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ミステリの祭典

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道化の死
ロデリック・アレンシリーズ

作家 ナイオ・マーシュ
出版日2007年11月
平均点6.00点
書評数5人

No.5 7点 猫サーカス
(2020/04/21 17:43登録)
冬のある日、イングランドの田舎にある領主屋敷の庭で、伝統の「五人息子衆のモリスダンス」が行われることになっていた。クライマックスで、五つの剣の切っ先に頭を突き出した道化が首をはねられ、その後、生き返るという筋書きの、死と再生をテーマにした豊饒祈願のダンス。しかし、道化役の鍛冶屋の主人は本当に首を切り落とされ殺されてしまう。衆人環境下の中の殺人という難事件を解決するためにやって来たのは、スコットランドヤードのアレン警視。警視は綿密な聞き込みによって、ほぼ真相に辿り着くと、それを証明するために、再度ダンスを演じることを提案した。そして驚くべき真相が暴かれる。凍てついた闇にかがり火が焚かれ、哀切なバイオリンの音色が響き、鈴を鳴らして男たちが踊るダンスのシーンは実に幻想的で美しい。演劇畑出身のマーシュの面目躍如樽舞台設定で、この作品の大きな魅力になっている。それに加え、登場人物の造形が実に見事。ことに、かくしゃくとした九十四歳の屋敷の女主人の存在感は素晴らしい。

No.4 6点 はっすー
(2017/10/20 22:55登録)
正直こういったミステリには細かい図面的な説明が必要なのでは?と思いました
正直馴染みのない舞台を想像出来る人は少ないと思います
メインのトリックは正直妥当な感じで意外性は低いでしたが読後感は悪くない作品でした

No.3 4点 蟷螂の斧
(2015/07/04 08:10登録)
黄金期の4代女流作家とのことで手に取りましたが、全体的に単調であり、読むのに時間がかかってしまいました。本作と似た「ジェゼベルの死」(評価4)と同様、舞台や道具が頭に入ってきませんでした(苦笑)。この手の作品は配置図や道具の絵がないと分かりにくい?。まあ、あったら逆にすぐトリックがばれてしまう恐れもあるが・・・。○○像が好みでないのでこの評価。

No.2 7点 nukkam
(2011/09/06 19:16登録)
(ネタバレなしです) クリスチアナ・ブランドの傑作「ジェゼベルの死」(1949年)をちょっと連想させる作品で、ブランドは舞台上の死体と首なし死体を扱いましたが1956年発表のアレンシリーズ第19作である本書では舞台上の首なし死体が用意されています。不可能犯罪であるところも共通しており、ブランドほどの大技ではありませんがまずまず合理的なトリックとして解明されています。同じような取り調べシーンが長々と続いて単調になりやすいというマーシュの弱点が目立たず、プロットがしっかりしているのもいいです。民族舞踊の描写も効果的で、映像化したらさぞや映えるでしょう。これまで読んだマーシュ作品では最高傑作だと思います。

No.1 6点 kanamori
(2010/04/19 18:01登録)
アラン警視シリーズ第19作。
作者は32作のミステリを書いていて、全てにこのシリーズ探偵が登場するようです。初登場時は警部でしたが、本書では警視となっています。一応、代表作のようです。
村の伝統ある豊穣祈念ダンス行事の真っただ中の、衆人環視状況の不可能殺人を描いていて、まずまず楽しめました。
探偵役の個性がやや乏しいのと、クリステイの様なハッタリに欠けるきらいはありますが、端正な本格ミステリと言っていいと思います。「ランプリイ家の殺人」で失望した人も、この作品にはある程度満足いく出来じゃないでしょうか。

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