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sophiaさん
平均点: 6.99点 書評数: 289件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.12 7点 スケルトン・キー- 道尾秀介 2021/04/22 23:50
この手の作品としてはネタばらしが随分早かったので心配しましたが、失速することなく最後まで緊迫感を維持できています。ある意味でこの作品の肝だと思いますが、反転の芸が細かいですねえ(笑)綾辻行人の某作品のアレみたいなものですが大変分かりにくく、恐らく多くの読者はしばらく気付きません。そして頃合いになったところで分かりやすいやつが出てきてまさかと思いページを戻る、作者の狙い通りの読み方をさせられるでしょう。いや、久しぶりに騙されました。ジャンルはサスペンスにしましたが、取りようによってはクライムかもしれません。

No.11 5点 月と蟹- 道尾秀介 2021/04/18 00:26
「球体の蛇」を純文学寄りと評しましたが、本作はもはや純文学の域ではないでしょうか。「球体の蛇」に増して心情描写が多く、終盤になってやっと面白くなってきたと思ったら特に何もなく終わりました。直木賞より芥川賞の方が合っているような気さえします。手紙の犯人など予想通りでしたが、さしたる理由もなかったことの方に驚きました。昭和の終わりの時事ネタが主人公世代の自分には懐かしく感じられたのですが、そもそもなぜ時代設定を昭和にしたのでしょうか。

No.10 6点 球体の蛇- 道尾秀介 2021/04/08 22:36
読んでいる最中は「ラットマン」のような過去の事件の反転を目指した作品なのかなと思っていましたが、それとはまたちょっと違うリドルストーリーでした。一応ミステリーではありますが、主人公の心情描写がメインで純文学寄りなのですかね。「球体の蛇」というタイトルはあまり的を射ていないように思います。

No.9 4点 いけない- 道尾秀介 2019/09/29 18:40
これは近年稀に見る期待外れ。帯やらメディアやらで絶賛してハードル上げ過ぎですよ。各章最後に地図やら写真やらを載せてさも思わせぶりに謎解きを投げかけていますが、いずれも大した解答ではありません。いや、そもそも問題にするところを間違えてないですか?さらに読者の想像に任せている部分が多すぎて、読後のカタルシスがありません。東野圭吾の「どちらかが彼女を殺した」「私が彼を殺した」もそうでしたが、やはりクイズの体裁をとった作品で傑作は難しいと再認識いたしました。

No.8 7点 鬼の跫音- 道尾秀介 2018/07/21 01:07
途中まではいまいちな感じでしたが、最後の2つ「冬の鬼」と「悪意の顔」がすごかった。「冬の鬼」は冒頭での謎の提示、そして1日ずつ遡っていく日記という構成がよかったです。7日前にどんなことをやらかしたのかという興味で引き込まれました。伏線もばっちり。「悪意の顔」はSFなのか妄想なのかというシーソーゲーム。最後の最後にはっきりするのですが、その直前のSの一瞬の変貌に含みを持たせているのも効果的。主人公の母親がデザイン事務所に勤めているのが伏線かと思ってちょっと混乱しちゃいましたけど。その他には「よいぎつね」で残された謎の解答を次の「箱詰めの文字」の作中作で示したのには唸らされました。しかしこの作者の「S」と「鴉」に対するこだわりは何なのでしょうか(笑)

No.7 7点 片眼の猿- 道尾秀介 2018/07/08 00:21
殺人事件の解決などどうでもよく、私の関心事は「冬絵の能力はいつ発揮されるんだ?何のために雇ったんだ?作者は何か忘れてるのか?」ということでしたが、見事に作者の術中に嵌ってしまいました。最終盤のネタバラシで×××のオンパレードなのがこの作品のデリケートなところですから、好みは分かれるでしょうか。

