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ミステリの祭典

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濱地健三郎の霊なる事件簿
心霊探偵・濱地健三郎シリーズ

作家 有栖川有栖
出版日2017年07月
平均点6.20点
書評数5人

No.5 5点 HORNET
(2020/07/01 20:40登録)
 これまでの評者の皆さんが書かれているとおり、心霊を題材にした新機軸としながらも、これまでの氏のテイストが大きく変わっているわけではない。真相を看破するのに霊的能力が用いられていても、それで解決とするような完全なホラーではなく、基本的にはきちんと現実路線で裏取りがなされている。私は氏のファンなので、それは非常に肯定的に受け止めた。
 助手の女性の彼氏候補(彼氏?)が、後半になって何か大きな展開に絡んでくるのではないかと目して読んでいたのだが…
 今後も続くシリーズだと思われるので、きっとだんだんそうなってくるのではないかと思う。

No.4 7点 makomako
(2020/03/07 07:27登録)
霊的能力のお話は本格物とは対極のような気がしますが、有栖川氏の作品はそれを感じさせない、というよりこういったお話が大好きな方が書いていると思えてきます。
 作者の幽霊もの?はどれも全然怖くなく、その世界で見事に完結しているのでミステリーとして読んでも興味深いのでしょう。
 相手役のユリエさんもなかなか素敵です。

No.3 6点 まさむね
(2019/03/17 21:24登録)
 「幻坂」収録短編のうち2編に登場した心霊探偵「濱地健三郎」を主役に据えた短編集。
 「ミステリの発想を怪談に移植した上で、両者の境界線において新鮮な面白さを探すこと」という、作者の目指したかったことは一定達成できたのではないでしょうか。助手役の「志摩ユリエ」の存在感もあって、前短編集とも一味違った面白味がありました。続編を希望したいですね。

No.2 7点 虫暮部
(2017/11/30 12:28登録)
 特殊な設定のシリーズ短編集、ではあるが、いつもの有栖川作品とさほどテイストは変わらないように思う。これは良くも悪くも、であって、もう少し斬新な新機軸という感じがあっても良かった気がする。
 敢て突っ込むならば、「霧氷館の亡霊」の事後処理について。“ロシアン・ルーレットの当たり”がひとつだけである保証はないわけで、万全を期すなら全て処分するしかないのでは。

No.1 6点 ボンボン
(2017/08/12 12:40登録)
有栖川有栖の新たな探偵「濱地健三郎」がついに単行本デビュー。濱地は「心霊探偵」だが、著者曰く、これは特殊設定ものの本格ミステリではなく、ミステリの発想を移植した怪談であるとのこと。
ということで探偵による事件捜査がメインだが、その手法は霊視。ただし、超自然的なもので都合よく片付けるだけの話である訳もなく、見どころは、大岡裁き的事態収拾に向けた濱地の大人な仕事ぶりだろう。
探偵ものとしての面白さをしっかり支えているのが、今回のワトソン役、探偵の助手である志摩ユリエだ。若く美しい女性らしいのだが、その辺の魅力はほとんど活かされず、地頭の良さを感じさせつつも、前向きに突っ込んでいく少年のようにぴんぴんとした元気と無力と実直さで読者目線を代表してくれる。
そして、さすがは有栖川有栖と嬉しくなるのが、心霊現象をあくまで科学や哲学の延長上で受け止めることをベースとし、たとえ幽霊が出ようと論理の筋を通すところ。
本書は、やっと作品世界の紹介が済んだというあたりで終わっている感じがするので、今後このシリーズがたっぷりした展開を見せてくれることを望む。

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