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ミステリの祭典

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ピカデリーの殺人
アンブローズ・チタウィック

作家 アントニイ・バークリー
出版日1984年06月
平均点5.60点
書評数5人

No.5 6点 弾十六
(2018/11/06 05:09登録)
1929年出版。
非常にリアリティ溢れる流れが良い(チタウィック氏が探索に乗り出す辺りまでが最高)ですが、だんだん後半になるにつれて精巧な作り物めいた状況が現れ現実感を失っていくのが技巧派探偵小説の欠点ではないかと思いました。(だからリアルを求めて倒叙形式になっていったのかな?アイルズを再読してないので大きなことは言えません…) 小ネタは結構驚きありですが、大ネタの方は途中で見当がついちゃいますよね。

No.4 6点 ボナンザ
(2017/01/08 10:36登録)
バークリーらしいユーモアとトリッキーさを兼ね備えた良作。他の代表作には一歩譲るが、十分楽しめる。

No.3 5点 nukkam
(2016/07/10 21:20登録)
(ネタバレなしです) 1929年発表の本書は傑作と名高い「毒入りチョコレート事件」(1929年)と「第二の銃声」(1930年)にはさまれて目立たない存在の本格派推理小説です。個性的とはいえないチタウィック氏を探偵役にしているので物語がなかなか盛り上がらない上に、プロット全体にまたがる仕掛けが印象的だった前後作に比べると本書のどんでん返しは小手先に感じられるのはやむを得ないでしょう。決して悪い出来ではないのですがバークリーとしては地味な作品という評価が多いようですが私も賛同します。

No.2 6点 E-BANKER
(2015/12/06 20:16登録)
1929年発表。
超有名作となった「毒入りチョコレート事件」に続いて刊行された長編。
「毒入り・・・」にも登場したチタウィック氏が探偵役として大活躍する(?)作品。

~ピカデリー・パレス・ホテルのラウンジで休んでいたチタウィック氏は、目の前で話し合っている二人連れにいつとはなしに注目していた。年配の女性と若い赤毛の男。そのうちに男の手が老婦人のカップの上で妙な動きをするのが目に入った。しばらく席を外して戻ってみると男の姿はなく、婦人はいびきをかいて眠っている。異常を感じた彼は、やがて死体の第一発見者にして殺人の目撃者となっていた!氏の証言から容疑者はただちに逮捕されるのだが・・・?~

バークリーらしい風刺や皮肉の効いた作品。
チタウィック氏が何とも小市民的で、右往左往しながら必死で探偵役を務めるのが歯がゆくもあり、らしさを感じる。
「毒入りチョコレート事件」では“多重解決”という新しいプロットを導入したわけだが、本作にはそこまでの斬新さはない。
“一見して疑いようのない事実”をどのようにしてひっくり返していくか・・・
これが本作のテーマとなる。

最初は自分の目で見た「事実」を疑いなく信じていたチタウィック氏が、容疑者一族の人々に籠絡(?)された結果、自身の目に疑問を持つようになり、逆の捜査を始めることになる。
いかにもという容疑者候補が用意されているのだが、読者としては当然それはダミーだろうと予想しながら読み進めていく。
結果判明する真犯人については、そこそこサプライズはあるのだが、今ひとつピンとこないまま終わったなぁーという感覚。
(登場人物が少ないという事情はあるのだが・・・)

まっ、でも十分に面白さを備えた作品だとは思った。
バークリー好きならシェリンガムではなく、チタウィック氏が活躍する本作も見逃せないはず。
叔母に翻弄されるチタウィック氏は何ともいいキャラクターだよ。
(働かなくて良いという環境が何とも羨ましい! 一体何で生計を立てているのか?)

No.1 5点 kanamori
(2011/01/08 23:29登録)
ピカデリー・ホテルでの毒殺事件の目撃者となった、チタウィック氏が巻き込まれる本格編。
数々の傑作群にはさまれて出版された本書は、作者の作品の中でも犯行トリックが工夫されていて、珍しくオーソドックスな本格ミステリといえますが、探偵役のチタウィック氏が(シェリンガムと比べると)個性に乏しく、いまいち面白味に欠けます。チタウィック氏の伯母や犯人像など面白い人物も登場しますが、全体的に地味な作品という印象です。

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