皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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シーマスターさん |
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平均点: 5.94点 | 書評数: 278件 |
No.258 | 6点 | ふたり狂い- 真梨幸子 | 2012/10/21 23:33 |
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これはなかなかの凝り凝り連作短編集。
相変わらずイヤミスであることは間違いないが、作が進むにつれ事件や登場人物達が絡み合い、後半は時系列も交錯しながら最後には一応全体としてのストーリーが焉を結ぶ。(しかし全てがクリアされるわけではない) 自分は少々疲れ気味のこの1週間の中でのチビチビ細切れ読みになってしまったので、要所々々の小さな驚きネタを感情で「おっ」と味わうことはあまりできなかったけれど「コレは確かアレ・・・つまりあそこに繋がっていたのか」と頭で感心した箇所は少なくない。 まぁこういう作品は体調のいい休日にサーっと読んでしまわないと本来持つ仕掛けの妙味を十分堪能できないかもしれない。 |
No.257 | 6点 | 深く深く、砂に埋めて- 真梨幸子 | 2012/10/03 22:33 |
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毎度のことながら、全体を構成するパーツとなる一つ一つのストーリーの作り込みの濃厚さに圧倒される。そして恋愛をはじめとした人の感情のドロドロエリアの描き込みにも。
あっと驚く仕掛けはないように思うが、時々見せる叙述小技の小気味よさも相変わらす。 いわゆる「読者を選ぶ」作品であることは間違いようもないが、生臭い話が苦痛ではないミステリーファンなら一読の価値あり。爽やかミステリー大好き読者は決して読んではならない。 |
No.256 | 6点 | 孤虫症- 真梨幸子 | 2012/09/19 22:30 |
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作者のデビュー作だが、後の「ドロドロ三部作」を遥かに凌駕するエログロミステリー。
荒削りの感は如何ともしがたいし播きっぱなしの餌もチラホラ残るが、それなりの仕掛けと牽引力を兼ね備え、メフィスト賞にふさわしいエキセントリックな意欲作だとは思う。エログロ不耐性のないミステリファンには一読の価値あり・・・とも思う。 まぁ正直この人の作品にもそろそろ食傷気味になってきたが、じゃあ個人的にもっといれ込める未読のミステリーがすぐ見つかるかというとなかなかなぁ・・・ |
No.255 | 6点 | 更年期少女- 真梨幸子 | 2012/09/12 22:58 |
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エミリー、シルビア、ミレーユ、ジゼル、ガブリエル、マグリット・・・・少女漫画にかぶれた六人のオバサマ達(全員生粋のジャパニーズ)のイタ~イお話・・・では済まされない連続殺人劇。相変わらず俗物心をくすぐるリーダビリティで読ませてくれる。
「殺人鬼フジコ」「女ともだち」とともに作者のドロドロ三部作の一つとされているようだが、最近この手の作品は「イヤミス」と称されているとのこと。もちろん「イヤな読後感を残すミステリー」は大昔からあるわけだが、本書の解説によると、このイヤミスという言葉の発祥・普及は湊かなえの「告白」の大ヒットに端を発するのではないかということで近年では湊氏をはじめとして沼田まほかる、水生大海、岸田るりこ、深木章子、そして本作者の真梨幸子といったいずれも女性作家がイヤミスの旗手とされているらしい。 この分野の読書量が乏しい自分がパッと思い浮かぶイヤミス作家といえば今のところ湊、真梨、永嶋恵美の三女史。 本書の帯には「不快すぎて痛快」というフレーズもあるが、そこまでのパワーは感じられなかった。(いやいやミレーユの章はかなりの不快パワーだったぞ) まぁ、殆どエログロを使わずにこれだけのイヤミスを書き上げた作者・・・の他の作品をもう少し読んでみたい。 |
