怪物の木こり |
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作家 | 倉井眉介 |
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出版日 | 2019年01月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 5人 |
No.5 | 6点 | HORNET | |
(2021/12/25 22:47登録) 被害者が斧で頭を割られ、脳を持ち去られているという猟奇的殺人事件で、舞台設定の魅力は抜群。サイコパスを題材にしたストーリー展開、「脳チップ」というSF要素も上手くまとめられ、よく練られた一作だった。 真犯人もなかなか意外なうえ、その動機が物語のテーマ(?)と上手く絡められていた。素直に面白かった。 後続作を耳にしないが、ストーリーテーリングの上手い作者だと思った。 |
No.4 | 5点 | メルカトル | |
(2021/01/27 22:52登録) 第17回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作は、サイコパス弁護士 vs. 頭を割って脳を盗む「脳泥棒」、最凶の殺し合い! すべては26年前、15人以上もの被害者を出した、児童連続誘拐殺人事件に端を発していて……。自分は怪物なのか? では人とは何か? 善悪がゆらいでいく主人公に「泣ける!」との声もあがったサイコ・スリラー。 Amazon内容紹介より。 文章はスカスカな上内容も薄っぺらいです。これで1200万円ゲットとはある意味凄いです。賞金が高いのに作品のレベルが低い『このミス』大賞受賞作の典型的な例ですね。審査員はどこを読んで選んだのでしょうか。タイトルからして怪しいなと思ったんですけどね。怪物マスクとか脳泥棒とかネーミングがダサいです。そして色々説明不足で説得力がありません。臨場感、緊迫感も無いし、サイコパスを二人も出しながら、その特異な思考などの心理描写も弱いです。 はっきり言って素人クオリティの作品だと思います。初稿に加筆訂正したそうですが、本当ですかね。児童誘拐事件の動機も曖昧ですし、怪物マスクの犯行動機はもっと納得できません。兎に角ストーリーに深みが感じられず、新味もありません。一応5点付けましたがその中でも最下層ですね。 |
No.3 | 6点 | 名探偵ジャパン | |
(2020/02/01 16:23登録) 物語の開始早々「脳チップ」という架空のアイテムが出てきて面くらいました。この「脳チップ」に関する設定のご都合主義がなければ成立しないストーリーのため、登場人物の葛藤などを説かれても、「そりゃ、作者がそういう設定にしたからね」というメタレベルの「覚め」がどうしても出てきてしまい、いまひとつ乗れませんでしたね。これが漫画やドラマなどで、引き込まれるビジュアルや役者の好演で、そういった不自然さを覆い隠してくれていたら、もっと楽しめたように思います。「小説」って、そういう意味で作家の「生の力」がモロに反映されるので、難しいんだなと改めて思いました。 |
No.2 | 7点 | sophia | |
(2019/08/04 21:19登録) 主人公が襲撃の被害者であると同時にリベンジャーであり、警察に真実を隠すことから事態が複雑に展開していき、読み応えがあります。終盤に訳が分からなくなり戸惑っていたら、時系列をずらしたんですね。これは結末に向けて効果的だったと思います。ただ、人物造形の浅さが気になります。例えば、主人公は邪魔者を何人も殺してきたサイコパス弁護士という設定ですが、弁護士としての仕事ぶりも、邪魔者をどう殺してきたのかも具体的に描かれていません。作品のキーワードになっている「脳チップ」も、ネーミングが何とも安っぽいのでもうちょっと考えて欲しかったところです。 |
No.1 | 6点 | 虫暮部 | |
(2019/06/17 12:19登録) 第17回このミス大賞受賞作。 漫画ならもっと楽しめたかも。ストーリーは面白いが文章がスカスカ。と感じるのは“小説は深みのある文章で書かれるべき”との固定観念に縛られているせいか。“あくまでも虚構性の強い世界だからこそ成立する物語”との選評には同意するが、それがネガティヴな要素だとは思わない。それはそうと、乾が名刑事には全然見えないのは大問題だ。 |