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みりんさん
平均点: 6.66点 書評数: 251件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.15 6点 赫衣の闇- 三津田信三 2023/07/20 04:11
むむ…どうやら物理波矢多シリーズの読む順番を間違えたらしいが特に問題はなし 

戦後の日本の闇市などがのさばる退廃的な雰囲気を存分に味わえました。どれだけ忠実に描かれているかはわかりませんが。物理波矢多シリーズはその時代のレトロな雰囲気と主人公の置かれた状況が魅力的です。刀城言耶は放浪してるだけなので…(笑)

そして切り裂きジャックや赫衣などは怪談としていつもより想像に容易くて怖いが、今回の殺人現場は三津田作品史上1番怖い(というかグロい)。動機はかなり攻めてるな〜という印象。ということで、作品の雰囲気やホラーは素晴らしいが、肝心の謎解きがほぼホワイダニットだけだとちょっと物足りなさを感じました。

No.14 7点 白魔の塔- 三津田信三 2023/07/18 23:07
物理波矢多シリーズ第2弾  ミステリ度低め
前作で炭鉱夫として活躍した物理波矢多が今作では灯台守に転職し、そこで灯台長の長い怪異譚を聞くことになる。その怪異譚はなぜか物理が島に来てから体験した怪異と酷似している。
いつもよりホラーが控えめで退屈に感じていたが、とある真実が明かされた時に前述の絡み合った謎が繋がり、真の恐怖が待っていた。最後の最後に白魔の塔が現れるところがこの目に浮かぶほど良いシーンです。
幻想小説ってこういうのを指すのかな…?

No.13 7点 黒面の狐- 三津田信三 2023/07/17 22:11
おお〜刀城言耶シリーズ以外の三津田先生の作品の中では最もミステリ度が高いのではないでしょうか。
戦後の炭鉱という視覚的にも社会背景的にも薄暗い舞台で密室殺人が立て続けに起こる。その動機はとある手記を読むまでは全く想像だにできないが、なかなかハードで社会派的要素を多分に含んでいます。
ラストでは、そこまでばら撒かれていた伏線やミスリードすらも丁寧に拾う物理並矢多の多重推理が刀城言耶を彷彿とさせます。

No.12 7点 禍家- 三津田信三 2023/07/13 23:28
これは面白い!
両親を亡くした主人公が祖母と引っ越しするが、なぜか近所の反応がおかしい上に怪異が主人公の身に降りかかる。その現象を探るべく街の歴史から調査していく主人公とヒロインだが…………
純然たるホラーとして読みましょう

No.11 6点 逢魔宿り- 三津田信三 2023/07/13 13:13
三津田作品を刊行順に読んでいこうと思っていたけど、評判良いので一足先に読んでみた

4つの独立した怪談短編集とラストに総括した「逢魔宿り」という構成 一番面白かったのは「予告画」
「蛇棺葬」「百蛇堂」での舞台「百々山」が出てくるのは嬉しいな
実話からどこまで脚色されているのかや全て作り物なのか気になるところ

刀城言耶シリーズでは「首無の如き祟るもの」くらいしか該当しないけど、三津田先生ってちょっとメタ構造好きすぎ。作家シリーズでは主人公が三津田信三でこの「逢魔宿り」も語り手は同じ僕=三津田信三なんだけど、この「僕」は作家シリーズの時よりメタ的に上位の存在な気がする。

No.10 6点 スラッシャー廃園の殺人- 三津田信三 2023/07/10 23:35
面白かったけど怖かった。
スプラッターホラーというジャンルを初めて小説で読んだのですが、もう殺害シーンがグロくてグロくて少し痛みが紙面を貫通して伝わってきましたよ笑
そして「シェルター終末の殺人」と同様に三津田先生のホラー映画愛が止まらない(見たことある作品1つもなしw)
ただし、本作はただのスプラッタホラーでは終わらず仕掛けがたっぷり… 珍しくダミー犯人+真犯人共に的中したと思ったら見事に騙された。一通り読み終えてからプロローグを読み返すとおおおおそういうことだったのかと感心。

No.9 5点 シェルター終末の殺人- 三津田信三 2023/07/09 22:21
ホラー映画オタクの方は読んだ方が良い ホラー映画談義でめちゃくちゃ楽しめると思う。itとかミストみたいな超有名映画しか見たことない自分にはほとんどわからんかった。

核爆発によりシェルターに逃げ込んだ6人の男女間でなぜか密室+装飾の施された連続殺人が起こるというコテコテの本格ミステリ。状況設定は去年話題だった「方舟」に似ているし、ひとりまたひとりと殺されていく過程はホラーの名手三津田先生ならではのゾクゾク感でめちゃくちゃ楽しめてたんだよね。
でもごめんなさいオチがなあ…

No.8 7点 百蛇堂―怪談作家の語る話- 三津田信三 2023/07/06 20:20
久しぶりに1000ページを超える超大作を読んで疲れました。
上巻ともいえる「蛇棺葬」は純然たるホラーで「百蛇堂」はミステリ的解釈も楽しめるホラーといった感じでした。名探偵ジャパンさんのおっしゃる「ホラー対ミステリ」が言い得て妙。
旧家の因襲が生んだ怪奇小説としても面白かったし、ラストに謎が解かれてから現れる恐怖が一番ゾッとしました。

作家シリーズはこれでおしまいか。まだまだあのキャラ達を読みたかった。

No.7 6点 蛇棺葬- 三津田信三 2023/07/05 13:46
百蛇堂で行われる百巳家の葬送儀礼が怪異を引き起こす和風ホラー作品
本作『蛇棺葬』では全くと言っていいほどその謎が明かされない。ホラーはホラーのまま終わるのかそれとも『百蛇堂』ではその謎が明かされるのかを楽しみに読みます。