No.254 | 6点 | 往復書簡- 湊かなえ | 2012/09/02 18:02 |
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タイトルどおり、全て手紙のやりとりで進む100ページ位の中編3作と10ページの短編1作からなっている。
・「十年後の卒業文集」・・・今更ながらのトリック・・・それにこれは無理でしょう。 ・「二十年後の宿題」・・・作者らしい凝ったお話。これは無理ではないかもしれない。しかしこの終わらせ方は好きではない・・と思っていたら・・ ・「十五年後の補習」・・・これもかなり凝った話だが、う~ん・・・・・・・・・・・・・・・負けました。第2話が映画化されるそうだが自分としてはこちらの方が・・・しかし忠実に映像化されたものを見たら一溜まりもないだろう。 ・「一年後の連絡網」・・・イマイチ意図不明だが、まぁ第2,3話の・・ということで。 正直感動もしましたよ。だけど湊さんにはやはり人の悪意や敵意のドロドロ感や生臭さを期待しているので、そういう意味では今回はやや中途半端の印象は拭えなかった。 |
No.253 | 5点 | 微笑む人- 貫井徳郎 | 2012/09/02 17:57 |
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この作品は・・・絶賛されている向きもあるようだが、特に文学通とかミステリー通とかいうわけではない普通に娯楽を求める読者にとっては「えぇ?これで終わり?」と未完成作にしか思えないのが一般的な感覚というものではないだろうか。
自分も、作者の本作を連載執筆中のブログで以下のコメントを目にしていなければ「傑作と言われれば傑作なのかなー」と思ってしまったかもしれない。 『かなり凝った話にしてしまったので、長く書くのはしんどいから、短めの長編になると思います。今は第三回の原稿を書こうとしているんだけど、早くも行き詰って辛いです』 やっぱりそういう経過でこのような作品になってしまったのか、と納得できてしまう読後感。いくら何でも回収しなさすぎだろう。マリー・ロジェじゃあるまいし。 何とか一つの理念らしきものを浮き彫らせて小説としての体裁を整えたようにも思えるが、そんなものを読みたくて貫井ミステリーを手にするわけじゃない。 前作「新月譚」を読んだ時、「あれ、貫井さんどうしちゃったの。純文学系にシフト?」と懸念したが、今回は不可解な殺人を題材にした究極のホワイダニットかと思わせながら本作のような作品を出してしまった貫井さん・・・・・・マジで今後が心配。 |
No.252 | 6点 | 絶望ノート- 歌野晶午 | 2012/08/21 23:41 |
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文庫で優に600ページを超える作品だが、さほど長さを感じることもなく読め且つ読みごたえもある内容だったように思う。
歌野を読み慣れている身としては本当に驚いたと言えるネタは1つ(あるいは2つかな?)ぐらいだが、作者らしいアクと仕掛けに溢れた楽しいミステリーだった。 主要な登場人物達のキャラクターの掘り下げ方にも歌野らしい味わいを感じたし。 また3年前の作品だが、「いじめ」の描写は最近の「いじめ」報道から感じられる構図とフォーカスのずれがなかった。 |
No.251 | 5点 | ダウン・バイ・ロー- 深町秋生 | 2012/08/07 22:50 |
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「奥田英郎の『無理』を読んだ人に」でアマゾンのおすすめ商品に入っていた作品。
冬の東北のさびれた地方都市・・・という舞台は『無理』に酷似。主人公も当然『無理』の女子高生とダブる。『無理』を意識して書かれたことは間違いようもない。 文体も一見奥田風だが、読んでみるとさほど引き込まれる文章ではなく情景描写も巧くないように思う。(作者には申し訳ないが感じたままに言うと)奥田英郎の劣化版という印象。 「いじめ自殺」で幕を開ける序盤はいい感じ(私は「いじめ」の撲滅を願っています)だが読み進むにつれ、作者の力みとは裏腹にピンボケにして凡庸なサスペンスの様相を呈するばかりだし、最後にお目見えする化け物はあまりにも違和感が大きい。今更このような小説が書かれる意義がわからない。 濃厚な山形弁とも最後まで仲良しになれなかった。 |
