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ミステリの祭典

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プレーグ・コートの殺人
HM卿シリーズ /別題『黒死荘の殺人』『黒死荘殺人事件』『黒死荘』

作家 カーター・ディクスン
出版日1959年01月
平均点6.85点
書評数27人

No.7 6点 mini
(2012/07/30 09:54登録)
先日27日に創元文庫から「黒死荘の殺人」が新訳で刊行された、もちろん早川版で言うところの「プレーグ・コートの殺人」である
”プレーグ”とは黒死病の意味なので、まぁ単に日本語表現にしただけだ
でもカー作品における早川版と創元版での題名の差異が気になったので調べてみた
「~殺人事件」と「~の殺人」みたいな微々たる表現上の違いは無視し、ある程度違いのある題名だけに絞った、左側がポケミスも含む早川版、右側が創元版である

「修道院殺人事件」、「白い僧院の殺人」
「メッキの神像」、「仮面荘の怪事件」
「妖女の隠れ家」、「魔女の隠れ家」
「死人を起す」、「死者はよみがえる」
「嘲るものの座」、「猫と鼠の殺人」
「震えない男」、「幽霊屋敷」
「死が二人を分かつまで」、「毒殺魔」

普通に考えると左側の早川版の方が文語調なので古臭く感じるはずなのだが意外とモダンな語感なんだよね
むしろ右側の創元版の方が現代語調で平易なはずなのに全体に時代掛かった感じがするのは私だけ?
乱歩調の早川版、横溝風の創元版とでもいうのかな
創元が「黒死荘の殺人」としたのは、「白い僧院の殺人」「赤後家の殺人」などと対になるという効果も狙ったのかも知れんな

内容のほうは怪奇な雰囲気と対照的に科学的なトリック、意外な犯人の設定などカーらしさが良く出ている
必ずしも作者の最高傑作とは言えないかも知れないが、作者の特徴が良く出ているという面では、カー入門偏には向いていると思う

No.6 7点 kanamori
(2010/06/25 20:35登録)
怪奇趣向の降霊会という設定で石室内の密室殺人を扱っています。H・M卿の初登場作品ですが、登場前の物語前半は怪奇小説の様相です。
初読は講談社文庫の「黒死荘殺人事件」でしたが、読みずらい訳文のせいもあってあまりいい印象がありませんでした。再読してみて、因縁話として語られた黒死病流行時代の短剣のエピソードが、密室トリックをミスリードしている点など巧妙な構成は感心しました。人物に関するトリックは、無理があるように思います。

No.5 6点 ミステリー三昧
(2009/11/11 13:53登録)
※ネタばれあり<ハヤカワ文庫>H・M卿シリーズの1作目(長編)です。
ハウダニットは「傑作」ですね。二重の密室に関してですが、石室の密室トリックは完全にミスリーディングしてました。以前「江戸川乱歩」の作品でトリックに関する「ネタばれ」被害にあっていた。・・・にも拘わらず気付けなかった(笑)。この作品で巡り合うことになるとは微塵も感じていなかった。とにかく短剣ですね。この使い方が巧い。ですが「ネタばれ」の罪は大きい。トリックに「驚けない」のが残念です。(もうひとつの足跡トリックは肩透かしなので触れません。)






(ここからネタばれ感想)
フーダニットが理解し難い。私は「変装」トリックを根本から好きになれない。女性の男装はバレるだろう。「変装していたこと」を読者に察する余地を与えていた点は良いですが・・・「変装」トリックはできるだけ使わないでほしい。
また、共犯者がいた点も気に食わない。それを察する伏線もなかった。
意外性はあったが犯人をロジックで追及することが不可能な点で評価を下げた。

No.4 8点
(2009/02/18 13:52登録)
カー名義の『連続殺人事件』みたいな明らかな科学的勘違いではありませんが、この傑作の誉れ高い作品のトリックも、科学的には無理があります。実際には、この現象は特にあまり動かさない場合は、そう簡単には起こりません(ネタばれしないよう妙な書き方になってしまっていますが)。まあ、科学的厳密性にこだわらなければかまわないのでしょうが。
なお、このトリックについては翌年の『三つの棺』の密室講義の中でも、作品名を挙げずに言及されていますが、たとえ『三つの棺』の直後に本作を読んでも気づかないだろうと思われるほど、使い方が巧妙に隠されています。
さらに怪奇趣味との融合、犯人の意外性も充分で、いかにもこの作者らしい代表作の一つと言えるでしょう。

No.3 9点 ロビン
(2008/09/04 15:47登録)
あり得ない!と、メインの密室トリックが解明されたときは思わず心の声で叫んでしまった。こういう現代人の常識って、古典ミステリーを読むときは邪魔な存在なんです。すごくトリッキーだと思いました。
他にも様々なトリックが随所に連発。死体入れ替わりや、特に二重の共犯という仕掛けが個人的にはグッド。

毎度のごとく、事件の裏で起こっていた出来事が複雑に絡み合って、不可能犯罪をより不可能犯罪に仕立てている。こういった、フーダニット物にはない物語としての面白さも、カーの好きなところです。

No.2 7点 Tetchy
(2008/08/26 21:48登録)
この作品はさすがに世評高いだけあって、楽しめた。
ただやはりあのトリックはかなりアクロバティックで無理を感じた。

でも明かされる人間関係の複雑さはなかなかに面白い。
事件の裏側にこれほど込み入った役割分担があったのには驚いた。
その辺の微妙なバランス感覚を愉しんだ。

No.1 9点 あい
(2008/04/27 18:19登録)
個人的には面白いと思うが、この作品をみて納得がいかないという人の気持ちも分からなくはない・・・

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