百蛇堂を読みましたがここに多くの伏線が貼ってあります。

No.6 9点 作者不詳 ミステリ作家の読む本- 三津田信三 2023/07/03 03:20
めちゃくちゃ楽しめた
『迷宮草子』という妖しげな雑誌を読んだ者は、そこに収録された7つの短編の謎を解かないと怪奇現象に見舞われるという奇抜な設定。
つまり作中作(更に作中作中作もあったりする)が7つもあるのですが、続きを読む手が止まらない面白いものしかなくて、作者のアイデアの豊富さとこの作品に対する熱量が少し怖くなったくらいです。

ということで需要があるかわからない私的『迷宮草子』ランキング発表
1位 首の館 
完全な<テン・リトル・インディアン型ミステリ>と作中では定義され、たった100ページ足らずで『そして誰もいなくなった』のようなハラハラ感が味わえます。トリック・フェアさ共に見事。チャットが殺害動機かつ1人だけ別の場所で既に死んでいるという点で名探偵コナンの「奇術愛好家殺人事件」を思い出しました。

2位 子喰鬼縁起
不可解な赤子消失事件。 登場人物達の錯綜した思惑に解決編で一番唸らされました

3位 朱雀の化物
<テン・リトル・インディアン型ミステリ>その2なんだけど、これそして誰もいなくなったへのもうひとつの解答(短編だから許される!?)と言えるのではないでしょうか。そのくらい発明的だと思うんだけど、何如せん読書量が少ないもんでこれが初出なのか使い古された既出のネタなのかはわかりません。似たようなのはあったような…

ちなみに解決編を考慮しない場合、作中作として純粋に1番楽しめたのはちょっとお茶目な主人公が活躍する「娯楽としての殺人」 動機がないのが動機。それが『ゴラクトシテノサツジン』

No.5 6点 ホラー作家の棲む家- 三津田信三 2023/07/02 02:50
夏といえばホラー!ホラーといえば三津田信三ということで氏の幻のデビュー作
ホラー映画って映像媒体だから怖いけどさあ、ホラー小説なんて怖いって言っても所詮文字でしょ?wと侮っていた自分、これを読んでもうビビりまくりである(特に作中作)。
小説という虚構の世界にさらに虚構を作り上げるややこしいメタ構造のなかでどちらが真の虚構なのか内側と外側が途中から縺れ合っていく過程が恐ろしく、あの粘着質な文体は恐怖を更に加速させる。真相は複雑で難解。自分の頭では多分3割くらいしか読み取れてないので誰か解説して。作中作は最後まで読みたかったなあ…


三津田先生乱歩好きだったんだ
作中の楽しいミステリ談義を引用 
「乱歩の中にある作家としての資質(怪奇幻想小説)と志向(探偵小説)がせめぎ合ったからこそ、一連の名作が生まれたわけです。そしてついに『陰獣』では、それらが融合してしまった。だからこそ、あの作品はあそこまでの圧倒的な面白さがあるのだと思います。」
「探偵小説の歴史を見ても、こんな作品は滅多に見当たりません。実際日本ミステリの創始者であるはずの乱歩作品の模倣者が出ていないことからもそれがよく分かります。」
「ようやくそれに匹敵する作家が現れるのは、『陰獣』の発表から五十年以上が過ぎてからです」
「連城三紀彦  (中略) 同じ耽美でもその方向は違いますが、花葬シリーズをはじめとする初期短編には見事なまでに理知と耽美の融合があります」

『陰獣』即図書館で予約しました笑

No.4 7点 山魔の如き嗤うもの- 三津田信三 2023/01/17 01:25
毎度人間には不可能(に見える)状況を作り出すのがとても上手いです。

No.3 9点 首無の如き祟るもの- 三津田信三 2023/01/11 04:54
これはすごい!

【ネタバレあり】




この作品のようにあらゆる不可能状況は連動していて、たった一つの仮説で全てが解けるタイプが私は好みなんだなぁと再認識できました。私はそんな素敵なミステリとあと何度出会えるのでしょうか。
メイントリックは鞠子からすると唯一の「脱出」方法であり非常に怜悧で発明的だと思います。。二重入れ替わりに整合性を持たせるために「秘守家の風習」や「祟り」といった要素が違和感なく挿入されていて、気付かれにくいようになっている。やはりこの辺がホラーとミステリの相乗効果を遺憾なく発揮している言え、刀城言耶シリーズの評価の高さに頷けます。

No.2 8点 凶鳥の如き忌むもの - 三津田信三 2023/01/09 05:44
「首無の如き祟るもの」の評価が高く、これを読みたいがためにシリーズ順に「厭魅の如き憑くもの」と「凶鳥の如き忌むもの」を読んできました。そしてこのサイトでは本作品の評価が低くあまり期待せずに読んだが、個人的には非常に斬新な密室消失トリックで満足しました。

【ネタバレあります】




厭魅〜は怪異とミステリが5:5くらいでしたが今回はほとんどミステリなのが気に入った理由かもしれません。「鳥葬」「鵺喰」「人骨」などたくさんのヒントが出ていたのにあんな悪魔的発想には全く気づけませんでした。
不満点としては糸のトリックや振り子のトリックなど文字の説明でほとんどわからなかったので図面が欲しかったこと。頭の中で想像する力が欠如してるなあと痛感させられました。

No.1 7点 厭魅の如き憑くもの - 三津田信三 2023/01/06 05:58
刀城が先に仄めかした推理の方が衝撃的でこちらに結論に持ってきて欲しかったなと思いました。

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みりんさん
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