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Tetchyさん
平均点: 6.73点 書評数: 1567件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.67 8点 我らが隣人の犯罪- 宮部みゆき 2007/10/11 21:42
日ごろ本を読まない人から「なにか面白い本、ない?」と聞かれたらいつもこの本を勧めてます。
ほどよい長さと軽めの内容ながら意外な真相も楽しめる本作はまさにミステリ初心者お勧めの作品です。
他の方同様、私もこの中の「サボテンの花」にはホロリとさせられました。

No.66 7点 漱石と倫敦ミイラ殺人事件- 島田荘司 2005/09/01 00:12
ちょうどホームズ物を読んでいるときにこの作品を読んだので、堪能できました。
直木賞候補になったと聞いたときにはビックリしました。意外とトリッキーなことをやっていたんですね、あの賞の選考は。

No.65 3点 都市のトパーズ- 島田荘司 2005/08/30 23:23
島田信者の私でもちょっとこれは・・・。
独自の都市論を披瀝するあまり、小説としてのスピード感が失われてます。
あと虎はガタイが大きく、短足なので、そこがどうも東京の街を疾走するイメージと重なりませんでした。

No.64 9点 涙流れるままに- 島田荘司 2005/08/29 23:20
加納通子物語ここに終結です!!
通子の物語は駅のキオスクで売られているような三文官能小説っぽくって正直辟易しましたが、今までの吉敷シリーズに跨っていた通子の全貌があらわになり、また吉敷の刑事人生についても島田氏なりの結論をつけたようで、あたかも吉敷・通子の人生讃歌のような様相を呈してます。
これで吉敷シリーズはやっぱり打ち止めでしょうか?

No.63 6点 飛鳥のガラスの靴- 島田荘司 2005/08/28 23:29
これも冒頭の通子とのやりとりについては『涙流れるままに』で明らかになるのでしょうからそれだけでも読む価値があると思います。
今回は『飛鳥』のトリックにやられました。
しかし、一応のタイムリミット物にもなっていますがもう少しその状況作りが良ければサスペンス性が増したように思えるのですが。

No.62 6点 ら抜き言葉殺人事件- 島田荘司 2005/08/28 00:34
タイトルは「何だこりゃ!?」といった感じですが、内容は吉敷シリーズでも結構渋く、扱っているテーマも歪んだ学校教育という社会問題を挙げ、手堅く纏まっています。
ただ今回は犯人が「ら抜き言葉」に執着する動機が純文学よりだったのが、惜しく感じました。

No.61 5点 羽衣伝説の記憶- 島田荘司 2005/08/27 00:22
皆さんおっしゃるように1つの作品としての完成度としては低いのですが、後の『涙流れるままに』に繋がる加納通子サーガの一幕であることを考えると、避けては通れない作品なのだと思います。
純愛を扱っているだけに島田氏の提唱する魅力的な謎の提示とその論理的解明が仇になってしまったような印象を覚えました。

No.60 5点 幽体離脱殺人事件- 島田荘司 2005/08/25 23:09
全体の印象として中途半端な感じがしました。小瀬川杜夫と吉敷とのエピソードは吉敷が事件に関わるためのファクターとして付加したようなテクニックを露呈していますし、森岡輝子と小瀬川陽子の電話のエピソード、輝子の行程のエピソードは十分読み応えがあって面白いですが、唐突に訪れる捕物劇は、およそ刑事小説とは思えないほど、あっけらかんとした物でちょっと納得しがたく感じました。通常一千枚ベースで作られる御手洗物で使われるテーマをかなり省略したような感じでした。

No.59 6点 夜は千の鈴を鳴らす- 島田荘司 2005/08/24 23:23
メインの事件がサブに回ったり、現代の事件が24年前の事件に繋がったりと凝ったプロットになっています。そして作者が今回選んだモチーフは「オリンピック」。この世界の祭りに新幹線開通を絡ませ、高度経済成長の荒波に人生を翻弄される姿を描きたかったのでしょう。そしてやはり本作でも東京という「都市」に憧れ、殺人を犯してしまうという島田 荘司の追い続ける都市の魔力というものが暗示されています。

No.58 8点 灰の迷宮- 島田荘司 2005/08/23 23:15
どうやら私は島田氏の描く女性に弱いようです。特に明るい女性に。
事件には派手さはありませんが奇矯で、解決は実にアクロバティックで、つまり島田荘司色を今回も見せてくれますが、それよりも茂野恵美の存在が胸を打ちました。
最初の登場シーンから、このキャラが物語の情の部分を支えるキープレイヤーなのだとは承知してましたが、頭が判っていてもやはり心が動いてしまいました。これは「異邦の騎士」の石川良子に一脈通ずるものがあります。

No.57 7点 Yの構図- 島田荘司 2005/08/22 23:02
本作のメインとなる殺人事件は、実はさほど興味深いものではなく、真相もショッキングではありますが、私自身が予想していたそれとほぼ同じでした。しかし読後の余韻は漠然とした何かが残りました。菊池刑事の、木山法子が瀕死の重体であるにもかかわらず、傍にいられない無念さか、古川教諭の、生徒を思う心か、鳥越ゆかりの孤独か、それ以外かどうか判りません。それらは所謂ステレオタイプな設定だと思うからです。しかし、何かは確かにあります。やはり子供が人を殺したという事実への疎ましさかもしれません。

