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ミステリの祭典

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紙片は告発する

作家 D・M・ディヴァイン
出版日2017年02月
平均点5.20点
書評数5人

No.5 6点 レッドキング
(2021/09/24 09:44登録)
ディヴァイン第九作。町というより小さな市の役所を舞台にした、役人の女がヒロインのWhoダニットパズル。2件の殺人事件容疑で逮捕された書記官・・実質町長・・の冤罪を救おうと奔走する愛人の副書記官。薹が立ちかかったヒロイン始め、屈折した過去と自己を持った登場人物達の描写が魅力的。私的には「二番目に怪しいキャラ」が犯人のパズル完成だった。アリバイ時間トリックくずしのネタも付いてる・・相変わらずショボいが。

No.4 5点 ボナンザ
(2020/02/23 13:13登録)
やや衝撃度や印象は薄いが、ディヴァインらしく犯人当ては上質。

No.3 5点 E-BANKER
(2018/10/12 23:01登録)
生涯に13作の長編を遺したディヴァイン九作目の作品。
1970年の発表。原題は“Illeagal Tender”(「不正入札」)

~周囲から軽んじられているタイピストのルースは、職場で拾った奇妙な紙片のことを警察に話すつもりだと、町政庁舎の同僚たちに漏らしてしまう。その夜、彼女は何者かに殺害された・・・。現在の町は、町長選出をめぐって揺れており、少なからぬ数の人間が秘密を抱えている。発覚を恐れ、口を封じたのは誰か? 地方都市で起きた殺人事件とその謎解き、作者真骨頂の犯人当て~

なるほど・・・世評が低いのも頷けるという感覚。
とにかく地味だし、町政をめぐる出世争いやら、主人公格の女性の不倫やら、脇筋のボリュームも結構多くて、読む方も途中でゲンナリ! そう思われるのも致し方ないかなという感じ。
作者が一番拘っているだろうフーダニットはまぁ及第点というところか。
怪しげな人物が多すぎて決め手に欠けるという状況のなか、まずまずのサプライズは味わえる。

巻末解説者の古山某氏が、『ディヴァインの手にかかると(不正入札や上司との不倫、出世争いなど)凡庸に思えた要素の組み合わせがしっかりとした人間ドラマに支えられ、驚きに満ちたミステリーに仕上げられる。スケールの小さい地味な話なのに、驚きに満ちた展開が大きな興奮をもたらす物語として楽しめる・・・』などと、中途半端なフォローをしてますが、まぁ言い得て妙かなとは思う。
丁寧なプロットというのは間違いないし、そこには確かにドラマがある。

職場で使えない年下の部下がいたり、素敵と思える人はみんな既婚者だったり、というのは昨今の働く女性にとっては「分かる分かる・・・」ということになるのだろう。
でも読んでる人の大半(?)は本格ファンのオッサンだしな・・・
他の方も書かれているとおり、もう少しミステリー的なギミックを大事にしてもらいたいと思ってしまう。

作者の作品は「兄の殺人者」や「五番目のコード」など、早くに翻訳されたもののクオリティが高かっただけに、どうしてもハードルが上がってしまう。それらと比べるとね・・・どうしても辛口になる。
残りの未訳作品も期待薄かな?

No.2 5点 人並由真
(2018/01/09 10:39登録)
 多様な登場人物の描き分けが完了しないうちから、読者の目線を無視して作者が物語を進めていく印象で中盤までは読むのがかなりきつかった。
 やがて主人公(ヒロイン)格のメロドラマと地方政治の内紛あれこれに焦点が定まってからはそこそこ読めるようになってくる。
 解決は、う~ん、確かに伏線や手がかりは張ってあったけど、これで謎解きパズラ-として作者は面白いと思ってるの? という感じ。ミステリに最低限必要なトキメキが無い。
 ラストのストーリー上の決着は、まあ良かった。

No.1 5点 nukkam
(2017/03/04 09:02登録)
(ネタバレなしです) 1970年発表の第9作となる本格派推理小説です。創元推理文庫版の巻末解説で語られているように英語原題の「Illegal Tender」(直訳すれば不正入札)というタイトル、主要舞台は不正疑惑や出世争いの渦巻く町議会、主人公は上司(書記官)と不倫中の女性議員(副書記官)と国内ミステリーならまず社会派推理小説と認識されそうなプロットで、そういうのが好きな読者ならわくわくするでしょうけど本格派好きの私にはちょっと辛い筋運びです(笑)。それでも主人公の探偵役としての行動が活発になる後半は謎解きのサスペンスが盛り返してきますが推理はやや弱く、犯人指摘には有力ではあっても決定的とは思えませんでした(警察も疑惑だけだったと認めています)。

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