No.250 | 6点 | 女ともだち- 真梨幸子 | 2012/07/24 22:50 |
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「殺人鬼フジコ」同様なかなかのグロさと「カラいけど止められない」明太子のようなリーダビリティを兼ね備えた「ミステリー」
ただねぇ、思わせぶりに盛り上げて、途方もない意外性を匂わせて・・・・連れて行かれるところは・・・好みが分かれるとしか言いようがない。 それでも一見「んなんアリかよ」と思える真相も、入念に伏線は張られているから「何でもアリ」作品ではないと思う。もちろん「女って怖いね~」とか言って片付けられる話でもない。 この手の女性作家(どの手だ?)の作品の例に漏れずさまざまな薀蓄が語られるが、ムーミンキャラクターのスナフキンとミイが異父姉弟だったというのには驚いた。スナフキンがミイの弟だったとはね。 |
No.249 | 5点 | 彼女がその名を知らない鳥たち- 沼田まほかる | 2012/07/18 22:36 |
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これは個人的には評判倒れ、期待外れの感が大きい。
帯の黒木瞳さんの絶賛ぶりには「あなたホントに読んだんですか?」と問いたくなる。まぁ限りなく恋愛小説でありミステリであることは間違いないと思うが。 プロットだけで言えば、いくらでも前例がありそうな代物だし、それにこれでもかと言わんばかりの衣付けのサイケデリック調の心情、情景描写には作者の表現力の無尽蔵ぶりを感じさせるが、感性が合わなければダラダラ水増しで面白いと思える代物でもない。自分的にはこの3分の1ぐらいの長さに纏めてもらえればまぁアリかなと。 読後に作者の生年を見てチョットびっくり。 |
No.248 | 6点 | 刑事のまなざし- 薬丸岳 | 2012/07/04 23:41 |
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ヒューマンと本格の融合とも言える7つのストーリーが収録された作者の初の短編集。
薄幸な人たちが、薄幸であるが故に悲劇のスパイラルに陥っていくという痛ましい話が多いが、彼らを温かく、時に厳しく見つめる夏目信人という、娘の笑顔を奪われた刑事が全ての話の探偵役になる。 ・『黒い履歴』・・・肉親の愛憎をテーマにした悲愴感は十分出ているが、○がいるのに・・・ ・『ハートレス』・・・ホームレス社会に潜む因縁と命の尊厳。 ・『プライド』・・・これは痴情のもつれ、というか・・・ ・『休日』・・・親子の絆と信頼がテーマだが、イマイチ「そうするかなぁ」と。 ・『オムライス』・・・親子・男女の愛憎が織りなすトラジック・ミステリー。 悲愴に溢れた話が並ぶ本書の中でも最も・・・な話だが、最もトリッキーな作品でもある。 ・『傷跡』・・・リスカを繰り返す少女と殺人事件。これも真相はチョっと不自然か。 ・『刑事のまなざし』・・・ついに夏目自身の事件に・・・ここまでの6作が大体50ページ前後だったのに対し、表題作である本作のみほぼ100ページの作品になっている。 リーダビリティの高さは相変わらずだが、強引な展開、というか偶然の多用も相変わらず。そのこと自体はこの作者に関してはさほど気にならなくなったが、そういう作風は短編でチマチマやるより長編でグイーンとやった方が作者のパワーが読者に伝わりやすいような気がする。まぁ本短編集の主題はやっぱり夏目信人のスタンスだけどね。 ところで本書が刊行1年にして文庫化されたのは何か特別な理由があるのだろうか。 |
No.247 | 6点 | 贖罪- 湊かなえ | 2012/06/27 23:19 |
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作者の三作目。
