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ミステリの祭典

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アリア系銀河鉄道

作家 柄刀一
出版日2000年10月
平均点6.80点
書評数5人

No.5 7点 青い車
(2018/11/27 20:12登録)
 ボーナス・トラックを除く4編について一言ずつ。
①『言語と密室のコンポジション』 本来ならオマケになるはずの言葉遊びを密室トリックそのものに持ち込んだのが秀逸。
②『ノアの隣』 スケールのでかい発想が光る佳作。
③『探偵の匣』 もっともオーソドックスな一編かと思わせてラストに一捻りあって面白い。
④『アリア系銀河鉄道』 宇宙を話に上手く絡めていて表題作にして連作の締めにふさわしい内容。

 他の方もおっしゃるとおり柄刀一は文章が読みづらい作家ですが、頑なに我が道を行く一途さには好感が持てるのでもっと評価されて欲しいです。

No.4 8点 505
(2015/09/27 20:02登録)
幻想的で壮大な事件に巻き込まれる連作短編集。ファンタジー+ミステリとして、そこにSFを加味した幻想世界をベースに、作者の薀蓄の引き出しを存分に奮ったユーモアを積み上げたような出来栄えで、あまりにも謎が大きすぎて呆然となること間違いなし。言葉を失う程の特殊設定は、神話や歴史に問い掛けるものがあり、奇跡のような大仕掛けもあり、と豊富な情報量にセンスが加えられている。
『言語と密室のコンポジション』は、斬新すぎる言語の密室空間を描いた作品で、フェアとは云い難いものの、そこまでの過程を楽しめた。メタな視点も憎い。
『ノアの隣』は、神話をベースに進化論に一石を投じる作風。神話を用いただけあって、作中の技法は奇跡そのもの。
『探偵の匣』は多重解決モノ。この短編集の中で最もオーソドックスかと思いきや、変化球という見事なオチ。各探偵役の推理にも、ある程度の説得力がある所が高評価。これがマイベスト。
そして、表題作でもある『アリア系銀河鉄道』は、宮沢賢治リスペクトな作品。作中のトリックにはややクレームを付けたくなるが、作品を終わらせるという意味での仕掛けには拍手を送りたい。不思議な世界観にピリオドを打つ技法として中々。佳作である。

No.3 4点 いいちこ
(2015/05/07 15:10登録)
仮想現実を舞台とした本格ミステリの場合、何にも増して前提条件を明らかに、限定的にしておく必要があるが、本作は作り込みに甘さがあり、真相解明時のカタルシスを大きく減じている印象。
真相解明にあたっても、不可解な点が多く、論理性に綻びを感じる

No.2 6点 abc1
(2009/12/18 05:40登録)
壮大な構想は9点。
それを表現する文章が実に読みにくいので3点。
ということで平均して6点です。

どうしてこんなに読みにくい文章が書けるのか。文章に流れと言うものが全くないので、書かれていることが頭に入っていかないのだ。

No.1 9点 ギザじゅう
(2004/10/24 21:39登録)
あまりに美しい幻想的本格推理。五編のうち、多少出来、不出来に差があるが、どれも楽しませてくれる。
「言語と密室のコンポジション」は人によっては楽しめないかもしれないが、この空間を作り出しただけでも賞賛物。バカミス的でおもしろく、この作品のモチーフとなるアリスの生みの親、ルイス・キャロルを出したのも流石。
しかし、本書における白眉は表題作。舞台と幻想と本格が一番見事にまとまった超傑作。相変わらずトリックはバカミス的だが、それに使われた道具二つが乱歩の名短編に関係があるだけに、ますます美しく感じられてしまう。
柄刀一を薦めるのに最適な一冊!

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