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ミステリの祭典

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紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人
紙鑑定士・渡部

作家 歌田年
出版日2020年01月
平均点6.50点
書評数4人

No.4 5点 名探偵ジャパン
(2022/07/06 17:05登録)
 探偵役のキャラクターと模型の蘊蓄だけで保たせた、みたいな話に感じられました。肝心のミステリ部分が弱く、だから「このミス」は信用できないんだよなぁ(笑)。ライトノベルのレーベルで出したほうが読者を獲得できたかも。

No.3 7点 makomako
(2021/04/28 22:23登録)
紙鑑定士という本当にそんな商売があるのかという設定が、興味を引いて読みました。
結の鑑定は中心ではなく、模型の鑑定が重きをおいているお話でした。
この鑑定事務所へ全くお門違いの浮気調査の依頼があり、手がかりはプラモデルの写真のみ。模型の専門家土生井は1枚の写真から事件解決まで推察してしまう。薀蓄がすごいね。まだページがいっぱい残っている。これは連作ものかと思いきや次の依頼は超難関で、これが結局最後まで続くお話となる。お話の構成としては若干違和感があります。
次々と話が展開していくが読み手が混乱するということはなく、興味津々で読み進めるといった内容です。あまりに土生井の推理が的確過ぎてちょっと違和感があるぐらいです。
ちょっと詰め込み過ぎではありますが。読後感もよくなかなかの作品と思います。
是非シリーズ化してほしいですね。

No.2 8点 虫暮部
(2020/06/18 12:28登録)
 人はしばしば自分の興味の対象ばかり見る。場面の端々で紙の種類を気にするマニアックな主人公は“特殊な人のリアリティ”を上手く表現していると思う。敢えてさらりと描くことで可笑しみを醸し出す文体をものにしているのも心強い。
 調査が色々都合良く進み過ぎだろと言う部分はあるが、或る種の予定調和がアリになる作品世界がそれなりに成立しているのであまり気にならず、事件を手繰り寄せる手捌きの爽快感のほうが胸に残った。

No.1 6点 HORNET
(2020/05/24 17:11登録)
 第18回「このミス」大賞受賞作。
 渡部は、どんな紙でも見た目や触感で種類を見分けられる「紙鑑定士」。そんな渡部のもとに「探偵事務所」と勘違いした女性がプラモデルをもって調査の依頼に来た。少しでも商売になるのなら…と畑違いの事案に乗り出した渡部は、模型の専門家・土生井の協力を得て事案を解決する。すると、その噂を聞いた別の女性がまた依頼に。ところが今度の依頼は、刑事事件の要素も匂う、かなりキナ臭いものだった…

 タイトルや本の装丁からして、「紙」が捜査のキーとなる一風変わった内容かと思ったら、あまり関係なかった(笑)。上記の事情で「模型」を手がかりに調査する事案に手を染めた渡部が、そのことによって知り合ったカリスマ模型家・土生井とともに事件を捜査していく話。メッセージ性が込められた謎の模型が次々送られてきて、それを読み解きながら事件を解明していく。渡部と土生井のラインを介したやりとりやその推理が面白く、読むに飽きなかった作品ではある。
 送られてくる模型に暗号が込められているなんていう設定はクラシカルだが、調査にあたってはグーグルのストリートビューを駆使したりなど今っぽい。含みのある暗号を読み解いていく過程はちょっととんとん拍子過ぎるところはあるが、物語のテンポを妨げないということだろう。ただ、真犯人とその動機もかなり独特なものなのだが、紙鑑定士と模型オタクという設定の前にちょっとかすんでしまった印象。

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