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ミステリの祭典

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退職刑事3

作家 都筑道夫
出版日1982年09月
平均点6.20点
書評数5人

No.5 5点 まさむね
(2024/08/06 23:32登録)
 シリーズ第3弾。このシリーズは、安楽椅子探偵モノの国内代表格と言えると思うのですが、本作は前2作と比べると多少落ちるかな…という印象。真相について他の解釈も可能では?という短編もございましたし、全体的にこじつけ感が強めのような…。
 収録作の中では1作目の「大魔術の死体」がベスト。電話ボックス内に射殺死体が、でもボックスのガラスは無傷…という謎が魅力的(ちなみに近い将来「電話ボックス」も死語になるのかなぁ)。2作目の「仮面の死体」も好みだけれど、胆となる部分が1作目と被っている分、割引か。後半にダイイング・メッセージ系が固まっていることもあるし、短編の掲載順を少し変えてみると短編集全体の印象も変わるのかも。

No.4 5点 nukkam
(2021/03/24 20:55登録)
(ネタバレなしです) 1978年から1982年にかけて発表された退職刑事シリーズの7作の本格派推理小説を収めて1982年に出版された第3短編集です。前半の4作品が楽しめました。現代では珍しくなったガラス張りの電話ボックスの中でガラスに傷も穴もないのに射殺された死体、人形に殺されたかのような死体、殺人犯人は自白して事件は解決したはずなのに被害者の顔に仮面をかぶせたのは誰、死後に歩き回ったとしか思えない死体と、トリックはそれほどのインパクトはありませんが魅力的な謎と論理的推理による解決を堪能できました。しかし後半の3作品は論理的推理とは相性の悪そうなダイイング・メッセージ系です。「乾いた死体」で「ひとつの解釈をしてみただけなんだ」と言い訳させてますが、唯一の真相だという説得力がありません。しかし作者はこの種の謎解きに挑戦意欲が湧いたのでしょうか、第4短編集の「退職刑事4」(別題「退職刑事健在なり」)(1986年)ではメッセージの謎解き路線を更に推し進めることになります。

No.3 7点 E-BANKER
(2011/02/25 23:11登録)
国産の安楽椅子型探偵シリーズ第3弾。
相変わらず親父(元刑事)の鋭いロジックが決まってます。
①「大魔術の死体」=電話ボックス内で射殺されたのに、ガラスに銃弾の跡が全くないという謎。まぁ、これしかないという解決。お手本のようなミステリー。
②「仮面の死体」=死体がなぜ般若の面をかぶっていたかという謎。これも「見せ方」が老練。
③「人形の死体」=殺された人形家の作品(人形)までもが殺される(壊される)という謎。ダミーの容疑者が多いので騙されやすい。
④「散歩する死体」=殺されたはずの男が散歩する姿を見られたという謎。結構無理やり感のある真相。
⑤「乾いた死体」=ダイイング・メッセージもの。「雨さえ降っていればなぁー」と言い残して死んだ男の謎。真相は小粒。
⑥「筆まめな死体」=これはちょっと変わった「ダイイング・メッセージ」或いは「暗号」もの。推理クイズのようで面白い。
⑦「料金不足の死体」=これもダイイング・メッセージもの。死体の額になぜか切手が貼られている謎。死ぬ前にこんなこと考えますかねぇ?
以上、7編。
タイトルはすべて「・・・の死体」となっていて、ダイイング・メッセージものが3編連続で続いてます。現実性というよりは、パズル的な面白さを追求した作品集という位置づけでしょう。
まぁ、これはこれで面白いし、ありだと思います。ロジックをこね回しているだけという感想がなくもないですが・・・
(個人的ベストは①。④はちょっと分かりにくいけど、発想そのものは奇抜で面白い)

No.2 6点 kanamori
(2010/06/28 18:08登録)
安楽椅子探偵シリーズの第3弾。
この設定からマンネリは当初から作者も自覚的なものなので、読む方も心地よいマンネリ感に浸って読むのが正解です。
7編ともタイトルが「・・・死体」で統一されているのは海渡英祐の吉田警部補シリーズを連想してしまう。
「大魔術の死体」は珍しく正統派の不可能犯罪もので印象に残りました。

No.1 8点 VOLKS
(2009/01/25 20:25登録)
第三弾にして、はじめてタイトルに統一性のある短編集となっている。
快刀乱麻の腕をふるう定年退職刑事に惚れ惚れ。

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