No.6 6点 龍神の雨- 道尾秀介 2018/03/27 19:22
「シャドウ」や「ラットマン」の系譜、さらに貴志祐介「青の炎」を彷彿させる展開の本作ですが、ちょっと期待外れでした。真犯人(?)の正体に驚くよりも引いてしまったんですよね。後味も悪いですし。雨のせいでも何でもなく、全部あいつのせいでしょう。全編に渡って使われている「龍」の比喩もあまり効いていないような。散々「龍」に例えられた人物が、終わってみれば何も大したことなかったですからねえ。それとこの作品の柱になっている「脅迫者」ですが、楓はなぜ迷いなく××だと思ったんでしょうか。まず××の方を疑いませんか?最後に、2段ベッドが揺れるミスリードは分かりにくいですよ(笑)××××しようとすまいと彼に対する心証に影響はあまりありませんし。

No.5 9点 カラスの親指- 道尾秀介 2018/03/22 18:46
「シャドウ」に比肩する出来。あるいは超えているかも。テツさんの正体についてはちょっと考えはありましたが、ここまで壮大な話だとは思いませんでした。各章サブタイトルの中にさり気なくネタバレを混ぜる手法がニクい。冒頭の銀行での詐欺に違和感(そのやり方でどうやって成功させられたの?という)があったのも伏線でしたか。

No.4 8点 ラットマン- 道尾秀介 2018/02/26 17:22
とても読み易くてなおかつ続きが気になり一気に読めます。過去の事件と現在の事件両方に「錯誤」があり、それは読者に対しても仕掛けられています。まんまと騙されました。ミスディレクションの方向性が氏の先行作品と似ていますが。

No.3 5点 ソロモンの犬- 道尾秀介 2018/02/22 20:01
サプライズはカフェパートの正体ぐらいですかねえ。物語があまり心に残らない。主人公たち四人と椎崎鏡子・陽介親子の間にもう少し接点を持たせて欲しかった。四人の中に犯人がいるとはとても思えなかったので。

No.2 9点 シャドウ- 道尾秀介 2014/04/12 23:32
ミスディレクションが秀逸。難を挙げるならば、各章サブタイトルの「二人」とか「三人」とかがいまいち的を射ていない感じがすることですかね。いやしかし殺される人間がクズ過ぎますね。

No.1 7点 向日葵の咲かない夏- 道尾秀介 2014/04/12 23:12
評価が分かれる作品かなと思っていましたが、ここでは想像以上に不評なんですね(笑)まあかなり滅茶苦茶な作品ですから仕方ありませんが。ダークな雰囲気の作品ながら自分は楽しんで読めたのですが、転生システムが面白いだけなのかなという気もします。しかもその「転生」はミチオの妄想だったのですが、これは最後にもっとはっきり示した方がよかったと思います。気付いてない人は結構いるんじゃないでしょうか。これに気付くか気付かないかでラストシーンの捉え方が全く違ってきますから。
事件について。読者はS君と泰造お爺さんに振り回されるはめになるのですが、S君が嘘ばかり吐くのはミチオに対してだから許容範囲として、泰造の方は独白で惑わせているのでフェアプレー上アウトだと思うんですよねえ。図書館で調べ物をした後につぶやいた「何てことだ・・・あの子は――」のところです。ここはこの作品の大きな失点ですね。
しかし麻耶雄嵩の「神様ゲーム」と同じ年にこの作品が出たというのは何か運命的な物を感じます。共通点が多いですから。

sophiaさん
ひとこと
採点がやや甘いかもしれませんが、世評の高い物を中心に読んでいっているので仕方がありません。点数はミステリーとしてのみならず、読み物として面白いかどうかを考慮して付けています。
好きな作家
採点傾向
平均点: 6.99点   採点数: 289件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(30)
伊坂幸太郎(13)
米澤穂信(13)
綾辻行人(13)
島田荘司(12)
道尾秀介(12)
泡坂妻夫(9)
アガサ・クリスティー(9)
倉知淳(8)
恒川光太郎(8)