ここまで刊行順に読んできた印象としては、右肩下がりの感が否めない。 本作は作者得意のモノローグ形式の連続で進められる。 それぞれの章話は回り道が多すぎて倦怠感を催すこともあるが、読了してみれば(雰囲気づくりも含めて)決して無駄話が多かったわけではないと思う。 全体の構成も前二作同様、細かい伏線が鏤められたものになっているが、その緻密さがあまりにも多くの「偶然」という部品に支えられているためミステリーとしてはちょっとキビシイかな~という感触は拭えない。 ただ、これは作者の確信犯というか本作を書くにあたって始めから「偶然に頼らない」ことを放棄していた、というより偶然に頼ることを前提として創作したという気もするけどね。 まぁ何だかんだ言っても、この作者には読ませる力があると思う。特に人の悪意をテーマにしたドロドロネタを好む読者にとっては。 恐らく自分はこの人の以後の作品も文庫化され次第、手に取ってしまうのだろう。 ミステリとして、どうのこうのというより週刊誌のスキャンダル記事でも読む感覚で。 |
No.246 | 7点 | 無理- 奥田英朗 | 2012/06/22 22:39 |
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『最悪』『邪魔』以来の作者の「漢字二文字シリーズ」(と私が勝手に言っているだけ)の第三弾。
読み始めてまもなく「やはりコレも三交代物語か」と思わせられるが・・・・・ 読み止まらなさは相変わらずで、三年前の作品なのに例えば生活保護受給に関するエピソードなどは、つい先月書かれたのではないかと思えるほどの現実感に溢れている。 東野圭吾などの作品でも感じることがあるが、本当に凄い作家は後に読むと「予言書か?」と驚くようなストーリーを書くことがあるように思う。やはり社会を見通す眼力という点でも卓越した才覚を持ち合わせているのだろう。 しかし本作のラストは如何なものだろうか。前二作も(あまりよくは覚えていないが)「これだけグイグイ読ませて最後はソレかよ」と感じた気がするが、今回は複数の話の纏め方があまりにも安易というか、「え~い、面倒だ。これで全部おしまいっ」と片づけられてしまった印象すら受けてしまった。 まぁこの人は結末がどうのとか、オチがどうのとかいう話を書く作家ではないことは解かるが、登場人物たちの「その後」はもう少し書いてほしかった。 |
No.245 | 7点 | 神様ゲーム- 麻耶雄嵩 | 2012/06/13 22:21 |
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これが子供向けというのなら、間違いなく「子供に読ませたくない児童書」のトップを争う作品になるだろう。
ていうか、普通の小学4年生が「脳細胞を活性化」だとか「眉目秀麗」なんて言葉を使うとは思えないし、大人の小説と何ら変わりなく漢字が使われているのに殆どカナが振られていないのだから、始めから子供に読んでもらうつもりなど微塵もないのだろう。まぁ麻耶らしいオフザケでしょう。 本格度はそれなりに高い。そして問題の真相は・・・・自分は○○○がいると判明した時点(かなり終盤)で見抜いた。が・・・それでは終わらなかった・・ 何はともあれ麻耶作品の中ではダントツに読みやすいことだけは確か。 |
No.244 | 5点 | 魔王城殺人事件- 歌野晶午 | 2012/06/06 22:16 |
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喜ばしいことにミステリーランドも続々とノベルス化されてきているようです。
このシリーズって、大人と子供の両者向けを謳っているようだけど(数冊しか読んでないので見当外れかもしれないが)明らかにジュブナイルなどとは一線を画し小学3,4年の子供が楽しんで読める代物とは思えないし、基本大人の読み物(ホンモノの子供に解かるとは思えないジョークも多いしね)・・・っていうか、子供だった頃の読書の楽しみを大人になった今、もう一度味わえるノスタルジックなエンターテインメントが主眼では・・・・・・・まぁどっちでもいいけど。 本作もたわいないトリックを程よく味付けしてコンパクトに纏まった作品に仕上がっているが、種明かしはちょっとくどい。一目で解かることをアレコレ理屈を絡めて説明されるのは少々興ざめする。 「あとがき」もなかなか楽しめるが、これはもちろん「作文」だよね。 |
