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ミステリの祭典

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クリーピー
琉北大学教授・高倉孝一

作家 前川裕
出版日2012年02月
平均点5.80点
書評数5人

No.5 5点 YMY
(2019/07/23 20:16登録)
ごくありふれた住宅街で巻き起こる不気味な事件追う長編。
同居している父らしき男を「あの人お父さんじゃありません」と言って隣の家の娘が逃げ込んできたり、老親子の家が火事となったり、ごく浅い付き合いしかしない近隣家族に次々と怪しい出来事が起きる。作者は、事件や人物の異様で歪んだ部分を生々しく描くとともに、凝った筋立てによってスリルを高めている。なんともおぞましい隣人サスペンス。

No.4 6点 虫暮部
(2018/01/22 09:11登録)
 材料をとりあえず全部載せしたあと、大雑把にふるいにかけたような感じ。話がどっちへ向かっているのかイマイチ判らないまま進んで行く気持悪さが面白い。それほどかっちりした話ではないので、多少のアラがあってもさほど気にならないのはズルイな。
 それでも気になったことを書くと、某映画を結末まで明かして引用するのは感心しない。
 Yが狙いを付けたNの隣に住むTが、Yの弟の高校時代の同窓生だった、という偶然は許容範囲内か?こういうのをアリにしちゃうと、“AとBの共犯では?”“いや、あのふたりに面識は無い”といった理屈がどうでも良くなってしまう。ミステリで使うのは控えた方が良いと思う。

No.3 5点 メルカトル
(2016/07/02 22:09登録)
怪しい隣人をはじめ、主人公の周囲に様々な事件が起こりすぎて、全体的にまとまりがなく、どこを主題としてストーリーを進めていくのかが不透明に。それぞれの事件はさして複雑ではないが、構成が巧妙とは言えずどう展開していくのか予測がつかないため、読んでいて不安定な気分になってくる。そこが作者の狙いなのかもしれないが、心地よいとはあまり思えない。これはマイナス要素ではないだろうか。
結末は意外性があって面白い。個人的には好みではあるが、そこに至るまでがやや煩雑で明快さに欠けるため、万人受けする作品とは言い難い。

No.2 6点 蟷螂の斧
(2016/05/06 13:42登録)
裏表紙より~『大学で犯罪心理学を教える高倉は、妻と二人、一戸建てに暮らす。ある日、刑事・野上から一家失踪事件の分析を依頼されたのを契機として、周囲で事件が頻発する。野上の失踪、学生同士のトラブル、出火した向かいの家の焼死体。だがそれらも、本当の恐怖の発端でしかなかった。「奇妙な隣人」への疑惑と不安が押し寄せる、第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。」~
題名の「ぞっと身の毛がよだつような;気味の悪い」というようなサスペンスものとは言えません。ホラー、サスペンス、推理ものの要素をいろいろと欲張りすぎたため、全体的に薄味になってしまい物語の構成自体も中途半端な感じとなってまいました。しかし、高評価の理由は、ホラー・サスペンス系と見せかけて、読者の期待を裏切る?結構本格的要素のある真相を用意しているところです。まあ、本格ものとして身構えて読めばわかるのかも(苦笑)。

No.1 7点 パンやん
(2016/04/10 14:53登録)
犯罪心理学を教える主人公の心理描写がうまく、対照的に奇妙な隣人の実像が掴めず、なかなかのうす気味悪さ。このゾワゾワ感を楽しむ作品だが、うっすら覚えているシャロン・テート事件が、クリーピーに由来しているとはね。映画化はとっても楽しみだが、オチはどうする?

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