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ミステリの祭典

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ナイフをひねれば
ダニエル・ホーソーンシリーズ

作家 アンソニー・ホロヴィッツ
出版日2023年09月
平均点6.00点
書評数4人

No.4 6点 HORNET
(2023/10/09 18:23登録)
 探偵ホーソーンを主人公としたミステリを書くのに嫌気がさした作家・ホロヴィッツは、その関係解消を彼に告げる。ところがその直後、ホロヴィッツが脚本を手がけた戯曲の公演で、その批評を書いた劇評家が殺害され、ホロヴィッツが最有力容疑者として逮捕されてしまう。「私を救ってくれるのは、あいつしかいない―」窮地に立たされたホロヴィッツは、結局ホーソーンに助けを求め、独自に事件捜査を進めることに―

 殺害に用いられたのはホロヴィッツの短剣、現場にはホロヴィッツの毛髪、など、状況は不利なことばかり。ホロヴィッツを慕ってるんだかそうでないのかイマイチ読めないホーソーンが、関係者に聞きまわって情報を集め、最後に真相をスパークするのだが、とにかくその聞き込み捜査の内容自体は地味で、長く読んでいっても何も進展していないように思える。真相開陳の段になって、実はそこここに真相を示す手がかりがあったことが分かるのだが、その仕込み方の腕は認めるいっぽうで、途中で読者が推理する余地がないなぁとも思う。(私の推理力が低いだけなのだが)。
 シリーズものとして、ホロヴィッツ、ホーソーンの人間関係が進展していく面白さはあるし、ミステリとしても普通に面白いとは思う。逆に言えば、特段秀でた一作ということにもならないかな。

No.3 6点 makomako
(2023/09/30 06:54登録)
ホロヴィッツ氏の作品はカササギ殺人事件以来いつも注目していますが、このホーソーンが出てくるシリーズはもう一つな感じです。
本作も確かに伏線が張ってあり、意外な犯人、どんでん返しと本格推理の王道を外しているわけではありませんが、探偵も登場人物であるホロヴィッツ氏も私には感情移入しにくいところがあり、あまり好きにはなれません。イギリスの警察もこんなに思い込み調査ばかりして人を逮捕したり、探偵が真犯人を指摘したら簡単にほかの人を逮捕できてしまうものなんですかねえ。
ホーソーンも冷たく非情な神経の持ち主ではあるが、行動としては窮地に陥ったホロヴィッツを助けに一肌脱ぐのですから、もっと好感度が上がってもよいのですが、そういった書き方はされていないようです。ホロヴィッツも助けてもらったのにホーソーンが秘密にしておきたいところをこそこそ探し回ったりなどしてちょっといやなやつですね。
こういったシリーズものは登場人物への好感(または興味?)がないと読む楽しみが半減します。少しずつホーソーンの実態が判明してきたので、次回ぐらいにはちょっと好きになるのかも。

No.2 6点 nukkam
(2023/09/17 20:14登録)
(ネタバレなしです) 2022年発表のダニエル・ホーソーンシリーズ第4作の本格派推理小説です。ホーソーンとのコンビ解消を宣言するトニーですが、殺人事件に巻き込まれるだけでなく自身が最有力容疑者になってしまって結局ホーソーンを頼ることになります。トニーに目をつけたのが「その裁きは死」(2018年)で恥をかかされたグランショー警部とミルズ巡査で、トニーの窮地を明らかに楽しんでいる様子がいやらしく描かれています。とはいえトニーに不利な状況は明らかなので不当な容疑ではないし、ホーソーンと交わした約束は守ってはいますけど。真犯人は誰かという謎解きだけでなく、誰がなぜどのようにトニーを犯人に仕立てようとしたのかの謎解きもありますが後者についてのホーソーンの推理は鮮やかで印象に残ります。なぜ真犯人に気づいたかについてはやや説明不足の感もありますが、きっちりと伏線を回収して様々な疑問点を余すことなく解き明かしています。

No.1 6点 文生
(2023/09/15 00:17登録)
謎に魅力がなくて冗長だった前作に比べると、今作はかなり楽しく読めました。ホロヴィッツ自身が逮捕される展開はスリリングですし、仕掛けも小技が効いていて悪くありません。ただ、後半の展開によってメインのミスディレクションがバレバレになってしまう点は少々物足りなく感じました。

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