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ミステリの祭典

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悪魔の寵児
金田一耕助シリーズ

作家 横溝正史
出版日1959年01月
平均点5.71点
書評数7人

No.7 5点 青い車
(2019/08/18 11:29登録)
 横溝の本格ミステリの名作群と比べると明らかに異質な作品で、エログロを前面に押し出した通俗ものです。推理が少ないというより金田一耕助の存在感が薄めなのが気になりましたが、「続きが気になる」「読ませる」作品であるのも確かで、変に『獄門島』的な展開を望まなければ十二分に楽しい作品だと思います(書かれた時代から来る古さも考慮すべきですが)。

No.6 6点 蟷螂の斧
(2016/08/10 08:17登録)
金田一登場するも活躍(推理)はなく、通俗的なエログロ色の濃いサスペンス小説といったところでしょうか。本トリックは先駆的(今のところ)であり、その後、結構有名作品でも取り上げられていますね。そのオリジナリティについては、高く評価したいと思います。本格ものではないので、もっと登場人物を絞った方がスッキリした作品になったような気がしますし、探偵役の記者の感情の描き方によっては、傑作になり得たような・・・。

No.5 5点 ボナンザ
(2015/11/29 13:29登録)
いわゆる通俗ものとしては良くできていると思う。

No.4 5点 初老人
(2015/01/16 22:15登録)
この作品で扱われている主となるトリックは、当時としてはかなり斬新なものであったのだろうが、今となっては時代に埋もれてしまった感があるのは否めない。
そういった点を度外視すれば、雨男の意外性など十分楽しめる内容の作品になっているのは間違いない。

No.3 6点
(2012/01/31 21:12登録)
「ベショベショと」降る「いんきな雨」という表現は、作中何度も繰り返されます。この部分では「陰気」をわざとひらがな表記にしているのが、妙な擬音語とあいまっていかにも通俗的な感じを出しています。
そのような通俗作品の中では、他の方も書かれているとおり、結末の意外性はかなりのもの。有名作の大部分よりもむしろ、犯人は意外なくらいです。それはいいのですが、論理的厳密性に捉われていないからこその意外性とも言えそうなところがちょっと…
論理性については、最後の金田一耕助による説明は推理とも呼べない程度で、アンフェアでもあります。実は途中で、犯人はどのようにしてこのことを正確に知ったのだろう、と疑問に思った点があって、その疑問に解答できれば、犯人の正体の見当もつくのです。ところが、金田一はそのことには一切触れていません。
依頼人風間氏の人物描写がどうにも経済界の大物らしくないのも、不満な点です。

No.2 7点 りゅう
(2011/09/13 19:16登録)
 再読です。これぐらいの作品だと完全に忘れていると思っていましたが、作者が仕掛けたミスディレクションに気付き(思い出し)、したがって犯人もわかりました。
 金田一耕助が登場する、都会を舞台とする猟奇的な作品で、謎の雨男の出現、蝋人形館での冒険、エログロな死体の発見場面などの演出でサスペンス性を盛り上げています。犯人を誤認させるトリックや異常な人物のキャスティングなどによって、推理を混乱させることにも成功していると思います。心中事件の挨拶状の枚数やご神託の意味など、真相説明を読んでなるほどと思う箇所もありました。一方、不満なところも何箇所かあります。犯人が相当な危険を冒して犯行に及んでいる点は不自然ですし、水上三太が石川宏を発見した経緯も都合が良すぎます。プロットが複雑な割には、金田一耕助の真相説明が簡略すぎるのも不満です。全部で8人が死亡、石川兄妹が誘拐されるなど、ここまで警察が無能というのも普通は考えられないことです。また、金田一耕助が途中で知り得たある秘密が、真相説明まで伏せられていますが、その秘密を明らかにすることで謎解きが格段にグレードダウンするので、これはやむをえないでしょう(金田一耕助が何を調べていたかは明示されています)。
 作者の他の有名作品と比較すると、物語としての重厚さはなく、エログロ表現があるためにそれほど評価されていませんが、謎解きミステリとしてはなかなかの作品ではないでしょうか。

No.1 6点 マニア
(2008/12/18 00:06登録)
とりあえず後味がかなり悪い・・・。でも、結構好きな作品かな。ストーリー展開は氏の『幽霊男』に似ているかも。しかし、物語を通じて「ベシャベシャと降る」と表現される雨が陰鬱な情景を演出しているのが面白い。

事件はかなりエグい。人間のどす黒い部分のオンパレード。犯行のえげつなさでは金田一シリーズでも上位に入るのでは?中だるみが気になるが、意外な犯人とそれに説得力を与える伏線は上手いと思った。

しかし、関係者がバタバタ殺された上に犯人に狙撃されて重傷を負うって・・金田一さん・・・。

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