No.243 | 6点 | 殺人鬼フジコの衝動- 真梨幸子 | 2012/05/30 23:08 |
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まさに不快極まりないけど読み止まらない・・・・・・っていうことは結局楽しんで読んでるんだよね・・・
粗筋だけで言えばこれほど狂ってる話はない。しかしフジコの(惨劇前のイジメは流石に酷すぎるが)転校先の小学校のクラス内の派閥模様や中学以後の上昇、転落を繰り返す人生ストーリーは正直面白い。 ちょっとバカっぽい文体は漫画のようだし、度々出てくる現実、回想、夢を混在した会話描写も自然な感じで受け入れやすい。 結末は、意外といえば意外だが驚愕とまでは・・・ |
No.242 | 6点 | インターフォン- 永嶋恵美 | 2012/05/28 22:58 |
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「団地」の住人達の人間模様を描いた短編集。
ダークな話が多いが、薄味のものからショッキングな話までヴァラエティに富んだ十の物語。 最終話を除いて、各話とも3分の2ぐらいのところに「さて、この話の真相・オチは何でしょう? 当てられるものなら当ててみろ」という挑戦文句を挿んだクイズ形式にしてもいいんじゃないかというぐらい歪んだ結末が待ち受けているが、やられた感は大して得られず。 私がほぼ見抜けたのは一話だけだが、推理の余地がある話はその一話だけである。負け惜しみではない。 また誤字が結構あったのも気になったが、幻冬舎ってこんなもんなのかな・・・・もう少ししっかり更生して星い。 |
No.241 | 5点 | せんーさく- 永嶋恵美 | 2012/05/28 22:52 |
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作者のデビュー作。(PHSやらiMODEやら懐かしい)
後の『転落』や『災厄』に比べると、とにかく心情描写がダラダラ多大。こういうのは作者と感性が合わなければ読者にとっては茨城。 いきなり人物造形が『災厄』にそっくりなのが少し笑えたし、トラベルミステリーっぽい感じのストーリーも、ザキザキっとした鋭角的なストーリーテリングを呈する先述の2作に比べるとジトジト感は否めない。 まぁ2時間ドラマの原作に向いている気がする。 しかし結末は・・・・・・・・普通それで済むか? |
No.240 | 6点 | 災厄- 永嶋恵美 | 2012/05/28 22:45 |
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ベストセラーになったという作者の『転落』と同様のリーダビリティもさることながら、同作で感じた取材力の凄さも再度痛感させられる。(マタニティ関連についてはご自身の経験に依るところが大であろうが)
進学校の男子生徒による連続妊婦殺人・・・その事件の司法展開のために何の罪もない主人公に襲いかかる悪意の嵐・・・・・・さすがに以前の妊婦仲間の行動には「そこまでせんだろう」と笑ってしまったが、間接的な関係者への影響を如実に描写する筆致はやはり圧巻。 そして終盤は、これでもかと言わんばかりの(少し違った意味の)悪意の連鎖・・・理解し難いところが少なくないが圧倒される。 |
No.239 | 6点 | 傷痕- 矢口敦子 | 2012/04/27 23:50 |
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書店に平積みされていた本書の帯の片隅の「心震えるジェットコースターミステリー」の一句だけで買い。
凄惨な過去の因縁、被害者遺族の苦悩、恐るべき偶然、死刑制度の考察、そして現在の悲愴劇・・・・・が読み止らないリーダビリティで綴られているので、作者名を隠して読んだら薬丸岳か高野和明の作品かと思ってしまいそう。 エッという驚きもある、コンパクトに纏まったジェットコースターミステリー。(ディズニーシーの一回転するやつぐらい) |