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ミステリの祭典

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破戒裁判
百谷泉一郎弁護士シリーズ

作家 高木彬光
出版日1961年01月
平均点7.20点
書評数5人

No.5 7点 斎藤警部
(2015/10/24 16:53登録)
幼き時節、親からだったか親戚からだったか、古茶けた文庫本カバー無しをヒョィともらったのだが見るからに子供に受けそうもない渋みが芬々ゆえ全く食指が伸びず後回し後回しの歳月が流れ、かなりいい大人になってやっと重い腰を上げ手に取って読んでみると。。これがアナタ、高木さんならではの天然ボケ炸裂で笑いを噛み殺すのにも一苦労、極めてシリアスな主題の重厚な法廷物語の筈なのに、いちいち何だかヘンなんだもん、この違和感は叙述トリックか!?って疑っちゃいそうになるくらい。いゃ疑いはしませんがね、既に高木氏の本はいくつか読んで、素敵な悪い癖は知ってたから。 とは言え、被疑者の過去に関わる謎解きはスリリングで社会派法廷サスペンスの貫禄は充分。
ややネタバレを言うと、最後は爽やかに希望の光が放たれたね。この結末は良かったね。

No.4 7点 あびびび
(2014/08/22 15:58登録)
島崎藤村の「破戒」がベースになっている。番記者が見た裁判の行方を追う形になっていて、初めは弁護士・百谷泉一郎の存在感が希薄だったが、徐々に裁判を支配する様は興味津々だった。

改めて裁判の仕組みと言うか、その背景が分かりやすく書かれており、一気に読み切れた。

No.3 6点 ボナンザ
(2014/04/08 00:45登録)
ミステリではなく法廷小説。裁判の現実を知らない多くの人に読んでほしい。

No.2 7点 kanamori
(2010/09/05 15:50登録)
弁護士・百谷泉一郎シリーズの2作目。
国内初の本格的な法廷ミステリといわれる本書は、ほとんど全編にわたって、法廷記者の視点による法廷場面のみで構成された異色作です。
真相の意外性を追求したものではなく、二重殺人事件の被告人・村田和彦の出生の秘密に関わるテーマ性の強い作品で、一種の社会派ミステリといえると思います。著者自身の出生事情を重ね合せると、なかなかの感動ものではあります。
なお、光文社文庫版にはシリーズ唯一の短編「遺言書」が併録されています。

No.1 9点
(2008/12/12 23:23登録)
百谷弁護士シリーズの中でも、ほとんど法廷シーンのみで構成されたこの作品は、神津恭介ものの短編を長編化した作品です。事件の概要はそのままなのですが、水増しで内容が薄まったという感じは全くありません。
犯人が誰かということは、すぐに想像がつくでしょう。トリックと言えるほどのアイディアはありません。裁判劇としての緊迫感、そしてラストに向けて一気に押し寄せる感動の盛り上がりがこの作品のすべてです。著者が目頭を熱くしながら書いたと言うだけのことはある力作です。

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