No.56 5点 確率2/2の死- 島田荘司 2005/08/21 23:31
※以下のコメントはネタバレを含んでます。
野球賭博と白いライトバンの後ろが連絡場所と何か関係あるのではとは感づいていましたが、なるほど、誘拐事件が保険として絡んでくるとは読めませんでした。
島田作品の中でもかなり薄いこの作品は吉敷作品初体験用に最適かもしれません。

No.55 9点 北の夕鶴2/3の殺人- 島田荘司 2005/08/20 23:41
内容は純本格、文体はハードボイルド調です。今回の目玉は2つあります。まずは吉敷物とは思えぬほどの超絶技巧を凝らした大トリックの殺人。2点目はやや没個性的だった吉敷の個性、存在感がいつにも増して顕著でしたこと。通子の存在を得て吉敷が血肉を持った存在になりましたね。

No.54 6点 出雲伝説7/8の殺人- 島田荘司 2005/08/18 21:42
今回の死体受け渡しのトリックは解りましたがやはり時刻表のトリックはパズル遊びをしているきらいがあり、のめり込めませんでした。もちろん、島田作品ですから通常のミステリの水準はクリアしていますが、物足りないものを感じました。

No.53 6点 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁- 島田荘司 2005/08/12 22:15
一般読者向けを意識した島田初のトラヴェル・ミステリという事で、現実味を過分に加えた、比較的地味なシリーズ、所謂吉敷シリーズですが、千鶴子の列車での存在を幽霊として仕立て上げるような、幻想性を加えることも忘れない所が面白かったです。

No.52 7点 御手洗潔のメロディ- 島田荘司 2005/08/11 22:18
「IgE」は島田ワールド全開の作品でページを繰る手と文字を追う目が止まりませんでした。これに比べると「ボストン幽霊絵画事件」は落ちますね。他の2作は非ミステリながらも補完的作品でしたね。以下ネタバレがあります。

しかしマイルス・デイヴィスの友達でギターがプロ以上に上手く、かつ世界の脳研究の分野で活躍する御手洗の超人ぶりはちょっと理想を詰め込みすぎの感がします。御手洗フリークの期待に応えるべく島田氏はちょっと道を踏み外してはいないでしょうか。杞憂であればいいのですが。

No.51 9点 龍臥亭事件- 島田荘司 2005/08/10 22:26
否定的なコメントが多いのであえて肯定的なコメントを。
『秋好事件』のノンフィクションタッチを経ての本作。その経験が活かされており、巨匠にして新たなる手法を生み出す、この貪欲さを買います。
連続殺人が続くのも、最後の最後まで御手洗を登場させず、石岡という凡人に解決させることにより、不自然さが無い―よく名探偵がさんざん人が死んでおきながら犯人は貴方だ!と誇らしげに指摘する厚顔無恥さがこの作品にはありません。昭和初期の殺人事件に基づいて連続殺人が成されたというのも島田がこだわる日本人論、昭和論をほのめかしており、しかも忘れ去られるであろう事件を再認識させてくれたのも作者の真面目さだと思います。あと最後の最後であっと云わされるミチの正体。こういう演出が心憎かったです。

No.50 8点 アトポス- 島田荘司 2005/08/09 21:06
今までの御手洗シリーズの中でも相当に焦らしに焦らされ、本統に整然と解決するのだろうかと、シリーズ中最も胸を躍らさせれた。まあ、真相に隠し部屋や専門知識を要求させられたのは、やや失望したが、膨大なるエピソードの山が全て結末に活かされているのは流石!!相変わらず、冒頭から惹き込むエピソードの面白さは無類で、思わず童心に帰って物語に浸ってしまった。題名も実は謎解きの一部だなんて、やるなぁ!!

No.49 8点 眩暈- 島田荘司 2005/08/08 22:34
作中の手記に書かれている悪夢のような出来事は全て真相が解っちゃいました。
2回目に読んだら、あそこで殺人することの意味が全くないことに気づいてしまいました。
でも読者を愉しませる作者のサーヴィス精神に拍手!!

No.48 8点 水晶のピラミッド- 島田荘司 2005/08/07 20:29
重厚長大という四字熟語がぴったりの、まるで辞書のような小説でありましたが、少しも疲労を感じませんでした。リーダビリティに関してはもう云うことはないでしょう。冒頭のエピソードから、結局事件には直接関係はありませんでしたが、物語に幻想味を持たせるためのファクターとなる古代エジプトの挿話とタイタニックの挿話がそれ自体1つの短編として機能するほどの質を備えています。よく考えてみたら、なんと贅沢な一冊なんでしょう、これは!!やはり本格ミステリ作家としての島荘というより物語作家としての島荘の技量に敬服します。
私も最後の真相は不要だと思うので、点数はこれくらいかな。

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