一部が欠落していた謎に関しては大したサプライズもなくて、はっきりいって蛇足です。作品の狙い自体は嫌いではないものの、粗が多すぎるように感じたので点数は低めです。、

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